コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.21 )
- 日時: 2017/02/12 18:28
- 名前: Aika (ID: hBEV.0Z4)
Episode18:新学期。
それぞれの想いが交錯して
すれ違うこの恋の行方に…
誰かが幸せになる未来はあるのでしょうか。
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*空side*
花火大会から
とくに5人で会うこともなく、無難に夏休みは
終わっていった。
わたしはといえば、海里からの突然の告白と
蛍との数年ぶりの再会とか色々ありすぎて
頭のなかが混乱して…ぐちゃぐちゃだ。
「もう…2学期、か」
そんなことをボソッと呟き
制服に着替えてスクールバッグを手に取り家を出た。
行きたくない。その気持ちが大きく憂鬱だった。
大体、海里に告白されたことなんか七夏に絶対言えないし。
そもそも、七夏は海里に告白したのかな。
何一つ七夏からは何も聞いてなくって。
その事もあるから、余計に学校に行きたくなかった。
「そーらっ!」
「ひぃっ!!」
急に後ろから声をかけられたものだから
変な声を出してしまった。
「そんな挙動不審に声あげなくても…」
振り返るといつもと変わらない七夏の姿。
屈託のない笑顔でわたしに顔を向けている。
「な…なか…」
状況が読めなくて。唖然としてしまった。
「ほらっ!急いでいかないと新学期早々遅刻するぞー」
「あっ!待ってよー」
海里に…フラれたわけじゃないのかな。
でも、花火大会から結構時間もたってるわけだし
七夏なりに気持ちに踏ん切りがついたのかもしれない。それか、無理に強がっているだけなのか…。
どちらにしても、七夏の気持ちを考えると
わたしも胸が苦しくなる。
わたしのせいで。
七夏が傷ついた。
その事実は変わらないんだから———。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □
教室に入ると。かなりギリギリに着いたらしく
ほぼクラスの全員が席に座っていた。
「遅刻ギリギリだったなー」
隣の席の海里がいつもと変わらない様子で話しかけてきた。
わたしも、なるべくいつも通りの感じで返す。
「まぁねー」
あれ?いつも通りって…どんな感じだったっけ?
わかんないよ、 そもそも海里と話すのってあの花火大会以来だし。
こんなに、 素っ気なくわたしっていつも返事してたっけ?
やばい、 考えれば考えるほど分かんなくなってくる。
「……もしかして、花火大会のときのことまだ気にしてる?」
海里に図星をつかれて
ギクッとなる。
海里はそんなわたしを見て楽しそうに笑う。
「あはははっ…ほんっと空って分かりやすっ!」
「そっ…そんなに笑うことないでしょ!わたしだってどうしていいのか分かんないんだから……」
誰かに…あんなに本気で告白されたのは…
蛍の時以来だし。
やばい。 絶対、今のわたし…顔、赤い。
海里の顔を見れなくて俯く。
そんなわたしを見て、海里も困ったように髪をかきむしっていた。
それから、不意に口を開く。
「わりぃ。俺は空のことを困らせたくて言った訳じゃねーんだ。ただ、空に…俺のことを一人の男として見てほしくて告白したんだ」
それは、 休み時間の喧騒のなかだったけど。
はっきりとわたしの耳には届いて———。
止めてほしい。そんなこと、言われたら———。
海里の優しさに…甘えてしまいそうになるから。
「だからっ…これまで通り普通に友達として、接してくれねぇかな。難しいかもしれないけど、空と話せなくなるのだけは嫌だから」
その言葉に。
わたしは、小さく頷いた。
「うん。 ありがとね、海里」
海里の気持ちには答えられないけど。
だけど、 きっと。
友達には戻れる。
今だけは、 そう信じていたい。