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Re: 『R−18』 ( No.14 )
日時: 2017/08/19 22:27
名前: 彩都 (ID: Fm9yu0yh)  

「さぁ、さっさと行こうぜ!」
「お、おう……」
 椎名はそう言って十夜を急かす、だが十夜は足を骨折している身、松葉杖を使用しないと歩けない、なので、必然的に杖なしで歩くよりも遅く動いてしまう。
「中々に大変なんだな、杖って……」
 十夜はそう呟いて、椎名の元に向かう、すると、庭には色々な少年少女が立っていた。
「あっ! 今日来た人だ!」
「本当だ! 一緒に遊ぼう! ねぇっ!?」
「こらこら、この人は足が悪いんだ、完治してから遊んでくれ」
「えー!? 何でぇ!?」
「何でもクソもねぇだろ? 足を骨折したんだ、少しは休ませて上げないとな」
 椎名に群がる少年少女の言葉を一つ一つ返答していく椎名、十夜は椎名の姿を見て、『すげぇ』と思ってしまう。
 自分なら話の一つも聞いてくれないが……凄いな椎名は……そう思っていると、椎名が言う。
「えーと、この人は日下部十夜って人だ、今日から数日の間この家に泊まる人だ!」
「いえーい! 今日も賑やかぁ!」
「そうだねー! 楽しみー!」
「賑やか? 楽しみ? それって毎日の事じゃあ……?」
 十夜がそう言うと、一人の少年と一人の少女が言う。
「何言ってんのさ十夜! 毎日が賑やか!」
「毎日が楽しみの連続だよ! 毎日何が起こるか分からない! だから少しでも笑って過ごすんだ! そうすると賑やかで楽しいよ!」
 一人の少年と一人の少女の言葉を聞いて、『成程』と心の中で呟く。
 面白い考えをしているな、この地区は……そう思っていると、椎名が十夜に声を掛ける。
「おぅい、十夜ぁ? 自己紹介を済ませたんだし、こっちの自己紹介を済ませないとなぁ?」
「えっ? あぁ、そういやそうだったな、自分だけ『日下部十夜』って名乗っただけで、椎名以外名乗っていないな」
 椎名の発言を受け、顎に手を当てて頭の中で考える十夜、そして椎名が少年少女、幼年幼女達に声を掛けて、自己紹介の方法を教える。
「よし! これで皆自己紹介が出来るな! それじゃあ十夜に自己紹介をしよう! まずはお前だ如月ぃ!」
「えぇっ!? 俺ぇ!? まさかのトップバッターかよぉ!」
 椎名が声を荒げて如月と呼ばれた少年に指を指す、いきなりのトップバッターに如月と呼ばれた少年は困惑している。
「えーと、俺の名前は如月 葛城(きさらぎ かつらぎ)だ、葛城が苗字、如月が下の名前だ」
 そう言って如月と呼ばれた少年は自己紹介をする、十夜も自己紹介をする。
「俺の名前は十夜日下部、宜しく如月」
「おう!」
「それじゃあ次は睦月だ!」
 椎名は睦月と呼ばれた少女を指差す、すると睦月は顔を赤らめて椎名に言う。
「む、無理だよぉ! わ、私って引っ込み思案だし……」
「だぁいじょうぶ、大丈夫だって! 十夜も今は引き篭もりだし!」
「おいてめぇ」
 睦月と呼ばれた少女の発言に返答する椎名、すると椎名の頭を掴んで十夜が手に力を込める。
「あぁっ?」
「ゴメンゴメン! 冗談だって十夜くぅん?」
「冗談に聞こえないな……さっさと睦月とやら、自己紹介をしてくれないか?」
「ひゃう!? わ、分かりました……私の名前は睦月 時岡(むつき ときおか)と申します、よ、宜しく御願いします十夜さん!」
 そう言って睦月は十夜の前で頭を下げる、十夜は両手を振って睦月に言う。
「そ、そんなことしなくても良いよ! 俺は君より年下かもしれないだろう!?」
「そ、そうですかぁ? それなら頭を下げておきます……」
 睦月は十夜の前でやっと頭を上げる、すると椎名が他の名前を叫ぶ。
「それじゃあ弥生! 十夜に自己紹介だぁ!」
「えぇっ? 私ッスかぁ? 仕方無いッスねぇ……どうも、私の名前は弥生 翡翠(やよい ひすい)と言うッス、因みに男ッス、いやぁ女装していると男共が群がって面白いンすよ、本当」
 そう言って弥生が言う、十夜は自己紹介される迄『この子は女か』と思っていたからだ。
 そしてまさかの男で驚愕していた。
「お、俺の名前は日下部十夜、俺の事はからかうなよ?」
 十夜がそう言うと弥生は笑って十夜に言う。
「わぁってますよ……ていうか、アンタを誘惑したら、椎名さんが怖いッスからね……後、言い忘れていたッスけど、翡翠が苗字、弥生が下の名前なンで、忘れない様にして下さいッス」
「あっ、そうなのか、分かった、覚えておくよ弥生君」
「え、えーと、性別がバレる可能性があるンで、君付けではなく、呼び捨てで御願いするッス」
 十夜は弥生にそう言われて、静かに頷く。
「お、おう、分かった……」
「よし、弥生が終わったなら、次は卯月だな! 宜しく!」
 椎名がそう言うと、周りの中で胸が大きい少女が現れる。
「おっす! 私の名は卯月 愛嬢(うづき あいじょう)と言う! 以後お見知り置きを、日下部十夜君!」
 卯月と呼ばれた少女はいきなり十夜の手を掴んで握手する、上下に握手した手を揺らして、十夜は目の前がぐわんぐわんとなって、酔いそうになる。
「ま、待て待て! これ以上すると気絶するって卯月!」
「おっ? すまんすまん! 力が強過ぎて加減が出来ないんだ! 本当にすまないと思っている!」
「そ、そうなのか……それにしても力が強いな、どんな事をしたらこんなに力が出るんだ?」
 十夜が卯月にそう言うと、十夜に卯月は返答する。
「ん? 別に飯を食って、体を動かして……」
「……凄いな」
 十夜はそう言って頭を掻く──そしてメンバー紹介はまだまだ続く──