コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 『R−18』 ( No.11 )
- 日時: 2017/05/13 17:52
- 名前: 彩都 (ID: dSN9v.nR)
「うーん……」
十夜はそう唸り、頭を掻きながら、目を覚ます、昨日一昨日の戦い、完全に勝てなかったな、そう思いながら十夜は九つの墓がある崖に向かった。
「……なぁ、九人の戦士達よ、俺は『奴』に勝てるのか? 椛に……!」
そう呟いて、俯く、すると目から一滴、いや二滴以上の涙が溢れる、情けない、完全に情けない、自分はそう思いながら膝をついて涙を流す、大声で、雄叫びを上げながら涙を流す、すると、急に頭に冷水を掛ける存在が居た、その存在はアキナだった。
「アキナ……」
「男が泣いていると、みっともないよ? 泣くよりも前に進まなきゃ、もっともっと……前に前に進んで進みまくる、それが男ってもんじゃないの?」
「…………」
アキナの発言を聞いて、何だか力が沸いて来た、そうだよ、『前に進めば良い』んだよ! 何と言ういい情報をくれたのか、と十夜はそう思いながら、その場を立ち上がる、そして折れた足を叩いて大声で海に叫ぶ。
「ぜってぇ勝ってやる! どんな大人より! どんな島の住人よりも! 絶対に絶対に絶対に強くなってやる! 俺の成長は無限大なんだよ! 世界よ! 俺という存在を見縊るな! ぜってぇ……強くなる!」
十夜はそう叫んで、その場でへたり込む、そして折れた足を見て、静かにアキナに言う。
「こんな事をほざいている内は弱いな、とりあえず、骨折を治さないとな……」
「うん……案外声が耳に響いた……」
アキナはそう言って、十夜の足を睨む、折れている、と言っても、骨と骨を合わせるのが簡単で、早く治りそうなのは理解出来るが、結構罅があったので、早く治るかは分からない、最低でも一週間は様子見として、放って置かないと、そう思いながら、十夜を立ち上がらせて、自宅に戻る──
そんな十夜とアキナを空中で見つめる存在が呟いた。
「……見付けた、日下部十夜、お前が……」
その存在は棒付きキャンディーを口に咥えながら、静かに舌先で舐める、全く、『面白い』というモノは全然尽きないなぁ、そう思いながら空間を歪ませて、その歪ませた空間の中に入る──
「はぁ、骨折って大変だなぁ、手や腕ならまだしも、足は歩く為に重要な機関だからなぁ……全く、椛の奴め……」
十夜はそう呟いて、ユキタニに作ってもらった雑炊をアキナのフーフーによって、食べさせられている、腕は使える筈だが、ユキタニが『念の為』と言って、一向に食べさせてくれないのだ。
「俺ってば大丈夫なのに何でアキナに……」
「はいはい、ブツブツ言わずに食べて?」
「はぁい……」
十夜はそう呟いて、蓮華の上の雑炊を口に運ぶ、美味しいのは美味しいのだが、葱がしゃきしゃき、新鮮であまり美味しくなかった、雑炊で温めているのだから、葱もしんなりしてても良いのに……全く、新鮮な野菜はあまり好きでは無くなってしまうだろう、と、心の中で呟いて、ゆっくりと雑炊を食べる、そして我慢出来ずにアキナの手から雑炊入りの土鍋を奪って、一気に口の中に掻き込んで、咀嚼して、飲み込む、雑炊が熱かったのか、急いで冷水を飲んで、肉体を冷やす十夜。
「おらよ、これでいいだろ?」
十夜はそう言ってその場で寝転がる、アキナが『食べてすぐ寝たら牛になるよー?』と言うが、十夜は聞こえない振りをする、それにしても早く骨折を治したいなぁ、そう思いながらゆっくりと目を閉じる──
「全く、お兄ちゃんは私の言う事を聞かないんだから……」
そう呟いてアキナが溜息を吐く、もう、もう一人の人格が見たらどうなるだろう? 怒るかな? もしくは諦めるかな? そう思いながらアキナは溜息を吐く、何度溜息を吐いても、この苦労は尽きなさそうだ、そう思いながら青空を見つめる──
「おぅい、アキナー? 早く土鍋を持ってきてくれるかぁ? 早く洗いたいんだがぁ?」
「あっ! ごめんごめん! 物思いに耽っていたよ!」
アキナはそう言ってユキタニの言葉を聞いて、急いで土鍋をユキタニの所に持って行く。
「……アイツはどうだった?」
ユキタニがアキナに言う、するとアキナは両手を開けて言い返す。
「ダメだこりゃ、私の言う事を聞かないし、ユキタニの言う事も聞かない、相当心に来ているんじゃない?」
「成程なぁ……」
アキナの言葉を聞いて、完全に溜息を吐くユキタニ、すると一つ、良い案が思い付いた。
「あぁ、そういえば『アイツ』が居たなぁ、おまけに『アイツ』の下には十夜の知り合いが居るし……少し預けてみるかな?」
ユキタニの発言を聞いて、アキナが不思議がる。
「ん? 『アイツ』って?」
アキナの発言を聞いて、ユキタニは笑いながら答える。
「あぁ、『アイツ』の事? 『アイツ』は『椎名君の『地区長』』だよ、『アイツ』は男だし、何より、『椎名君という知り合いが居る』、預けても問題は無いだろう」
そう言ってユキタニは淡々と述べる、アキナは無理を承知で発言する。
「ねぇ、確か地区長には『二人の女性の副地区長』が居るよね? 私もお兄ちゃんと一緒に行きたい、そして強くなりたいなぁ……なんて?」
「あぁ? 何でアキナ迄……? まぁ、一人二人預けるのも別に困らないだろう、良いぞ」
ユキタニの発言を聞いて、内心とても喜ぶアキナ、アキナは十夜と共に椎名の地区長の所に行く為に準備を始める──そして時間は進んで翌日となる──!