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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 溺死桜~参照1000突破 ( No.24 )
- 日時: 2016/08/15 16:13
- 名前: 織原ひな (ID: Qz56zXDk)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
***
「おーい、蒼空ー」
「ん、ちょっと待ってー」
普通、玄関先で待つのは男子だと思うんです。
用意に時間のかかる女子、それを先に行って待つ男子。
男女仲ならたとえ双子であってもありそうなんだけど、私たちの間ではない。
むしろ、逆。
いっつも私が蒼空のことを待っている。
なんでそんなに遅くなるのか私も分からない。
もしくは私が早すぎる……のかな。
「おまたせ〜花桜ちゃん」
「……待たせすぎ、蒼空」
そう指摘すると蒼空はエヘヘとはにかんだ。
数分前の寂しそうな笑顔を忘れさせるような、それは元気そうな。
こんな素敵な笑顔を見せられると余計あの寂しそうな笑顔が忘れられなくて逆に思い出してしまう。
「じゃあ行こっか、遅れちゃうし」
「うん、そうだね」
私たちはそう言って歩きだした。
朝なのに暑い日差しが私たち二人を後ろから差していた。
並んで歩く私たち。
アスファルトに延びる二つの影。
私より背の高い蒼空の影が私より先を進んで行ってる。
私は影の高さだけ合わせようと意地になって、一歩大股になって踏み込んで蒼空の隣を少しだけ抜け出した。
『双』完
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