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Re: 恋する乙女。 【短編集 コメント・リクエスト募集中】 ( No.43 )
日時: 2016/08/14 13:39
名前: ももたん ◆hjAE94JkIU (ID: eK3o4NTV)

*夏に恋した女の子*

「かっこいー…」

ポソリとつぶやく友人。
多分、無意識に声に出たんだと思う。

彼女の目線を追うと、その先にいたのはグラウンドで走り回る男子達。
その数は10人ほどいて、いったい誰を眺めえいるのかはわかったものじゃないが、たぶんアイツだろう。私の幼馴染…いや、訂正。腐れ縁だ。

どうしてあんな奴のことを好きになれるのか分からない、と一度彼女に言ったことがある。
すると彼女は、

「腐れ縁腐れ縁って言ってるひーちゃんには分からないだろうけど、私なんかから見たらかっこいいもん」

と答えた。
うーん、残念。腐れ縁の私にはそんな感情、微塵もわいてこない。

まあ、それでも別にいい。
長い付き合いの彼女の恋愛、手伝ってやろうと思う。





「ねえ夏恋」
「ちょ、ひーちゃん!私夏恋じゃないって!」

私は、彼女のことを「夏に恋した女の子」という意味で夏恋と呼んでいる。
本名には何一つ関係ない。

「いいじゃん別に」
「よくないんだってー!もーっ!」

さて、こんな自分の恋を分かっているのかいないのか状態の彼女は、無事ハッピーエンドにたどり着けるのか。
そんなもん誰も知ったこっちゃない。知っているとしたら、神様くらいだ。

「ほら、夏恋。来たよ、アイツ」
「あっ、ほんとだ!ちょっと行ってくる!」
「これ持ってってみ。好きだから」
「わかった!」

彼女に手渡したのは、アイツが大好きなジュース。
朝練が終わった後だから、必ず飲むはずだ。

こんなに色々と理解している私の助けがありながら、この恋を逃がしたら許さないぞ。
ちゃんと幸せ、もぎ取って来い。


これは、私の友人が幸せをもぎ取るほんの数分前のお話。

END