コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 今、好きな想い ( No.19 )
- 日時: 2017/04/02 02:21
- 名前: アリン (ID: qlQjtvRq)
*.*エイプリルフール*.*
「嘘だよ」
それが最初の彼への嘘だった。
あの時についた嘘は忘れられない。なんで嘘だよって言ってしまったんだろう。
「あーあ、今日も1日早かったな〜」
その場で大きく伸びをした。
伸びにつられたて、足も背伸びした。
『そうだね〜』
おっとりした性格の雅人の背中はいつも曲がっている。つまり猫背だ。せっかく、背が高くてスタイルもいいのにその背中で見た目は良くない。
『そういえば今日は4月1日。エイプリルフールだね』
その一言で私の体は一瞬固まってしまった。
そう、エイプリルフール。去年の今日に彼に私は嘘をついた。
『去年は驚いたな〜。美香に好きって嘘つかれるとはね〜』
まさしく雅人の言ったこの言葉が私がついた「嘘」なのだ。
人間とは複雑なものだ。その場の空気が悪くなると嘘だよと言ってしまう生き物なんだから。でも。
「……ねえ、雅人」
『どうした?』
「好き」
今日こそは嘘のない本当の気持ちを、本当の言葉を雅人に言いたい。
『う』
「嘘じゃないよ!」
その間沈黙が続いた。
顔がすごく熱い。足も震え始めてきた。
『……僕は……』
雅人の返事を聞くのが怖い。ただただ怖い。
どうか、お願い。同じ気持ちであってほしいの、雅人。
『美香が好き』
ほんの数秒間。時が止まっているように思った。
雅人の背中は真っ直ぐになっていた。
「……エイプリルフールじゃない……?」
『うん。違う。美香が好き。ずっと好きだった』
いつものおっとりとした雅人じゃないように見える。かっこよく見えた──いつもかっこいいけど。
「ねえ、雅人?」
『ん?』
「今日はなんの日か知ってる?」
『付き合って一年記念日』
「そうだよ、だから」
*.*恋の嘘をつきましょう*.*
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ギリギリ1日遅れですが、エイプリルフールネタです。
夜遅くにすみません(´・ω・`)