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Re: 『R−18』 ( No.30 )
日時: 2018/12/15 23:22
名前: 彩都 (ID: okMbZHAS)  

「あぁぁぁぁ……!」
 悲鳴をあげ、苦しむ椎名を見て、怒りをひた隠しにするアキナ。
 だが、『椎名の悲鳴を聞いて、耐えられる存在ではなかった』、アキナは耐え切れずに『止めろ!!』と、叫んだ。
「おぉっ? 止めるん? 本当に止めてえぇん?」
「止めろって言ってんだよ、聞こえないのか低脳は? そもそも人の悲鳴を聞いて、耐え切れるような存在では無いのでね、私は?」
「えっ? アキナちゃん、何か口調がへ──」
「お前は黙ってろ、椎名」
 突然雰囲気が変わったアキナに不思議がる椎名、そして椎名がそれを指摘すると、アキナは静かに椎名を止める。
「はぁー……全く、あまりこの姿を十夜お兄ちゃん関連の人間には見せたくないんだけどなぁ? 椎名お兄ちゃん? 『今からする事は全て忘れていて』ね?」
 アキナはそう言って、椎名の前に移動し、背後の椎名に言う、椎名は『は、はい……』と、驚きながら返答する。
「……よし! それじゃあ……逝きますか」
 アキナはそう言って、背後の久上に向かって、『回し蹴り』を放った、だが、回し蹴りと言っても、アキナはまだ幼い、幼いので、回し蹴りで頭部を狙えずに、脇腹を蹴ってしまう。
「いってぇ!? な、何すんねんこのガキぃ!?」
「ガキ? おいおい? 私はガキじゃないよ? お前達は分からんようだが……私は軽く二十歳を越えたいい年した人間なんだぜ? ガキが私に歯向かうな」
 アキナの発言を聞いて、久上、妹はその場で大笑いする。
「あははははは! 何が『二十歳を超えた言い年した人間』だってぇ? そんなん今の状況じゃぁ、意味がねぇ! ワイらには関係がねぇ!」
 苦情はそう言って、その場で口の端を歪ませるが、アキナはその場で大きな溜息を吐く。
 そしてアキナは静かに『これだから馬鹿は仕方無い』と、呆れる。
「お前達じゃあ私には勝てんよ? それは年の功が証明しているから」
 アキナはそう言って、脇腹を抱える久上を見て、再度腹部に蹴りを放った。
 今度は避けきれずに攻撃を受け、椎名同様、倒れてしまう。
「おいおい? 何で倒れるんだよ? 可笑しいだろぉ? 年上の私を笑ったのに、何で倒れて動かないんだよ? ほら、さっさと立ち上がれよ、ザコ風情が? ほら、ザコなお兄ちゃん?」
 邪悪な笑みを浮かべ、発言するアキナに対し、椎名は『こ、コイツは誰だ……?』と、恐怖していた。
 そして久上は言われるがままに立ち上がり、『うっせー、お前のワンピースの中を確認していただけだ』と、言い訳を言う。
「ほう? その年でロリコンを発症しているのか、何て最悪な兄貴なんだ? ほら、妹ちゃん? お前の兄貴はこんなにも変態なんだぞ?」
 アキナがそう言って、振り向いて、妹の方を向く、すると妹は静かに『それは知っとう』と、発言する。
「!?」
 まさかの返答にアキナはドン引きしてしまう。
「ま、待て待て待て待て!? 何その要らない情報!? ってか、知っているんなら、責めろよ!?」
「責めても無駄やろ? 好きなもんなんやから? 私は好きなもんを否定されたくないし? それなら兄貴もそうやろ?」
 そう言う妹に対し、『せやな』と、返答する久上、そんな久上、妹コンビに対し、アキナは静かに呆れる。
「お、おいおい……? 何なんだよこの兄妹は……? まぁ、いいか」
 アキナはそう言って、静かに呆れ、二人を見る。
「さぁて……それじゃあさっさとアンタ達を倒すか」
「はぁ? ワイらを倒すって? どうやって? 迷宮に迷いし子羊よ?」
「おいおい? そんなの簡単だよ? ねぇ、椎名お兄ちゃん?」
 気を抜いている時に突然呼ばれ、椎名は『ひゃ、ひゃい!?』と、変な声を出す。
「私を負ぶって、『木に登れ』る?」
「……一応は、まぁ、頭の痛みも慣れたら消えるしな?」
「そうか、それじゃあ、『私を負ぶって』よ? 指示を出すからさぁ?」
「し、指示って……アキナちゃん──いや、アキナさん? 貴方の行動にどうこういう理由は無いかもしれないが、本当にこの状況を打破出来るんですか?」
「出来ない」
「えぇっ!?」
「でも、やってみなくちゃ分からない、可能性は……ゼロじゃない!」
 アキナはそう言って、真剣な眼差しで久上達を見る、そして立ち上がった椎名の背中に抱き付いて、発言する。
「椎名お兄ちゃん? 何か不具合は? 例えば、首に手を回してとか?」
「ん? いや、無いぜ? 他の小さい奴によく体を木登りされているからな?」
「そう? それじゃあ言うよ? 『木に登って!!』」
「お、おぅ!?」
 アキナの発言に椎名は少し驚きながら、近くの木に登り、光が見えるレベル迄よじ登る。
「よし、作戦は成功……それじゃあ、『もっと上に移動して!』」
「あ、あぁ!」
 椎名はアキナにそう言われ、仕方なく、頂上に移動、すると『木々が生い茂った廻り』が確認出来た。
「よし! そのまま猿のように木々に乗り移って移動!」
「わ、分かった!」
 言われるがまま椎名は移動する、そしてアキナが静かに言う。
「『迷っているのなら、登って視界を開かせ、周りを確認して移動する』、それが『迷路の脱出方法』だ!」
 アキナの発言を聞いて、椎名は『成程!』と、思う、そして二人は久上兄妹の『森林迷宮劇場(シアター・フォレスト・ラビリンス)』から、脱出する事が出来た──そして進むは真っ直ぐ、『統一軍の社』だ──