コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 『R−18』 ( No.3 )
- 日時: 2016/09/17 16:31
- 名前: 彩都 (ID: 69bzu.rx)
寝室──
一体どういう事だろうか? いきなりアキナが『お兄ちゃん、私と闘って?』だなんて……意味が不明だ、だが、アキナにもユキタニの力になりたい、という事の解釈で良いだろうか? いや、それは間違っているかもしれない、アキナは……アキナは『地区戦争』の意味で、『お兄ちゃん、私と闘って?』と言ったかも知れない。
くそっ、こんないたいけな少女を傷つけるなんて……俺には出来ないし、一生しない──十夜は布団で寝転がりながら頭の下に手を置いて考える。
教えたいのは山々、だけれど闘わせるのだけは厭なのだ、何故なら彼女がまだ幼いからだ。
まだまだ闘わせるのは早い、だから、だから十夜は闘わないのだ。
でもなぁ、来る時は来るのだ、闘わせないといけなくなる時期が来るだろう、その時迄待ってくれれば良いが──十夜はそう思いながら大きく深呼吸をする、するとユキタニが夜の見回りをする、そして十夜を見つける。
「おいおいおいおい、十夜、良い子は寝る時間だぞ?」
ユキタニがそう言うと十夜は言い返す。
「俺は良い子じゃない、喧嘩ばっかして、怪我しか作らないガキだ」
十夜がそう言うとユキタニは十夜の隣で寝転がりながら十夜を抱き締める、ふよんっと後頭部に柔らかいモノが当たり、十夜は焦る。
「おっ、おい! 姉ちゃん! 当たってるって!」
十夜は柔らかいモノから離れようと手や足を必死にもがく、だがユキタニは後頭部から抱き締めながら言う。
「良いんだよ、怪我しか作らなくても、怪我を作るのが男子、それを癒すのが女子なんだから──私だって人恋しい時だってあるんだ、少しは私の心の穴を埋めてよ?」
ユキタニがそう言うと、むすっとした顔で十夜は言う。
「……今日だけだぞ、今日だけだかんな!」
十夜はそう言いながら腕を組む、その行動にユキタニは少しだけ微笑みながら抱き締めながら十夜の頭を撫でる、いや、強く、ぐわしぐわしと頭皮と髪の毛ごと手で擦る、と表現した方が分かりやすいか。
「痛い痛い痛い! 痛いって、姉ちゃん!」
十夜が皆を起こさぬ様に小声で言っても聞いてくれない、完全に自分の世界に入っている、十夜は後頭部に当たる柔らかいモノと頭に走る痛みの両方を感じながら十夜は瞼が重くなる──視界が……段々と……暗く……くらく……
ハッ! と気が付いて目が覚める、隣にはユキタニが頭を撫でる(正確には擦り付ける)のを止め、後頭部に当たっていた柔らかいモノにも離されていた、外は少し薄暗いが、青かった、なので、今の時間は早朝というのが分かった、十夜は 目を擦って、強制的に目覚めさせる。
「今日は早いなぁ……さて、時間を潰そうか──何処へ行こうかな?」
十夜はそう呟きながら起き上がる、掛け布団はユキタニにかけてっと……十夜は布団をユキタニに掛けた後、寝室を出る。
次に蛇口を捻って、冷水を出す、今は七月なので蛇口から出る水も少し温(ぬる)い、なので少し無駄だとは思うが、水を出して数秒待つ、そして手を蛇口から出る水に突っ込む、ふむ、少し冷たくて気持ち良い、そして手で器を作り、その溜まった水を自分の顔をにぶつける──冷たい、一気に睡眠欲が吹っ飛んだだろう、そう思いながら自分の顔を洗浄する、ばしゃばしゃ、と自分の顔に何回も手で作った器の中の水をぶつける、そして完全にスッキリして目覚める、よし、これで寝る事は無いだろう。
十夜は次に旧石器時代さながらの槍を持ちながら外へ出かける、向かう場所なんか無いのに──
「…………」
十夜は無言になりながらバケツの中の水を木の棒が九本刺さっている崖の一本一本の木の棒に向かって水をかける、それを九回繰り返す、この『人達』の様に俺もなりたいなぁ──そう思いながら大きく深呼吸をした──
九本の木の棒──そこには『R−18法』を壊そうとした九人の少年少女の墓であった、簡易的な墓ではあるが、これも一応は立派な墓なのだ。
一本一本にその少年少女の名前が記されているが、今は時の経過によって消えかかっている、なので今はもう読めない木の棒の方が多いのだ。
もう少し深く掘っていれば良かったのだが──そんな過去の事は今更言ってももう遅いが──
自分も『R−18法』を壊せる様な人間になりたいなぁ……まぁ、こんな有名人じみた事は出来なさそうだけど──そう思いながら溜息を吐く。
それもその筈、『R−18法』を壊そうとした九人の少年少女は遥か彼方の国、ニホンでは重罪に重罪を重ね、超極悪人の超大罪人の人間として扱われている、それ程この『R−18法』の法律は完璧で、抜け目が無い法律、だからだろうか? それは十夜には分からない。
そんな人間に十夜はなりたいのだ、その道がどれだけ過酷かは知らないが──
「……さて、水もやったし、俺も少しはこの島を歩こう、何か面白い発見があるかもしれない──」
そう言いながら十夜は崖から離れる、そして海沿いに向かって十夜は島の周りを歩く、新しい発見をするか分からないが、今は前に進みたかったのだ──少年の一歩は最初は小さかった、だが段々と今では大きくなった、だがそんな事は十夜は知らない──