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Re: 『R−18』 ( No.13 )
日時: 2017/07/15 20:49
名前: 彩都 (ID: yOB.1d3z)  

「あっれぇ? 侵入者って聞こえたから、駆けつけたが……まさかのお前だったのか、十夜」
 急に玄関から聞き慣れた声がする、そして十夜がロバートから離れて、玄関を確認する、すると其処に立っていたのは、椎名だった。
「あっ! 椎名じゃないか! 良かったぁ、居ないと思っていたぜ、だってお前、色々と移動しているから……」
「アッハッハッ! 確かにそうだな! ん? ダニエルさん、その女の子は?」
「あっ? そうか、お前はあまり見て無かったよな、コイツは安芸奈朝倉(あきな あさくら)、俺の妹分みたいな存在だ」
「アキナです、宜しく御願いします」
 椎名と十夜は邂逅して、少し話し合う、すると椎名がアキナに反応する、アキナは椎名に挨拶して、頭を下げる。
「おっす! 俺の名前は椎名! 椎名って呼んでくれ!」
「分かりました、椎名お兄ちゃん」
「おっ、お兄ちゃん呼びねぇ、他人に言われると何か面白いな!」
「そ、そうか? 俺は聞き慣れているからいいが……」
 十夜はそう言って、頭を掻く、そんな三人を見て、ロバートはニヤニヤしながら呟く。
「妹ねぇ……確かにこの家には妹、弟が足りないなぁ……自分より二、三歳、年が離れた弟、妹が居れば、もう少し家事も軽くなるんだが……」
 ロバートがそう言うと、椎名が小声で言う。
「アンタもアンタで、無意識か……全く」
「お前も苦労しているんだなぁ……」
 椎名の小声に対し、十夜も項垂れて、溜息を吐く──そんな二人を見て、アキナが呆れる。
「どうして男ってこういうのなんだろう……?」

「十夜君にアキナ君、君達も雪谷さんの場所から何も食べずに来たろう? だから、食事でもして、親睦を深めようじゃないか! 昼の小パーティーさ!」
「しょ、小パーティー?」
 アキナがロバートが言った言葉を反復すると、ロバートは強く頷く。
「うむ! そうだ! 昼は小パーティー、夜は大パーティーさ!」
「な、成程……つまり、宴的な?」
「うーん、ニホンではそう言うのかも」
 次に十夜が呟く、十夜の言葉に顎を当てながら、ロバートが言い返す。
「まぁ、今、それを深く考えても、意味が無い、今は新しい仲間が来たお祝いをしよう!」
「そ、それもそうだな、手厚く歓迎を受けているんだ、少しでも楽しまなくっちゃな!」
「うん! そうだね!」
 ロバートの発言を受け、十夜とアキナは強く頷き、自分達の目の前にある豪勢な食卓に手を突っ込んで、料理を食べ始める、料理の味に舌鼓しながら、二人はよく咀嚼して、飲み込む、何だこれは!? こんな美味しい料理、食べた事がない! 十夜はそう思いながら次から次へと手が伸びて行く、美味しい! この料理の味付けはどんな味付けなんだろう!? カレー? それとも出汁!? アキナはそう思いながら味付けについて考える、考えている内に手が次から次へと伸びて行く、二人は、目の前の料理を楽しんで、食べ続ける──
「ふぅ、美味かった……!」
「本当、そうだよねぇ? あぁ、後で味付けについて、話をしよう」
 十夜、アキナがそう言うと、アキナの言葉を聞いていたロバートが言う。
「ふむ、我が食卓の味付けに喜んでくれたかい?」
「はい! とても美味しかったです! 味を真似たいのでレシピを教えてくれませんか!?」
「レシピねぇ……果たして教えてくれるだろうか? 今朝の件もある、私も付いておかないとな……それじゃあ、一緒にレシピを教えに貰いに行こうか?」
 ロバートの言葉を聞いて、アキナが目を輝かせながら前後に首を揺らす。
「教えに貰いに行きましょう!」
「えーと、十夜君はどうする? 私達と共に料理の見学を受けるかい?」
 急に自分の事になって、落ち着いて、安心していた十夜は体を大きく動かして、驚く。
「えっ!? 俺ッスか? ……まぁ、アキナがロバートさんと一緒なら、安心か……いえ、俺は大丈夫ッス、俺は椎名達と共にこの家のガキ達と遊んでおくんで、お二人で楽しんできて下さい」
 十夜の発言を受け、『ふむ』と頷くロバート。
「あぁ、分かった、くれぐれも危険な事とか、危ない事はするなよ? 十夜君、君の足は折れているのだ、あまり激しい動くをすると、接合が難しくなるから気を付ける様に……あぁ、後、生まれ付き体が悪い子も居るから、あまり積極的に参加させない様に、他には……」
「大丈夫ッスから! 椎名から聞くんで!」
「あぁ、それなら安心だ、椎名は私にとって、安心出来る唯一の男子だからね……それじゃあ、椎名と楽しんでくれたまえ! 私達は料理見学だ!」
「おー!」
 アキナとロバートはそう言って、走って料理をする部屋──調理室──へと向かう、十夜は思う、ロバートの発言を……『安心出来る唯一の男子』、この部分に引っ掛かりがある、まるで、『男子がロバートと椎名の二人しか居ない』様な発言だ……十夜はそう思いながら顎に手を当てて考える、もしかして、『男子の中で一番の年上がロバートさん、二番目に椎名という構成』なのだろうか? そもそもとして、椎名の家の事は考えた事も無かった、どんな『家族』構成なのか、どんな人が居るのかなんて……まぁ、サイレンが鳴った時に現れた二人とか、ね……十夜はそう思いながら、ゆっくりと立ち上がって、椎名の所へと向かう、外から椎名の声がしている、と言う事は庭で遊んでいる、という事だ、十夜は松葉杖を使用して、外の庭へと靴を履いて、向かう──