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Re: 恋する乙女。 【短編集 リクエスト募集中】 ( No.16 )
日時: 2016/07/28 14:05
名前: ももたん ◆hjAE94JkIU (ID: EoZogUA7)

*叶わない恋、きっと叶う恋*

「はぁぁ…」

昼休み。
私は、教室の真ん中、自分の席で大きくため息をつく。

「どーしたのよ春香。ため息なんて珍しい」

イスを少しだけこちらに向けて話しかけてくるのは、前の席に座っている私の幼いころからの友人、智美。

「んー…。いや、叶わないことがあるって、むずがゆいなぁ…って」
「叶わないこと?何それ。話くらいなら聞くよ?」

智美は、椅子を完全に私の方へ向けて座り直す。

「誰にも言わないでね?」
「もちろん。今までの秘密ごとも、ばらしたことないよ」

すぅ…と息を小さく吸い込む。

「わ、私…。涼風くんに、一目ぼれしちゃった…」
「…は?」

智美が、目を大きく見開く。

「すずかぜ…って、あの、涼風了?学年…いや、学校のプリンス?」
「う、うん」

智美が黙る。きっとあきれているんだろうな。

だって、私が一目ぼれしたのは、学校のプリンスといわれる涼風了君。
綺麗な整った顔立ち、紳士な振る舞い。
まさしくプリンス。男子からも女子からも人気を集めている。

バレンタインには、チョコを50個はもらい、ホワイトデーにはくれた人全員にチョコを返す。
告白された回数、100回以上。1日1回は当たり前だそうで。

そんな彼が、私みたいな凡人に目を向けるとは…到底思えない。

「本気、なんでしょ?」

智美が口を開く。

「…うん、本気、です」

何を言われるんだろう。全く読めない。

「じゃあさ、本気で恋、してみなよ」





智美に「本気で恋をしてみろ」といわれて半年。
言われた通り、本気で恋をしてきた。
そしたら、涼風君の好きなことや、性格とかがたくさんわかってきた。

こんなこと自分でいうのもあれだけど、ここまで涼風君のことを知っているのはなかなかいないんじゃないかと思う。

受け取り方によっては「ストーカーかよ…」ってなるんだけど、本気で追っかけて、恋をして。
だから、自信が持てた。

「叶わない」と思っていたこの恋。
今は、「きっと叶う」になった。

だから、今日、勇気を出すんだ。


これは、私の叶わない恋が、きっと叶う恋になった瞬間のお話。

END