コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 今、好きな想い ( No.1 )
- 日時: 2017/03/14 14:13
- 名前: アリン (ID: qlQjtvRq)
*.* 私の好きな人。 *.*
「帰るぞー」
教室の扉から部活終わりの彼が私を呼ぶ。
帰宅部の私はいつも彼が終わるのを教室で待っている。
「…うん」
あらかじめ、まとめといた荷物を肩に掛け彼に寄る。
「お待たせ、行こっか」
すぐ角を曲がり中央階段を降りていくと、部活のカバンを廊下の隅に滑らせ、こちらに近づいてくる少年がいた。
「「「あ」」」
三人の声が重なる。『あいつ』だった。
「ちょっ!二人共、校門の前で待ってて!」
ドタバタとあいつは階段を上って行った。
「あいっかわらずだな、あいつは」
「忙しいやつぅ〜」
彼があいつの滑らせていたカバンを持って来て、言われた通り校門の前であいつを待つことにした。
三人は家が近くて、母親達が元から仲が良かったのもある。よくそれぞれの家に遊びに行っていた。
「まだかなぁ〜」
「遅いな」
そんな会話をする。短い会話。
「そーいえば夕方から雨が降るって言ってたな」
「え!?そーなの!傘持って来てないよー」
持っていたカバンを肩から落とす。
ドサッという音がした。
それを合図かのようにポツポツと雨が降って来た。
「あ、あめーー!」
目に雨が入らないように腕で目をかばう。
「…これ着といて」
彼が彼女に自分のブレザーを頭から被せた。
「あ、あり…がと」
あったかい。彼の匂いがする。
そう思った瞬間、彼女は顔が赤くなる。顔を隠しながらブレザーを少し下に下げた。
しばらくするとあいつは2つ傘を持って出てきた。
「あれ!?この状況は二人共傘持ってない?!」
どうやらあいつは彼女か彼のどちらかは傘を持っていると思ったらしい。
「あ、じゃあ、仕方ねーから俺がお前を入れてやってもいいぞー」
さりげなくだったのだろうか。あいつは自分が持って来た傘に彼女を入れていた。
「え、いいよ!私はこいつが貸してくれたブレザーだけで」
そう彼を指で差しながら彼女は言った。
それと同時に雨がきつく降って来た。
「…いれて、下さい」
クスクスと笑うあいつと彼。
「どうぞ」
まだ笑っているあいつは口を手の甲で隠しながら、彼女を傘に入れてあげた。
私の好きな人。
いつか気づくのかな。
キミに恋してるんだよ。