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Re: *再恋華*(実話) ( No.26 )
日時: 2016/07/29 23:21
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: u5JYbeHw)
参照: 今は当たり前なんて思わない

第二十話『悟る想い』


「……本当のこと全部言って。隠さないで、本当に」


なんだか日本語がおかしくなりながら、私はまなに近付いた。
まなは私の顔を見て、唇を噛む。


「もう嘘はついてない、本当に!」
「別に仕方ないもん、私が勝手に好きになったわけだし。前から春ちゃんと壱は仲良かったし」


どんどん、言ってることが自分でもよくわからなくなってきていた。
最初から私の入る隙間なんてなかった。


それでも、


「傷つかないから隠さないで」


まだ何か救いの言葉をまなの口から聞きたかったのかもしれない。


「……うーん……。いや、でもまだわかんないよ?」


まなは首を傾げ、私の顔を見つめる。
『まだわからない』
確かに、まだわからない……かもしれない。
でも私は、色々見てしまったのだ。


「答え、出てるようなもんじゃん」
「まだ春が好き、って聞いたわけじゃないしさ! それに悩んでるっていってたよ、壱」


まながそうフォローしてくれるが、無理してるのがわかる。
きっと、もうまなもわかってるんだ。


悟ってしまったものは、もうどうしようもない。


「両想いなのに、壱は何を悩む必要があるの? これで悩んでたら二年前の私の時と同じになるじゃん」


壱は、また繰り返すのだろうか。
私が今後悔してるんだから、壱だって後悔するに決まってる。


春ちゃんと両想いなのに、もったいないよ。


「……いや、依麻と付き合うかで悩んでるのかもよ」
「そんなわけないよ。壱からそうやって聞いたの?」
「ううん、聞いてない……。聞いてくる」


まなはそう言い、トイレから飛び出して行った。
私はまなを引き留めようと手を伸ばしたが、宙を裂いただけだった。


……結局、直接LINEを見せてもらっていない。


そう思い立ち尽くしていると、


「依麻!」


すぐにまなが帰ってきた。


「……どうしたの? まな」
「壱、バイトだからもう帰っちゃったかも! あとで壱のバイト先行くからその時に聞いとくよ」


まなはそう言い、私に向かって微笑んだ。
……これで、全部わかるかもしれないんだ。
もしかしたらこれが最後になる、かもしれない。


だから私は、


「……最後に一つだけ、言っていい?」
「ん?」
「まなが私のこと思って言いづらいのはわかるしありがたいよ。……でも隠される方が傷つくし、友達ならちゃんと正直に教えて」


もう戻れない。


「……泣かないでね?」


まなはそれだけ言い残し、女子トイレから出た。