コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 今、好きな想い ( No.22 )
- 日時: 2017/05/28 15:16
- 名前: アリン (ID: L3NdAWya)
*.*姉弟 side 弟*.*
昼過ぎ。久々に実家から離れて暮らしている姉の家へやってきた。姉の家はアパートの一角にある。それなりにいい物件があったと言っていた姉の顔を思い出しながら、アパートの二階にある姉の家の前まで行って、一度インターホンを鳴らす。だが、中にいるはずの本人は出てこず、もう一回インターホンを押して出てくるのを待った。
『出てこない……』
止むを得ず母から借りた合鍵で扉を開けた。
『彩姉ー、来たよー』
名前を呼んでも返事がない。
靴を脱いで、勝手に上がった。怒られはしないだろう。
部屋の中は分厚いカーテンが閉じられていて、暗かった。とりあえず、部屋の電気をつける。
姉はベッドの上に携帯を持ちながら、寝転がっていた。また、元彼のことを思い出していたんだろう。
『彩姉、起きろ! もう昼過ぎだぞ』
体を三、四度揺する。
「んんー。分かったよー」
眠そうな目を擦りながら、ムクリと体を起こした。起きてすぐの姉は10分くらいは使い物にならなくなる。その間に冷蔵庫にあったハム、ケチャップ、チーズを食パンの上に乗せて、トースターで焼いた。
「おはよ〜」
『おはよー、彩姉』
ちょうど出来上がった食パンを姉の前に出す。
『……また元彼のことで泣いてたの?』
「うわー。いきなりプライベートのこと聞いてくる〜」
デリカシーが足りないな〜、うちの弟はと言われてしまった。
確かにそうだと思うけども、姉を見ているとこの間振られて泣いていたまやねを思い出してしまって、どうしようもない気持ちになる。
「そういえば秋斗は彼女できたの?」
『うわー。いきなりプライベートのこと聞いてくる〜って言っておいて、自分も同じことしてくる奴がいるー』
「だまれーい」
『痛て』
軽く頭を小突かれる。
痛くないのに反射的に痛いと言ってしまうのは何故なんだろうか。
『……いない。けど、片想いの子はいる』
「お! 喋るね〜」
『おいおい。……あー……あと、彩姉に似てる』
「へー。主に?」
四角かった食パンが少しずつ歪な長方形になっていく。
『黙秘しまーす』
「何故だー!」
また小突かれて、さっきと同じセリフが反射的に出てきた。
姉の食パンの黄身の膜が切れて、とろりと黄身が皿の上でコーヒーをこぼした時のように広がった。
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初めて小説の中の姉弟の話を書きました。
彩姉は彩音です。弟は秋斗です。
片想い中の二人です。