コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.26 )
日時: 2016/09/22 23:33
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

「「校外学習で、さようなら」」

いつもの朝が今日も始まる。

私にとっては最近出来事も何もないし、無限ループ状態だ。
まあ3日後は・・校外学習があるけども。

朝食を済ませ、着替え、少しソファーに座っていた。

__ピンポーン・・・ピンポーン・・・

インターホンの音が鳴り、私は少し虚ろな目を開け外に出た。

「はい‥茉里?」

「どうしたの?学校行こうよ〜」
「あ、うん・・・もうそんな時間か・・・」

「荷物取ってくるからちょっと待っててね」
「うん!」

茉里は・・・ちょっと元気すぎて迷惑な部分もあるんだよな。
何というか、私に合わせてくれない?というか。

「ふぅ・・・お待たせ」
「遅いよ〜・・・早く、学校行こ」

昨日久々に跳び蹴りしたせいで足が痛い。
柿崎くんにも悪いことしたな・・・と、少し心細くなる。

「・・・」
「・・・ねえ」

ああ・・・疲れが取れない。イライラする・・・!
横で何の悪意もない茉里といると更にもう・・・!!

「ねえ、灯香ちゃん?」
「あーもう・・・ちょっと黙ってよ!疲れてるんだから・・・迷惑!」

「・・・え・・・?」

つい衝動的に出てしまった言葉に慌てて口を押えるけど、もう遅い。

「あ・・・ごめ」
「迷惑・・・?そう、なの・・・?」

「あ、いや・・・その、違う・・・」

「・・・そっか、やっぱ私・・・迷惑なんだね」


「いや、そうじゃなくて・・・!ごめん!ちょっと疲れてて!!」

「いいよ、そんな・・・優しくしてくれなくても」

何てことを・・・。
違う・・・違う‥優しくしたとかそんなのじゃない!!

「・・・っ」

茉里が走って学校へ向かった。

「あ!・・・待って、茉里!!」
「うっ・・・」

__光で反射した涙の粒が見えた。













シリアス回・・・です。校外学習が関わっています。

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.27 )
日時: 2016/09/24 11:45
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


さっきまで晴れていた太陽は隠れ、黒雲が空全体を覆った。
私の今の気持ちのように、雨が降り始める。

「灯香?」
「・・・」

「あ・・・いや、ごめん」

話しかけてくれた美千保さえも離れさせるオーラでも放っていたのだろうか。
美千保は他の友達の所へ行ってしまった。

でも今の行動は、私のことを分かってくれてるんだな、と思ってしまった。
今は・・・そっとしておいてほしい・・・。

「・・・晴れてたのに」

気持ちって天気に反映したりするのだろうか。
疲れは取れないし茉里にひどいこと言っちゃったし・・・今日は傘も持ってきてない。

心の中でしか謝ることができない私。
人生で一番みっともないと感じた。

「灯香ちゃん」
「・・・秋華ちゃん、か・・・」

「どうしたの?元気ないね?」

秋華ちゃん・・・そんなに付き合いも長くないし、私の心でも読み取るのは不可能だよね。

「んー・・いや、何でも、ないよ」

何でもあるようにしか聞こえないこのセリフ。
使うのは間違っていただろうな・・・。

「・・・あー、なるほどね」

・・・は?何が?

「友達と、言い合いにでもなった?」

__え?
何でわかるの?

「え?いやいやそんなことないって」
「強がらなくてもいいんだよ、話して?」

「いや・・・そんな、ことないから」
「・・・そう」

茉里は今何してるんだろ・・・。

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.28 )
日時: 2016/09/24 16:12
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


そこから茉里とは一度も話すことがなく、ついに明日は校外学習。

「明日、か・・・」

仲直り出来ないまま、2日も経ってしまった。
すれ違うことはあったものの、目を合わせることはなかった。

「灯香、おはよ」
「あ、おはよ・・・」

なるべく美千保には気付かれないように振る舞っていたけど、まあ何かあったんだなと思われてるだろうな。
何て言ったって私たちは保育所の頃から仲良し。

茉里と知り合ったのは・・・小学3年生の頃だっけ。

___________


『えっと・・・皆さん初めまして、篠木茉里です、仲良くしてくださいね!』

『やべえめっちゃ可愛い』
『やばい超やばい』

男子陣がそう言っていた。
確かに同性の私から見ても・・・可愛いと思った。

席が私の隣だったこともあり、私と茉里はすぐに仲良くなった。

『灯香ちゃん、よろしくね!』
『あ、うん‥こちらこそ』


でも茉里は、男子陣に騒がれてはいたものの、
友達は私以外に出来なかった。

___________


まさかこんな形で友情にひびを入れてしまうなんて。






私のつい出てしまった言葉が、まさか茉里の生死を分けるなんて、

私はそんなこと考えもしなかった。

そんなに・・・私のこと・・・。

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.29 )
日時: 2016/09/24 16:19
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


「用意できたっと・・・」

ボストンバッグに必要なものを詰め、今日はもう寝た。
珍しくすぐ寝付けた。

_______________

朝。

「今日、か・・・」

茉里と仲直りできるのはいつになるんだろう・・・。
今日こそ、今日こそ・・・そんな言葉あてにもならない。

当たり前だけど、反応がわからない。
勇気を出さないと、何も始まらない・・・そんなことわかってる、だけど。

勇気が出ない。


「行ってきます・・・」


玄関のドアを開けて20メートル先。


そこには、何かを待っているような・・・、




眞城くんが居た。


「あ、おーい」

誰を、呼んでるの?
私?・・・なわけないか・・・。

「もか!聞こえてんのか?」

「え、私?」
「当たり前だよ・・・不審者覚悟でここにいたのにさ」

え?え?そんなこと言われても・・・。


「もか・・・茉里と何かあったのか?」

「・・・いや」

言いたくない。
いくら好きな人でも・・・もう少し気を遣ってよ、とイライラしてしまう。

「あんたには、関係ないでしょ」
「気になるんだよ、前まであんなに仲良かったのにここ3日間くらい何にも口きいてないから」
「もう、茉里に聞いてよ気になるんなら!」
「聞いたよ!」

あ、聞いたの・・・?

「・・・何か、言ってたの?」
「いや、もかと同じ反応だったよ」

「あ、そう‥」

「なあ、なんかあるなら聞かせてくれよ」

「ごめん私‥・もう行くね」

「あ、ちょっと待て・・・!」


その言葉を無視し、私は涙をこらえながら走って学校に向かった。

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.30 )
日時: 2016/10/08 18:01
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


「茉里なんて・・・大嫌いっ!」

少しくらい私の心を読んでくれてもいいじゃない・・・。
本当に、本っ当に、何もわかってくれないんだから!!

もう・・・。

「え・・・?」

学校に着いたとき、玄関前で数十人の男女が騒いでいた。

「茉里!戻って来いよ!」


・・・茉里?

「茉里ちゃん!?」
「ねえ、茉里!」

皆が声を上げている方を向くと、確かに・・・灰色のカーディガンを羽織った茉里が空を仰いで今にも屋上から飛び降りようとしていたのだ。

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.31 )
日時: 2016/10/11 19:06
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


「ちっ・・・何で飛び降りようとしてるのよ」

もう文句しか思い浮かんでこない。
何なの、茉里・・・。


「篠木さん!!」
「茉里ちゃん!」


次々と叫ぶ民衆が出てくる。
こういうの迷惑だしやめてほしいよ・・・?

飛び降りる勇気なんて、どうせないでしょ?ねえ茉里。


と、屋上の柵の内側に入っていく茉里の姿が見えた。

「あー・・・よかった、茉里ちゃん・・・」
「篠木さん・・・ふぅ・・・」

また次々と、ほっとしたような声が聞こえる。


やっぱり、飛び降りる気なんかなかったじゃない。
騒がせて・・・何なの一体。



「何なの一体・・・ねえ灯香ちゃん?」


・・・え?

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.32 )
日時: 2016/10/11 23:40
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


「さっき、舌打ちしたよね?」

「え?・・・そんなことないよ!」
「明らかに怒ってるよね・・・」

ため息混じりに言っている茉里の声がこれだけ近くに聞こえる。
どう反応して良いのか・・・分からない。

「下りてきたのは灯香ちゃんに一言言っておきたかったから」

「・・・?」

「校外学習で・・・さようなら」
「は?」

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.33 )
日時: 2016/10/12 18:03
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


「どういう意味・・・」

私が聞き返したときには、そこに茉里はいなかった。

「勝手なことばっかり・・・本当意味わかんない」

でも・・・さようなら、ってどういう意味だろう。
まさかまた自殺しようとするとか?

「もか?」
「・・・ま、眞城くん!?」

「どうした?何か顔色悪いけど・・・てか鞄は?」
「鞄は・・・教室だけど」
「何か茉里・・・あいつどうしたんだ?何か知ってる?」

__知らないよ、とは言えなかった。

「知ってるって言うか・・・知らないって言うか・・・」
「なんだそれ」

しょうがないじゃん。

私も悪かったって思ってるけど・・・何もあんなになることないじゃない・・・。
何で?どうしてなの?

意味が・・・分からない。

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.34 )
日時: 2016/10/12 19:05
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


複雑な気持ちを抱えながら、バスに乗り込む。
私の横は美玲だった。

「ねえ美玲」
「ん?」

「美玲は・・・」

友情関係でぶつかったことないの、と聞きかけたけど、私は何故か別の言葉を探した。

「・・・好きな人、いないの?」

「え?いないよ」

即答じゃん。美玲可愛いのに・・・。
てか確か1組の男子の子が柚橋のこと好きなんだーとか言ってた気がする。

その男子かわいそー。

「ふぅん・・・私はいるよ」

私の斜め後ろの席は眞城くん。
さりげなく聞こえるように言ってみた。すると、

「え?まじ?お前好きな人いんの?」

予想とは違う声が聞こえた。
そう、柿崎くん・・・。

君に期待はしてないよ?

「いるよ?悪い?」

わざと笑顔で返す。


そんなことをバスで話していたら、茉里のことは忘れていた__

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.35 )
日時: 2016/10/12 19:15
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


けど、現実だけはどうしようもない。
柿崎くんと一通り話し終わった後、ふっと思い出す。

あの日・・・光で反射した、涙を。

「(でも・・・本当に自殺したりしたらどうしよう・・・)」

「(いや、茉里が・・・悪いんだ、元凶は茉里だ)」

「どうしたの?灯香ちゃん」
「え?何でもないよ」


私たちが乗っているバスの前には、茉里が乗っている。


「はぁ・・・疲労感はんぱない・・・」
「何か疲れたよねー・・・」

「てかさ、柿崎くんと話してたら疲れるんだけどー・・・」
「は!?何だよそれ!」

「ほらそーいう元気なところが・・・」

___キィィ__バンッ!


__キィィ__


ものすごい衝撃音がした後、急ブレーキがかかる。

「な、何・・・?」
「おい、大丈夫か!?」


その衝撃はすぐに消え、私は前を見てみる。


__すると、前のバスが__橋に突っ込んでいってたのだ。


Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.36 )
日時: 2016/10/12 19:26
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


「・・・ぁ、ぁ・・・」

「灯香ちゃん・・・?どうしたの・・・?」
「ま、前のバスが・・・」

「ま、まじかよ!?」


そのとき、前のバスの後部座席から誰かの顔が見える。
それは辛そうな・・・痛みを持ってそうな顔。

あれは__茉里?

大丈夫、なの・・・?

「茉里!!」

私は先生に止められたような声が聞こえたものの、そのまま飛び出していった。

「み、みんな・・・大丈夫?」
「俺らは大丈夫だけど・・・でも、篠木が・・・」

「え・・・ま、茉里が・・・?」

後部座席には、ぐったりとした顔で寝ていた茉里が。


「ぁ・・・ま、茉里・・・?」

Re: premier amour【コメ募集中】 ( No.37 )
日時: 2016/10/12 21:15
名前: 心里 ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)


茉里なんて嫌いになったはずなのに。
もう、話したくないって思ったはずなのに。


自然と__涙がこぼれてくる。


「う、うあぁぁ・・・」

「だ、大丈夫だよ灯香ちゃん・・・茉里なら絶対生きてるって・・・」

茉里と同じクラスの友達が声をかけてくれるけど、涙は止まらなかった。嫌いになったはずだったけど、溢れる。


「・・・ん?灯香・・・ちゃん?」


「茉里!」

私の名前を呼んだのは、茉里だった。

「うっ・・・茉里・・・」
「そ、そんな泣かないでよ」

「ごめん・・・ごめんね」
「え?」

「迷惑・・・って言ったこと・・・私疲れてて・・・あんまり記憶にないけど・・・」

「いいよいいよ、もう気にしてないよ、こんなに心配してくれてるんだからさ!行く前・・・さようならって言ったときはまだ気にしてたし自殺しようとも思ったけどさ」

「・・・うぅ・・・」

「泣かないでよ!キャラじゃないよ!ほら眞城!慰めてやれ!!」
「い、いいよ・・・!!」

振り向くと、心配そうな顔をした眞城くんと柿崎くんが立っていた。
そして困惑したような顔で茉里を見つめる。

「何で急に俺が・・・まあ茉里も無事なんだし泣くなよ灯香」



・・・灯香?