コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.12 )
- 日時: 2016/08/20 15:07
- 名前: Aika (ID: qVn3SWv8)
Episode11:戻れない。
夏の夜空。
大輪の花火が咲く中。
わたし達は3年ぶりに再会をした———。
「ほ…ほた、 る———??」
かすれた声で愛しい人の名前を口にする。
ずっとずっと…願っても、 会えなかった。
貴方がすぐそばにいる。
それがまだ、信じられなくって。
頭の中はすごく混乱してた。
「久しぶり、だな。空」
黙っていた蛍がまた、口を開いた。
でも…さっきから蛍はちっとも目を合わせてくれなくて———。
そのことがすこしだけ悲しかった。
もう、蛍はわたしのこと…好きじゃないの??
「帰ってきたんだ…」
違うのに。本当はこんなことを言いたいわけじゃない。
他に言いたかったこと…もっと、あるはずなのに。
なぜか、 わたしは…そんなことしか言えなかった。
「まぁな…俺、また8月からこっちで住むことになった」
蛍のその言葉に。
目が見開いた。
嘘。…じゃあ、また蛍と一緒にいられるの———??
「高校、 どこ??」
「山岸高校」
「…いっしょじゃん」
「じゃあ、新学期からよろしくな」
喜んでいいのかな…。
と、いうか蛍ってこんな性格だったっけ??
こんなに素っ気なかったっけ??
でも。 3年もたってるもんね。
そりゃあ、性格だって変わる、よね。
なんてことを心の中でもやもやしながら考えていると。
不意に蛍がこんなことを言い出した。
「そういえば、3年前…俺ら、ここで約束…したんだよな」
花火を見上げる蛍の横顔を、 わたしはじっと見つめてた。
そうだよ。 ここで約束した。
「絶対東京に帰ってくるから…待っててってやつでしょ?」
覚えてるに決まってんじゃん。
だってわたしはあの時…蛍と離れてしまった時からずっと…
貴方の事しか考えてないんだから。
「———悪いけど…あの約束、 なかったことにしてほしい」
予想外の…蛍の言葉に。
わたしはうつむいていた顔をばっと勢いよく上げた。
何で…そんな事、 言うの??
「ごめん。…けど、俺じゃあ空を幸せにできない」
わたしは真剣な表情でそう告げる蛍に何も言い返せなくって。
ただ、呆然とその場に立ち尽くしていた。
蛍は、 わたしとは目も合わせないまま…
わたしの横をすっと横切ってどこかへ行ってしまった。
本当は追いかけたい。
追いかけて、 すぐにでも貴方に抱き着きたい。
好きだって言いたい。
もう一度、 つき合ってって言いたい。
なのに。
「っ…ック……」
蛍の言葉を聞いて。
わたしは、 何もできず…
その場で泣くばかりだった———。