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Re: 溺死桜* ( No.36 )
日時: 2016/09/16 21:26
名前: 織原ひな (ID: t5agwx1g)

『緒』 【花桜】



「蒼空くんのこと好きなの?」



 は!?



「は!?」

 心と声が見事に一致した。
 いや……一致するのが普通なのかな。


 時は放課後、真夏の太陽は時間を裏gるような暑さを大地に注いでいる。
 もうすぐ8月、近付いてくる夏休みに生徒皆の様子も心なしか揚々としている。
 此処はこの星谷第一高校の体育館。
 正確には体育館脇にある水道場。
 今私はサッカー部員のための濡れタオルを作っている。
 練習中はたくさん汗かくからね……作っておかないと……

 私……というか私たちだね。
 この星谷第一高校、通称星高のサッカー部のマネージャーは2人いる。
 今隣で一緒にタオルを絞ってるこの子。
 指宿涼子、いぶすき りょうこちゃん。
 私と涼子ちゃん2人でこのサッカー部をマネージャーとして支えている。


「え、突然なに……涼子ちゃん……」

「だから、花桜ちゃんは蒼空くんのことが好きなのかなって」
 涼子ちゃんは汗ばんだ体操服のなかをタオルで拭きながらこっちを向いて聞いてくる。

「いや、……なんでそんな突然変な質問を……」

「ん〜なんでだろ、なんとなく」
 タオルの水をきゅっと絞って涼子ちゃんは首を傾げた。
 
「別に蒼空は双子の弟だし、そりゃ弟として好きあよ……当たり前じゃん」

 「いやー、そうじゃなくてさ、蒼空くんかっこいいし、恋愛感情も少なからずあるのかなって」

「んー……」


 私もタオルの水を絞ってバスケットの中に入れた。




 * * *


 蒼空ははっきり言ってモテる。
 高身長に甘いマスク、優しい性格。
 加えてイケメン。
 
 そりゃあ間違いなくモテる。
 私にとっても自慢の弟。


 それでも……恋愛感情なんて……


 * * *



「ないない、なんで実の双子の弟に恋愛感情なんて」

「まあ、近親相姦とか言ったら聞こえは悪いけどさ……」



「おーい、マネージャー!!そろそろ休憩はいるぞー!!」
 
 少し遠くからコーチの声がした。
 そろそろ休憩に入るってことは私たちの作ってる濡れタオルが活躍するってこと。



 うぅ……朝のこともあるし涼子ちゃんから言われたこと考えたら蒼空と話しにくいかも……




 * * *