コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 『R−18』 ( No.21 )
- 日時: 2018/03/17 21:52
- 名前: 彩都 (ID: MMm5P7cR)
二日目の朝である、二日目の……『地獄』である。
十夜は静かに起きて、四つん這いで這って、外を、周りを確認する、外は少し明るく、まだ青色が濃かった。
体内時計で多分朝の五時だな、と判断して、何とか立ち上がる、片足でジャンプし、近くの松葉杖を手にする。
そして十夜は欠伸をし、外に出る、その理由は外の新鮮な空気を吸う為だ──
十夜が外に出ると、飲み物片手に縁側で師走原理がニコニコと笑顔で虚空を見ていた、そして十夜が、原理の前に立って、同じく虚空を確認した。
「…………」
にやにやと、にやにやと、口を歪ませ、原理が十夜を背後から見つめる、十夜はその場で深呼吸をし、空を見ていた──すると飲み物片手に原理が呟く。
「……どうして、こんな時間に起きたの?」
「……さぁ、どうしてでしょうか? 不思議ですね」
十夜はそう言って、あっさりと返答する。すると原理が静かに言う。
「昨日は……とても驚いたかしら?」
「……何が?」
「いや、ほら、アキナちゃんの事」
「……うーん、確かに驚いた、でも、『それさえも許す』のが兄だと思うんだ」
「ふぅん? 君の兄って考えは相当大きいんだね?」
「まぁね? だって、これは『九人の存在が貫いて持っていた考え』だからね?」
「『九人の存在が貫いて持っていた考え』…………? それってどういう事? ってか、九人の存在って?」
原理が不思議そうに言うので、十夜は静かに返答する。
「えーと、大まかに言えば、俺の家の近くにある九個の墓に眠っている九人の存在の事です、この『R−18』を壊そうと奮闘した、と言われる九人です、俺はそんな九人になりたいんです……! だから、俺はこの『R−18』を壊したいんです……! そして俺の親にも、アキナの親にも、アキナの前世の親にも、色々な存在の色々な親に会わせたいんです……! だから、だから……俺は『18歳になったら、ニホンを……ぶっ壊す!』って決めているんです……アハハ、ガキっぽい考えでしょう? どうぞ? 笑えば良いです」
十夜がそう言うと、原理は静かに飲み物を飲んで、返答する。
「中々に、中々にカッコいい夢、思いだと思うよ? でも、『それ』をするには……相当の体力、相当の時間、相当の……『人数』が必要になるわ、それでも、これら三つを集める事が出来るかしら?」
原理の発言に十夜は息を飲み込んで返答する。
「体力はまぁ、つければ良いですし、時間も……作れば良い、でも、『人数』だけは……どうにもなりませんねぇ……だから、『何か他の方法がある』と考えます、『人海戦術』が無理なら、『人川戦術』、『人滴戦術』でも、何でもすれば良い、少人数でも、行ってやりますよ」
「そう……夢を持つ事は重要よ、更にその『夢の大きさ』も重要、後はその夢が『叶えられるかどうか』って事……私はその夢、応援するわ、だって、『九人も何も出来なかったのに、たった一人、十人目の行動で変わる』だなんて、さぁ……?」
「……確かにそうですね……だから、俺はその『夢』を成し遂げなければならない……そして──」
十夜の発言を聞いて、原理はその場で噴出してしまう。
「あ、あは、アハハハハハハ! な、何それ!? 何その『夢』!? な、な、な、何て面白い『夢』なの!?」
「ちょっ!? 笑わないで下さいよぉ!? 真剣に考えた『夢』ですからぁ!」
笑う原理に対し、怒鳴る十夜、そして涙目になりながら、原理が言葉を紡ぐ。
「ご、ゴメンなさい……で、でも、とんでもない『夢』過ぎて……笑うしかないわよぉ!」
「えぇっ……!? そうですかぁ? 俺的には結構普通な『夢』なんですけどねぇ?」
そう言う原理に返答する十夜、そして玄関が動いて、其処からアキナが現れる。
「ふあーあ……良く寝たぁ……って、お兄ちゃん? 今日も朝早いねぇ? ユキタニの家じゃないのに?」
そう言うアキナに対し、十夜が言う。
「おっ? 起きたか、アキナ……さん?」
十夜がそう言うと、アキナはその場で噴出してしまう。
「フフフ……もう、お兄ちゃん? 私の精神年齢とか、その他が大人だからって、アキナって名前にさんをつけるなよぉ? 『意識は前世からだけど、それは中身の問題、外見はまだまだ幼い子』なんだから、別に呼び捨てでも良いよぉ?」
「えっ? で、でも、一応は、な?」
「だぁめ? 流石に呼び捨て、ね?」
「えぇっ……? あぁ、もう分かったよ……」
十夜はアキナの発言に諦める事にした。
「まぁ、仕方無いさ? だって、『体が覚えている』からな?」
「ハハハ、そういう私もそうなんだけど……」
十夜、アキナがそう言って、その場で笑う、そんな様子を見ていた原理が言う。
「アンタ達……まるで兄妹というより、恋人同士に見えるわね?」
「はぁ? 恋人ぉ? 流石にアキナは妹だから、そんな疚しい気持ちや変な気持ちはねぇよ?」
「そうだよ? 原理さんは可笑しな事を言うなぁ? 私とお兄ちゃんは『兄妹』なんだから? そんな『禁断な恋』は出来ないよ?」
「『禁断な恋』? どういう事だ?」
「えっ? あぁ、家族や兄弟で恋愛する事はダメなんだよ、ニホンの法律で」
「マジかよ、恐ろしいなぁ?」
「…………本当に仲良しね、この恋人……基、兄妹……」
原理は十夜とアキナの会話を見て、そう呟いた──