コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: この思い、届いてください【コメ募集中】 ( No.2 )
日時: 2016/10/15 22:02
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

「「届かないこの思い」」
_______________




「眞城くん」

この一言さえ言えなかった。


「好きです」

こんなこと、一生言えない。


「付き合ってください」

死んでも言えないと思う。


それでも私は、クラスメイトで人気者の松宮眞城くんのことが好き。
話しかけることが出来なくても。


「灯香」
「うん?」

いつも聞き慣れている声。その声の主は私の友達、美千保。
今日から中学1年生。美千保の声は少し大人びていた。

「美千保、おはよ」
「おはよう〜」

この声を聴くと、なぜか安心する。
いつも完璧主義者の様で周りからそう言われているけど、私にはそんな素振りはあんまり見せない。

「灯香は・・・その制服似合うよね」
「制服に似合う似合わないとかある?」
「あるよ〜、私なんか全然似合ってない」
「そんなことないでしょー」

青色のブレザー。緑のスカート。
水色のリボン。

ごく一般的な制服。
それに似合う似合わない・・・ないよね・・・?

「今日は入学式だね」
「一切親を呼ばない入学式・・・」

そう、なぜかこの学校は親を呼ばないらしい。入学式に。
変わりすぎ。てか意味が分からない。


「クラス、一緒になれるといいね!」

変な考え事は忘れ、今精一杯の笑顔を送った。

Re: この思い、届いてください【コメ募集中】 ( No.3 )
日時: 2016/09/13 21:05
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


「うーん、見えないな・・・」

私の身長は157cm。それほど低くはないはず。
でも前に男子が群がってて全然見えない・・・邪魔ぁ・・・。

「あ、私の名前・・・」

見ると、1年4組。

「誰が一緒かな・・・お、美千保いる!あ・・・眞城くんもいる」

そう、眞城くんとは私の好きな人。
でも私は眞城くんとほとんど喋ったことがない。
そう、一方的な片思い。

___叶わない、分かってるのに___

「灯香!」

突然背後から大きな声が聞こえた。

「あ、美千保・・・クラス一緒だね!良かった」
「うん!」

美千保は、私の幼馴染。お母さん曰く、3歳の頃から遊んでいたとか。
全然覚えてないけどね・・・。

「よお眞城ー、同じクラスだなー」
「ああ、そうみたいだな」
「んだよちょっと嫌そうな顔すんなよ」
「だってお前うるさいじゃん」
「はぁー?」

「眞城、同じクラスだねー」
「あ、芽衣か、そうだな」
「よろしくね!」
「ああ、よろしく」


心が痛む。
平常心を保てない。

「芽衣」そう呼んだとき、さらに心が痛んだ。

私はしばらく、眞城くんに名前を呼ばれていない。

ちなみに私は、言いやすいのか「もか」と呼ばれている。
何で「とも」じゃなく「もか」と最後の2文字を取るのかよくわからないけど。

Re: この思い、届いてください【コメ募集中】 ( No.4 )
日時: 2016/09/13 21:33
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


そういえば聞いたな、お母さんに。

「もか」にするか「ともか」にするか。名前。
迷った挙句「ともか」にしたらしい。
まあ、今となってはどっちでもいいんだけどね・・・。

「そろそろ、教室行かないといけないのかな‥」
「そうだね、行こ」
「うん」

教室まで歩く。
他愛もない会話をしながら。

「(眞城くん・・・同じクラスになったばっかりは、1回でも話してみたい)」

心の中でそう呟いた。
すると、急に誰かに声を掛けられる。

「ん、おお、もかじゃん」
「・・・え?」

そこには笑顔の眞城くんがいた。

「あ、あ・・・」

私は赤面し、うつむく。
ま、まさか声かけてもらえるだなんて・・・。

「眞城、くん、席は・・どこ?」
「もかの斜め前」

斜め前・・・。
もしかしたら、何回かでも話せるかもしれない。

「あ、よろしくな」
「うん、よろしく・・・」

よそよそしくすると、逆に嫌われちゃったりしないのかな。
でもはっきりと喋ることができない。照れてしまう。

「あー、空人じゃん、お前も4組か」
「はぁ?悪いか?」
「は、意味わかんねぇ、悪いなんて一言も言ってねーじゃんか」
「ん、俺がチビだからって馬鹿にすんじゃねぇよ」
「は?馬鹿にしてないだろ」
「はいはいそうですね」
「ちっ・・・やっぱお前と話すといつもこうだな」
「んなの自分のせいだろ話しかけんな」

この二人の会話は、なんだか微笑ましい。
いつも素直になれないのに何だかんだで話しかけているこの2人。

なんだか、微笑ましい。

Re: この思い、届いてください【コメ募集中】 ( No.5 )
日時: 2016/09/13 22:45
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


そう、「空人」とは、柿崎空人くんのことである。
この人とはあまり話さないので、「柿崎くん」と呼んでいる。
私は、なぜか眞城君と合わせて「もか」と呼ばれている。

「てかお前が話しかけてくんのが悪いんだろ!」
「うっせえよ、話すくらいいいだろうが」
「俺が嫌なんだよ黙ってろ!」
「お前いっつも怒るよなー、短気って面倒」
「はあ?うっせ、お前も短気だろ」
「俺は短気じゃねーし」

あぁ、微笑ましいな・・・。
いつか素直になればいいのにね。

「大体短気って言うのはなー・・・」

「はい、柿崎くん、松宮くん、静かにー」

というところで先生が入ってくる。

「えーと、私は菊本未湖といいますー」

菊本先生。見た目は若そう。
小学校の時、担任が男の先生ばっかりだったし女の先生が担当っていいかも。

「皆さん、入学おめでとうございます、そして入学式お疲れ様でした」

あ、そういえば・・・クラスを見る前に入学式あったんだ。
もう意識が飛んでたように忘れてしまってる。

今日は眠たい・・・。