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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 溺死桜 ( No.17 )
- 日時: 2016/08/13 21:31
- 名前: 織原ひな (ID: Qz56zXDk)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
_______私を縛り付ける、痛々しく甘い言葉。
「もう、そんなに花桜ちゃん身構えなくてもいいのに。だってさ」
_______ほら、また私を縛ってくる。
「俺たちは"たった二人の双子"なんだから。他人でも年の差がある兄弟姉妹でもない」
扉の陰から見えていた蒼空はいつの間にか隠れることなく堂々と立っていた。
私の部屋には一歩も踏み入れず、ただ開け放してるドアの外で。
表情は今さっきと同じ笑顔のはずなのにどこか寂しそうに、苦しそうに見える。
私と蒼空を取り巻く空気が重く、冷たい。
何も言えない。
何か言いたい、言い返したいのに。
空気の重さか何かが私を縛り付ける。
「なんてね」
空気を断ち切ったのは蒼空本人だった。
「ごめんね、お着替え中お邪魔しちゃって。俺も制服に着替えてくるよ、遅刻しちゃいけないもんね」
蒼空はそうとだけ言って扉を閉めた。
パタパタと廊下を歩いていく音が遠ざかっていく。
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