コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.27 )
- 日時: 2017/06/04 17:11
- 名前: Aika (ID: UxbhFITm)
Episode24:戻れないとしても。
誰かに想いを寄せては。
その想いは叶わず、 涙する…。
口にはせずとも、多分全員知っている。
この恋は、 誰も幸せにはしてくれない———。
■空side■
「わたし、さ。実は夏祭りの日に海里にフラれたんだ」
いつも通りのお昼休み。
青葉はバスケの自主練習だとかでおらず、七夏とわたしだけの2人だけでお弁当を広げているとき。
七夏の突然の発言に思わずむせてしまった。
「なにそれ!聞いてないんだけど!」
「だって今初めて言ったもーん」
そして、わたしは。
それについてどのように反応するのが正解なのか分からなくて。
押し黙ってしまった。
そんなわたしをみて。
七夏は優しい顔で言う。
「でも、わたし…気にしてないんだ」
「え?」
「最初っから…海里が誰を好きなのかなんて何となく分かってたから」
このときの七夏は笑っていたけど。
どこか、無理しているようにも見えた。
わたしに、 気を使って無理にそう言ってくれている。そう思うとわたしも心がぎゅっとしめつけられて…。
「だから、さ。空もわたしに遠慮なんかしないで海里のところに行っていいんだからね?」
「———いかないよ、わたしは」
「え?」
いかない、というより。
いけない。
海里は真剣にわたしを想ってくれている。
それなのに。
蛍にフラれたからって簡単に海里のもとに行っていいわけがない。
「———わたしには…海里のもとに行く資格なんかない。それに」
それに。
いまは、まだ———。
「———あの人を…まだ、 好きでいたい」
無理だってことは。
あの夏の夜にはっきりと思い知らされた。
それでも。
抱き締められたときに、 気づいてしまった。
君がわたし以外に特別に想う人がいても。
わたしなんか、もう嫌いだとしても。
瞳に映らなくとも。
それでも。
純粋に…まだ、今でも
君が好きだってこと———。