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Re: 『R−18』 ( No.2 )
日時: 2016/08/13 16:08
名前: 彩都 (ID: Btri0/Fl)  

「うっぷ……やっぱり大盛ご飯二杯は多過ぎたか?」
 十夜はそう言いながら自分の右手を口に近付ける、今は吐きそうで堪らない、それもそうなのだ、ユキタニ地区で食べる前に他の地区でもご飯を食べていたのだ、流石にユキタニの大盛ご飯を拒否する事も出来ず(拒否をしたら殴られて、もうご飯が食べれなくなる可能性もある)に何とか我慢して胃にご飯をかきこんだ。
 そしてパンパンになった腹部を見て、十夜は思う。
「流石に食い過ぎだ、少しは動いて消費しないと──」
 十夜は自分の部屋で鋭い石が刺さった槍を持って、外に出た──

『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』、島のサイズは鹿児島県、喜界島(きかいじま)とほぼ同サイズの島である、米や野菜はニホンから送られてくる物も多いが、個人個人ならぬ、個島個島で勝手に栽培している物もある。
 人参や大根は自分の地区の庭で作っていたりする、たまに米自体を栽培している地区も存在する。
 自分には無い野菜、もしくは米が切れた場合は、野菜や米を持っている地区と物々交換したりしている。
 そして『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』は四つに分割する事が出来る、東西南北に分けられる、十夜の居るユキタニ地区は東に位置している。
 地区といっても、一つだけでは無い、一つの方角に約10個程の地区がある、基本、一つの方角の地区はあまり他の方角の地区には行かない。
 何故行かないのか? それは簡単だ、『その地区によってルールがバラバラ』なのだ、例えば、『A地区』の人が『B地区』の人に恋をして、結婚をする事になった、だが『B地区』のルールでは、『二十歳を超えないと結婚出来ない』というルールがある、そんなルールがあるので、『A地区』、『B地区』の人は結婚出来ない、と言う様なルールがあるので、他の方角の人はあまり他の方角に手出しや関わりが少ないのだ。
 だが十夜はそれを望まない、望むのは『全ての方角の皆が楽しく一つの釜の飯を食べて、同じ家の屋根の下で眠る事』だった、だがそんな望みが叶う訳も無く、十夜は少しでも実現させる為、少しでも他の地区に顔を出したりしていた。
 そしてたまにご飯を奢ってくれたりもしてくれた、そしてたまたまユキタニの前に少しだけだが大盛ご飯を一杯食べていたのだ。
 なので、結果的に大盛ご飯を二杯も食べる事になるのだが──

「さぁ、今日は誰と戦おう……?」
 そう一人ごちながら十夜は周りを見渡す、だが人はあまり居ない、すると十夜の名を呼ぶ者が現れる。
「おーい、十夜〜? 今日はどうしたんだ〜?」
 そう言いながら上半身裸の褐色の少年、『椎名 轟(しいな とどろき)』が十夜に声を掛けてきた。
「あっ、椎名、お前こそどうしたんだ? 今日は外に出ているなんてなぁ」
 十夜がそう言うと、椎名は笑いながら親指を海に指す。
「それはうちの地区長さんが、『今日は浅蜊と蜆のどっちかの味噌汁が飲みたいなぁ』って言って、二人の準地区長の女性が躍起になって、今から海で潮干狩りさ」
 溜息混じりに椎名が言うと、十夜も同じ気持ちになる、椎名の地区長はイケメンなお兄さんだ、更に準地区長の女性は二人共椎名の地区長が好きな恋敵なのだ、そりゃ、カップルになりたいから躍起になるのも仕方無いが──
「流石に自分でやった方が努力点が貰えるかもしれないのになぁ……地区長は二人の気持ちに気付いてるけど、自分等を扱き使っているから評価は低いんだよねぇ、それに気付くのは何時なのかなぁ?」
 そう言いながらせせら笑う椎名、十夜も軽い笑いで済ましておく。
「これ以上道草も食ってられないからまた今度な、またな十夜」
「あぁ、また今度、闘おうぜ?」
 十夜が槍を持ち上げると、怖い笑顔を作り出す椎名。
「あぁ……そうだなぁ、次は俺が勝つぜ? 次を楽しみに待っているよ」
「あぁ、俺だって楽しみにしている、次こそは連勝してやる」
「俺も次こそは勝ちたいね」
 少しの言い合いをして、椎名は走って海辺へ向かった──アイツもアイツで大変だなぁ、そう思いながら十夜は槍を持って、『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』の島内を走り回った──

「うーん、結局、闘う事も出来なかった、だが走り回ったから少しは体力がついたかな?」
 そう呟きながら今日の活動は停止する事にする、残りは晩御飯を食べて寝るだけだ──するとアキナが僕に近付く。
「どうしたんだ、アキナ?」
「んー? それは簡単だよ、お兄ちゃん、私と闘って?」
 衝撃的な言葉が聞こえて、十夜は驚く。
「アキナ、それは本気か? 痛いかもしれない、。死ぬかもしれないんだぞ?」
 十夜は言葉で威嚇する、だがアキナは諦めない。
「私だって、強くなりたいんだ、だからお兄ちゃん、少しはこの地区の力にならせて?」
「……お兄ちゃん以外でも頼れる人は居るだろう? 他のお兄ちゃん、お姉ちゃんにしなよ……」
 十夜はそう言って、アキナから離れて、晩御飯を食べようと準備をする──アキナの顔が少しだけ泣きそうになっているのを十夜は見て見ぬ振りをした──