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- Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.18 )
- 日時: 2016/12/13 23:27
- 名前: Aika (ID: Q19F44xv)
Episode15:夏の夜空、 咲き乱れる想い。
.・。*青葉side*。・.
「あのさ、輝。うちら5人で花火大会来たんだよね?」
「んー、まぁそうだな」
人混みから少し離れたベンチに二人で並んで腰掛けながら
わたしたちは、花火を遠目で見ていた。
「なのにさぁ…何で最終的にうちら2人だけになってるわけ?」
そう。
なぜか、輝と二人っきりで。
輝はというと、わたしがそんな事を口走っても
さして気にする様子もなく顔色一つ変わらずに言う。
「別によくね?はぐれたのは、あいつらだし」
その言葉にわたしは、なにも言えなくなる。
たしかに、そうだけど———。
なにも言わずに輝のことを見ていると。
不意に目があって。
真面目な顔で輝は口を開いた。
「何?…二人っきりで意識してんの?」
突然、そんな風に聞いてきたから。
わたしは、とっさになんて返したらいいのか分からなくて。
「えっ…?」
なにも言葉が出てこなくて。
そんな風に呟いたあと、呆然としてしまった。
輝は、 なにも言わないわたしに対していつもの調子でいう。
「お前なぁ…黙んなよ。いつもみてぇにバカとか言えよ」
「だっ…だって、あんたが急に冗談とは思えない顔で変なこと言うからっ…」
びっくりするじゃん。
まぁ、輝がわたしのことを何とも思ってないことは知ってるけどさ。
急に真面目な顔されたら、わたしだって
ドキッとするよ———。
「じゃあさ…もし、俺がお前と二人で意識してるって言ったらどうする?」
——パンッ…
え?
花火の音と同時に。
輝はそんなことを言った。
輝はわたしの方には顔を向けず、ただ花火だけを眺めている。
今日の輝…どうしたんだろう。
いつもと、なんだか違う気がする。
気のせい、かな?
まぁ、いつもの冗談だろうし軽く聞き流しとけばいいか。
「あのねぇっ…そう、何回もあんたの冗談に引っ掛からないし」
「——冗談じゃねぇし」
かぶせるように、 力強く重なったあなたの声に。
わたしは、なにも言えなくなる。
そして、 大輪の花火が咲き乱れるなか。
夏の夜空の下。
輝は真っ直ぐにわたしに視線を向けながら言葉を紡ぐ。
「———俺、お前が好きだから」
吸い込まれそうな貴方の瞳に。
わたしは、視線を逸らすことができずに
ただ貴方のことだけを見つめてしまっていた——。