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Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.7 )
日時: 2016/07/07 01:06
名前: Aika (ID: EgZaKOI3)

episode6:夏祭りの約束。



夏休みが始まって1週間が過ぎた頃。
わたしは、今日…青葉と七夏とまったりお茶をして遊んでいます。

「でねっ…その時に海里のやつがさー」

楽しそうに海里の話をする七夏を見ていると
少しだけ羨ましいと思う。
すぐ近くに、好きな人がいること———。
会いたいと思えば、会える距離に愛しい人がいること———。

わたしは、カフェモカの入ったカップを力強く握った。

嫌だな、 何考えてるの?わたし———。

素直に七夏には、海里とうまくいってほしい——。
そう思っているのに。
なのに。



なんで———?




「空?…どした??」
「何か今日、元気なくね?」

黙ったままのわたしを不審に思ったのか。
二人が心配そうにわたしの顔を見ていた。
わたしは、はっと我に返って焦って否定した。

「ううんっ!!何もない。ちょっとボーッとしてただけだから」

笑顔でそう返すと。
二人は安心したように言う。

「そう?なら、良かった」
「何か悩みあったら何でも言いなよ??うちらでよければ聞くし」
「あ、でもマトモなアドバイスはできないかも」
「おい、七夏っ!!」

やっぱり、二人とも優しいな———。

わたしは、その言葉に大きく頷いて。口を開いた。

「ありがとう。でも、本当に大丈——」

ブー…ブー…
そう言いかけたとき。
スマホが勢いよく鳴って。
スライドして確認すると。
海里からLINEが来てた。

『輝、夏祭りOKだって(^-^)青葉と七夏は来れそう?』

あ…。そういえば、まだ二人に聞いてなかった。
丁度良いし、今聞こうかな。

「あのさ、二人とも」

声をかけると。
二人がわたしの方に顔を向けた。
それから、わたしは微笑みながら聞く。

「輝と海里とわたしと青葉と七夏の5人で夏祭り、行かない??」

すると。
二人は少しだけ間を開けたあと。
同時に口を開いた。

「「もちろん、行く!!」」





■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



海里side


「海里ー…いつまでスマホ眺めてんだよ」

輝が俺の部屋で漫画を読みながら
呆れたような視線を向けてきた。
俺はそんな輝に言い返す。

「うっせーな!!最近、ハマってるアプリがあってだなー…」
「そんなすぐに、空からLINE返ってくるわけないっしょ」
「輝…お前人の話聞け。別に空の話とかしてねーから」

まぁ、確かに?
輝の言うとおり、俺は空からのLINEが気になって
こうして、携帯をいじっているわけですが。

「海里はさぁ…空とこのままでいいの?」

不意に。
そんな事を真面目に聞いてきた輝に。
俺は唖然としてしまった。

「好きなんだろ?告白とか…しねーの??」

その言葉が。
重く、深く…俺の心に突き刺さった。
俺だって、告白しようって思ったことはたくさんある。
——だけど。

あの日。



『空ってさー…好きなやつとかいんの?』

何気なく。深い意味なんかなさそうなスタイルでそう聞いた日があった。
その時の空の反応は。
分かりやすいぐらいに動揺していて。
笑えるぐらいに、面白かった。

そう思った反面。

好きな人の存在に、もやっとした俺。
誰なのか、結局分からないまま——。
言いたくなさそうだったから本人には何となく聞けずにいた。

青葉と七夏も知らなさそうだった。
だから、当然俺なんかが知るよしもない。

「あのなぁ…告白とか簡単に言うけど…空には好きな奴がいるんだぜ?フラれるの目に見えてんだろ」
「そんなの分かんないじゃん。…もしかしたら空の好きな奴が海里っていう可能性もまだ残ってるし」

それは、確かにそうかもしれねーけど。
俺はなぜだか…空の好きな人は
自分じゃないっていう確信がどこかにあった。

どうしてだかは…うまく、言えねーけど。
何となくそんな気がしたんだ。