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Re: 桃瀬 咲と。 ( No.3 )
日時: 2016/06/28 20:52
名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)

「ねぇ、それだけ?
もっと違う感想はないの?」

彼女はそれが不満だったらしい。
長い睫毛をぱたぱた動かして、不満そうに首を傾げた。

「あぁ__うん、そうだなぁ…うん、うん…ちょっと、現実的じゃないんじゃない?」

「そんなことないわ。全然平気。大丈夫」

折角必死に絞り出した言葉は、速攻で切り捨てられる。
だから感想なんて言いたくなかったんだ。

「でも、便利屋なんて僕らみたいな普通の中学生が出来るはずないだろ」

「全然平気。大丈夫大丈夫」

「…お前のその自信は、どっから出てくるの?」

桃瀬は軽くため息をつくと、僕の頭を叩いた。

「つべこべ言ってるんじゃないの。今日の放課後、あんたの家行くから。
そこで説明する」

それと同時に昼休み終了のベルが鳴って、桃瀬はいそいそと自分の席に戻っていった。

…便利屋、か。
いかにも桃瀬の考えそうなことだ。
ま、せいぜい子守とか犬の散歩とかをやらされるんだろう、な。

僕の考えは、この日の放課後変わってしまった。



*



その日の放課後、僕の家のインターホンが軽やかに音を立てた。
ホントに桃瀬が僕の家に押しかけてきたんだ。

僕は玄関まで下がっていく。
まぁ、来ないとは思っていなかったから、全然大丈__。

「いらっしゃ__」

「どうもー!ゴメンねー、ちょっと人数増えちゃって」

「…なんでもう玄関にいるんだよ…」

「鍵、空いてたしー」

あっけらかんと笑う桃瀬に、僕は思わず絶句して、頭を抱えたくなった。
あと、何が、何がちょっと人数増えちゃって、だ。

お前の後ろには、四人も人がいるだろ!
しかも僕誰一人として喋ったことのある人いないぞ!

「ごめんなさい、勝手に押しかけて…」

しかも、1人女の子が申し訳なさそうにしてるだけで、あとの3人は何にも考えてなさそうに突っ立っている。
僕の家の玄関で。

「ねぇ、そろそろ部屋で話さない?私、暑くなってきちゃった」

諸悪の根源の桃瀬は、伸びをしてそう言った。

「そりゃ、こんな狭い玄関に6人でいれば暑くもなるだろうよ」

僕はため息混じりに言った。