コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.6 )
日時: 2016/07/05 00:15
名前: Aika (ID: EgZaKOI3)

episode5:恋愛と友情の違い。



期末テストも慌ただしく過ぎていき
明日から長い夏休みが始まる。
部活に所属していないわたしにとっては
本当に退屈に感じる期間だ。

「空っ!!夏休みの予定なんかある?」

帰る支度をしていると。
横からいつもの明るい声のトーンで話しかけてきた男子がいた。
その声の方へ顔を向けると。
そこには、無邪気な屈託のない笑顔を見せる…海里の姿があった。

わたしは、少しの間の後。
海里に言葉を返した。

「ううんっ!!わたし帰宅部だしなーんも予定ないや。海里は部活でしょ??」
「ああ、まぁそうなんだけど…さ。その…夏祭り行かない??」
「え…??」

予想もしていなかったこと。
海里からの夏祭りのお誘いだった。

夏祭り…かぁ。

そういえば
蛍と2人で行ったっきり
誰かと、なんて行ったことないや。

でも。
なんで海里はわたしなんかを誘うのかな。
わたしなんかよりも、七夏とか青葉とか輝とかを
誘った方が絶対楽しいのに。
と、いうか…
海里と二人っきりは七夏に罪悪感を感じるし。

わたしは、少し考えてから返した。

「七夏と青葉と輝も行くなら行く」
「ええー!??」

そう答えた途端。
落胆したような海里の反応が返ってきた。
あれ??
わたし、何か駄目なこと言ったかな。

「あの…海里??もしかして、みんなで行くのは嫌だったり??」
「あっ…いや…そういうんじゃないから!!俺の方こそごめんな。空は俺と2人は嫌、だよな」

あれ?なんか勘違いされてる。
わたしは、そんな海里に誤解を解くための言い回しをした。

「あの、違うから!!海里と行くのが嫌なんじゃなくて…みんなで行った方が楽しいって思ったからであって、決して海里が嫌なわけじゃ」
「あははははっ!!」

捲し立てるように言っていると。
その声を遮るように
海里の笑い声が重なった。
そして、優しい声で言う。

「だーいじょうぶだって。分かってるから。…だよな、お前はそういうやつ、だもんな」

そんな事を言いながら。
わたしの頭に優しく触れる彼の手が。
すごく暖かくて。
不思議とわたしは安心してしまい、心地よく感じた。
蛍が好き。
それは、今でも変わらない…のに。
なぜか、海里にドキドキしている、そんな自分に戸惑ってしまった。

「あのっ…じゃあ、わたし青葉とか七夏に予定聞いてみる!!」
「オッケー!!俺も輝に聞いてみるわ」
「じゃあ…また、LINEするね」
「おうっ!!じゃーな」

逃げるように。自分のスクールバッグを肩にかけて
急いで教室から出ていった。
廊下を小走りぎみに駆けていく。

———違う。
確かに触れられてドキッてした。
でも、そんなの男の子にやられたら誰だってドキッてするし。
蛍の時とは違う。
違う。違う。

これは、 恋なんかじゃない———。


そうだよ。
海里とわたしの関係は変わらない。
友達のまま、だもん——。


海里とは、今のこの関係が丁度良い。
きっと、海里だって…同じように思っているはず。

そうだよね?海里———。