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- Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.17 )
- 日時: 2017/05/27 23:40
- 名前: Aika (ID: y1N6F4if)
Episode14:refrain
夏の夜———。
みんなの想いがそれぞれに交差して
すれ違っては傷ついて
誰かが涙する。
みんなが幸せになるのは、
難しいことなのでしょうか——?
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七夏side
「あれから…1年、か」
花火が鳴り響くなか。
ぽつりとそう呟いた。
今でも鮮明に覚えてる。
海里と付き合ってたときのこと——。
「楽しかったと思ってたのは…わたしだけだったのかな」
ずっと中学の頃から好きで…
やっとの想いで告白して片想いが実ったときは本当に嬉しかった。
なのに。
ある時…気づいた。
それは、高校に入ったばかりで
空と、友達になって輝とも、知り合って。
5人で行動することが、多くなったころ。
「海里のやつ…日直サボってどこ行ってるんだか」
先生の雑用を頼まれて。
一人で大量のプリントを抱えて
文句を言いながら廊下を歩いていると。
遠くに海里の影が見えた。
「あっ…かい——」
そう言いかけて止まった。
そこにいたのは、今までに見たことがない
優しげな瞳をした海里がいて———。
その瞳に映っていたのは、 わたしなんかじゃない
別の女の子だった。
しかも、 その女の子は。
私がよく、知ってる…空だった。
二人は何かを話していて。
空は楽しそうに笑っていて。
海里はその顔を今までに見たことのない表情で見つめていて。
「っ…」
その時。
確信した。
海里の瞳に映るのは、わたしなんかじゃない。
アイツが本当に好きなのは。
空だってこと———。
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ボーッとしながら。
フラッシュバックするのは、そんな記憶で。
「分かってたけど…やっぱり、辛いな」
何回も諦めようとした。
何回も他に好きな人を見つけようとした。
でも、できなかった。
やっぱり、貴方を目でおってしまう。
「誰か…教えてよ」
涙で滲む視界を必死に手でぬぐう。
それから、静かに口を開いた。
「どうすれば、 貴方を忘れられますか——?」