コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *あの日見た夢は* ( No.22 )
日時: 2016/07/29 11:51
名前: 陽 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

最終話:誕生日



千奈の後をついていく。

あの夢でみた交差点が近くなってくる。

私はもう心臓が飛び出そうだった。口から何かを吐きそうだった。


そしてあの言葉が、降ってきた。


「空ちゃん、私ちょっとコンビニ行きたいんだ」


・・・。

「空ちゃん?」


声が出ない。予想していたことだけど声が出ない。


「ねえ、空ちゃんってばどうしたの」


「・・・一緒に行こうよ」

「えっと・・・ちょっと空ちゃんには秘密にしたいこと」

「何よそれ!」

突然怒り口調になった。

「え・・・そんな、怒ることではないんだけど」

「だから何?何見に行くの?」

「言えない」

「何で言えないの」

千奈は黙った。
何拍子か置いてから、千奈が口を開いた。

「お願い・・・1人で行かせて」

千奈は涙を流していた。

「空ちゃん・・・お願い・・・」

「あっ・・・」


今引き止めないと、事故に会う。

かといって・・・どうしたら・・・。


___私だって、言いたくない。そうしたら事故に会うんだよ?

あの日見た夢はやっぱり、正夢だったんだ。



でも引き止め方が分からない。

「駄目?」

「いや・・・ごめん私も言い過ぎた」

「じゃ、ちょっと行ってきていい?」

「う・・・」


言葉が詰まる。当然だ。

何とも言えなかった。


「行ってくるね」

・・・。

交差点へと足を踏み込んだ。

その瞬間見える。赤信号を無視する車が。


「千奈!」

危ないとは言えなかった。

「ん?」

「行ってらっしゃい・・・」

「うん!」


時間を稼いだ。千奈は歩く。

赤信号を無視した車はこちらへ向かってくる。



___お願い、神様。千奈を助けて。


千奈は歩いている。車は向かってくる。


その瞬間。


私は目を瞑った。



「っ・・・千奈・・・お願い・・・助けて・・・神・・さ‥」






____でも、予想した音は鳴らなかった。


代わりに、「パンッ」という、少し情けない音が鳴った。




私はゆっくり目を開ける。




千奈が腕から血を出している。でも、




___立っている。



接触しただけだったのだ。



ポケットからティッシュを出す千奈の姿を、後ろから見つめていた。



そして、千奈は何かを買って、こちらへ戻ってきた。



「・・・千奈!」

「あはは、参ったよ、まさか腕と車が接触するなんてね」

やっぱり接触はしたんだ。その程度の血で済むものなのかな。


もう千奈がコンビニで何を買ったとか、どうでもよかった。


とにかく、無事だったことにこの人生の中で一番の喜びを感じられた。


そして歩く。私の家に向かって。



私の家に着く。

「それじゃあ千奈、ばいばい」

「あ、ちょっと待って!」

「え?」


カバンから袋を取り出す。


「誕生日・・・だよね、今日」



・・・!
そうか、今日は私の誕生日だったのか。


「さっきコンビニで買ったのは、空ちゃんが大好きって言ってたラムネ」

確かに私はよくコンビニとかで売ってるラムネが大好きだ。

「・・・!!」

「ふふっ、いつもありがとうね、空ちゃん」

「千奈・・・ありがと・・・」


千奈はにこっと笑った。


「改めて」




「空ちゃん、誕生日おめでとう、これからもよろしくね」






END



全話読んでくださった方、この話を読んでくださった方、有り難うございました♪
何か心に残るものを作れていたら嬉しいです(ないとは思いますが

次また、新しい小説書こうと思っています。
今回中々ショートな形になったので、次は長めのを・・・。



コメント、よろしくお願いします<(_ _)>