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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *再恋華*(実話) ( No.28 )
- 日時: 2016/07/29 23:43
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: u5JYbeHw)
- 参照: 今は当たり前なんて思わない
第二十二話『割り切れない心』
壱に振られたような形になった次の日。
私は学校を休んだ。
行かなきゃいけないのに、なかなか行けなかった。
壱の顔を見ると、泣いちゃいそうだったから——。
だから一日だけ、逃げた。
ぼやーっとした思考回路で、布団の中でSNSを見てると、春ちゃんが『やだやだ! 絶対嫌だ』と呟いているのが目に入った。
……きっと、壱のことだろう。
こうやって気にするのももうやめなきゃいけないのに。
私はSNSを閉じ、溜息をついた。
——そして、今に至る。
「……はぁ」
もう逃げる訳にはいかないし、私は学校に復帰した訳だが……。
溜息が止まらない。
私が休んだ昨日、壱も早退したらしい。
今日は壱もきちんと学校に来ていて、休み時間の度に春ちゃんは壱の元へと来ていた。
それをただ、私は黙ってみていることしか出来なかった。
壱と、二人きりで楽しそうに話している春ちゃん。
私が休んだ間に進展したのかしら、おほほ。
まぁ、私にはもう関係のないこと——……。
と、割り切りたかったが。
簡単には割り切れる訳がないので、私は耐えきれずに廊下へ飛び出した。
……その時、だった。
「……!?」
廊下に出た瞬間に、こちらに向かっていた孝仁と目が合ってしまった。
しかも、孝仁の隣には美紀ちゃんがいる。
……どうして、このタイミングで……。
孝仁は私からすぐ目を逸らした為、私も我に返りすぐに俯く。
すると、今度は視界に孝仁の手が映る。
——孝仁の右手には、美紀ちゃんの左手。
孝仁が美紀ちゃんの小さな手を引っ張って歩いていた。
「……最悪」
私は二人に聞こえないように、小さく呟いた。
孝仁のことも壱のことも全部全部全部、割り切りたいのに。
簡単に割り切れない自分が、大嫌いだ。
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