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- Re: 『R−18』 ( No.1 )
- 日時: 2016/07/16 13:35
- 名前: 彩都 (ID: 4IM7Z4vJ)
『R−18』 第十部 『選択過多少年』
第十部 第一部 プロローグ 過去と今を行き来する『モノ』
少年は目に闘志を燃やしていた、その理由は簡単だ、『このセカイを壊す』為に燃やしている──
少年の名は『十夜 日下部(とおや くさかべ)』──少年少女隔離施設通称『R−18』北地区 ユキタニ地区に住んでいる少年。
何時も右手には木の棒の先端に鋭い石を挿して細い紐で巻いている旧石器時代さながらの槍を持っている。
体は何時も傷が絶えない、それ程何時も怪我をしていると言う事だ──
服装は、何時も上半身裸の半ズボンだ、そして冬は長ズボンにTシャツの格好だ、今は夏の暑い時、七月だ──そして今の十夜は上半身裸の格好だ。
「ふあぁ〜あ……さて、これからどうしようか? ご飯も食べたし、戦う相手が居ない……」
そう呟きながら十夜は今居る場所──木の棒が九つ刺さっている崖に座っている──から振り向く──そこに広がる光景は『少年少女が楽しく暮らす光景』だった──
これが……この孤島の風景、そしてこの子等の笑顔を破壊する存在が俺……
十夜は下に俯きながらこの島の事を思い出す──
島の名前は『R−18』──正式名称は『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』だ──元々誰も居なかったこの孤島を改造して、俺や俺より小さい子達が住める様に政府が改造した島──無残に存在する地形や隆起、それを遊び場として少年少女は遊ぶ──そしてこの孤島に存在するのは、『18歳未満の少年少女のみ』! 18歳以上の『大人』は居ない──!
そもそも何でこんな孤島に俺等少年少女が閉じ込められているかと言うと、俺よりもっと大人な人間──御爺ちゃんとかそんなレベルの時代の事だった。
昔も昔、その時代の総理大臣が言ったらしいんだ、『大人と子を区別して隔離施設に入れたら性犯罪は無くなるのではないか』と──
そうして出来たのが『R−18法』、今の少年少女隔離施設の元になった物だ──当時結構な反感を買った法律だったが、何とか施行する事が出来た、そして17歳以下の少年少女は隔離施設──最初は島ではなく、刑務所の様な場所だった──に連れて行かれた──学校は団体で行く事になった。
すると少年少女の誘拐や性犯罪がめっきり無くなったのである、これで安心したニホンは今度は孤島に暮らさせる事にした──孤島なら貧弱な少年少女も急勾配な坂や、隆起した土地での暮らしで強くなって欲しい、との政府の考えだった。
そしてその法律は段々と悪意を帯びていった──今度は赤ちゃん迄もがこの法律の中に入らされたのである、これは流石に親御さんも怒ったが、『大事な息子娘を誘拐されたくは無いでしょう?』という政府のセリフに黙る事しか出来なかった──
だから十夜も赤ちゃんの頃からこの島育ちである。
そして少年少女が隔離されて、何も変わらずに今に至るという事だ──今迄に色々なニンゲンがニホンで戦ってきたけれど、この法律は変わらなかった──だから、今度こそ俺が潰そうと考えているのだ──
そう思いながら俯いた顔を上げた、すると、其処には一人の白いワンピースの少女が立っていた──名前は──?
「アキナ、安芸菜 朝倉(あきな あさくら)だよ、十夜お兄ちゃん?」
あぁ、そうだ、思い出した、アキナか……でも何でこんな辺鄙な場所へ?
「お兄ちゃん、もうお昼ご飯の時間だよ? お姉ちゃん達から『呼んで来て』って言われて、島中走り回ったんだからね!」
そう言われてアキナを見る、息切れ一つしていない驚異的な肺に少し驚きながらも、俺は言う。
「もう、そんな時間か、俺も早く行かないとな──行こうかアキナ?」
「うん」
そう言いながら手を繋ぎながら、俺は『自宅』へと帰った、まぁ、集合家族と言った所か──
二人は『自宅』へと向かう──『自宅』とは、一人では生きていけない子の事も考え、17歳、もしくは15歳以上の男女が親代わりを勤める家の事だ、その家には20人以上居る家もある──そして十夜は家長『ユキタニ』が仕切る家の人間だ──そして少し進んで、『ユキタニ』が居る家へと向かう──そして数分で家に着く、まるで海の家を髣髴とさせる様な室内に家長『ユキタニ』は仁王立ちで大声を荒げていた。
「おいおいぃ! 十夜が来ていないんだから食べるなぁ!」
するとアキナがか細い声で言う。
「十夜お兄ちゃん、来たよー?」
「おおぉ、そうか! 何をやっているんだ十夜!? 待っていたんだぞ! 少しは早く帰ってきたらどうだ!?」
「あぁ、はい、すんません……」
「全く……早く食べるぞ! 頂きます!」
家長『ユキタニ』のい怒号に小さな子や俺と同い年位の子は大声で『頂きます!!』という、やはり、この自宅は怒号がよく似合う──
家長『ユキタニ』、名前は『椛 雪谷(もみじ ゆきたに)』、16歳の女性である、頭には何時も三角巾を着けている白エプロンの女性だ、名前の通り『ユキタニ地区』を統治する女性だ、そしてこの家の家長でもある。
そして俺は『ユキタニ』の特製ご飯を食べる──うん、今日も美味い……!
そしてご飯を食べ終えて、あの木の棒が刺さっている崖で俺は呟く──
「俺が『このセカイ』を潰さないと……!」
そう呟きながら大きく深呼吸をする──
これは少年のニホンへの反抗の戦いである──