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Re: 『R−18』 ( No.12 )
日時: 2017/06/17 20:20
名前: 彩都 (ID: ???)  

「骨折は治ったかな!?」
 十夜はそう言って、いきなり起き上がって自分の足を確認する、だがまだ折れている、たった一日二日で骨折なんて治る筈が無い。
「……やっぱ治っていないな」
 十夜はそう呟いて、机の方に移動して、両手を使用し、立ち上がる、次に十夜は片足だけで自分の寝床の方に向かい、松葉杖を手に取り、左手の腋に支えとして、使用する。
 十夜は松葉杖を使用して、居間に向かう。
「よぉ、お早う」
「お早うじゃない! また一人で動き出してぇ……あぁ、そうだ、十夜」
 十夜が居間に向かうとユキタニが少し怒鳴る、そして十夜に話し始める。
「お前、今日から椎名君の地区に移動して、少し面倒を見てもらえ、アキナも一緒だ」
「えっ? ちょっ!? 一体何の事だ!? 理由と、その他諸々を聞かせてくれよ!」
「聞いても無駄だろ? まぁ、大まかに言えば、『十夜、お前の行動がちと暴走し過ぎだから、他の地区に行って、少しは精神と性格を改めろ』っていう為に面倒を見てもらえ」
「えぇ……いきなり過ぎて話が追いつけないが、とりあえず、俺は椎名の所に行けばいいってか?」
 ユキタニの話を聞いて、渋々反論する十夜、すると静かにユキタニは頷く。
「あぁ、そうだ、それじゃあ、荷物は用意しているからアキナと行って来い」
「そうだよ、お兄ちゃん、ユキタニーこっちは荷物用意出来たー!」
「おう、分かったぁ! と言う事だ、アキナも準備が出来た様だし、さっさと行って来い!」
 アキナの言葉を聞いたユキタニはそう言って、大声で反論する、そしてユキタニは十夜の背中を叩く。
「頑張って来いよ!」
「い、いきなり過ぎて未だに訳分からんが……とりあえず、行ってくるぜ!」
 十夜はそう言って、松葉杖を使用して、玄関にいるアキナと共に椎名の地区に向かう──椎名の地区で何が起きるか分からないし、何も起きないかもしれない、それは行ってみないと分からない──

「ふぅ、歩くと近いんだけど、松葉杖だから、結構辛い……」
「まぁ、それは仕方無いよ、自業自得」
「お前……何つー難しい言葉を……」
 十夜はそう呟いて、溜息を吐く、結構近くなっているのに、何だか厭な感覚がする、何というか、『厭な予感がする』という様な感覚を覚える。
「あっ、確か此処が椎名お兄ちゃんの……!」
「んぁぁ? あぁ、此処だな!」
 アキナが椎名の地区の自宅を指差すと、十夜は静かに頷いて急いで椎名の地区の自宅を目指す、すると急に十夜はずっこけてしまう、アキナが心配すると、急にサイレンが鳴り響く、サイレンは『侵入者発見! 侵入者発見!』と叫んで、椎名の地区の人間を呼ぶ、そして家の玄関から、二人の女性が現れる、一人は巨乳の槍を持った女性ともう一人は貧乳の弓矢を持った女性が現れた、槍を持った女性は胸元が見えている、少しセクシーな格好で、下のスカートもミニで、後少しでパンツが見えてしまいそうな格好だった。
 それに対し、弓矢を持った女性はピンク色の着物姿で、胴体には怪我をしない様に胸当てを当てている格好だった。
「侵入者発見! 直ちに処理する!」
「これは私の獲物よ! アンタは引っ込んでおいて!」
 槍を持った女性が言う、すると弓矢を持った女性が牽制する、そして槍を持った女性が言う。
「はぁ!? アンタ一人だけ地区長にいいとこ見せたくない!」
「あぁ!? 何を言っているの!? 地区長にいいとこ見せちゃダメなの!?」
「ダメだ! 地区長は私の物だからな! 早く18歳になって、結婚するんだ!」
「えぇ!? 結婚するのは私よ! アンタみたいな奴と結婚しないわ、地区長は!」
「あぁ!?」
「えぇ!?」
 槍を持った女性と弓矢を持った女性が喧嘩する、こけた十夜は二人をじっと見つめる、アキナも十夜と同じ様に二人を見つめていた、すると玄関から金茶髪の白人の男性が現れた、すると急に槍を持った女性と弓矢を持った女性が詰め寄って猫撫で声で喋る。
「あー! 地区長さぁん! コイツが私の邪魔をぉ!」
「違いますー! 貴方が私の邪魔をー!」
「あぁ、分かった分かった、だけど、ちゃんと侵入者を見てよ、雪谷さんから紹介された二人だろう?」
「えっ?」
「えっ?」
 金茶髪の白人の男性の言葉を聞いて、振り返る二人、すると『あっ、本当だ』と言いたげな表情をする。
「…………」
「…………」
 アキナと十夜は無言のまま三人を見つめる、すると金茶髪の男性が二人に近づいて、手を差し出す。
「やぁ、日下部十夜君に朝倉安芸菜君、私の名前はロバート、ロバート・ダニエル・ジェームズだ、宜しく」
 そう言って金茶髪の男性──ロバート・ダニエル・ジェームズだ──は手を差し出す。
「あ、有難う、御座います……」
 十夜が頭を下げて感謝の言葉を述べると頭を撫でるロバート。
「君も大変だねぇ、足を骨折して、他にも色々な事が起きた……でも、此処に来たからには安心してくれ、骨折が治る迄居ていいからね?」
「あ、有難う御座います!」
 ロバートはそう言って、口の端を上げて笑顔になる、更にアキナにも頭を撫でるロバート。
「君も……出来る限りお兄ちゃん達が十夜お兄ちゃんを手助けするから、君も十夜お兄ちゃんを手助けしてあげてね?」
「う、うん! じゃなかった、はい!」
「おぉっ! いい返事だ、二人共いい返事だねぇ、若さっていいなぁ」
 ロバートはそう言って、両手を広げて二人に言う。
「ようこそ! 我が地区の家へ!」
 ロバートは両手を広げた後、二人を抱き締める、そして十夜とアキナは今日からロバートの地区の家に一時、滞在する事ととなった──滞在している間、ロバートの家で何が起きるかは十夜もアキナもまだ分からない──