コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ジュエリータウンの平和な日常 ( No.4 )
日時: 2016/09/25 23:43
名前: カノン ◆cjuVBCszjg (ID: niONRc09)

〜読書の秋?食欲の秋?スポーツの秋?なんの秋!?〜


ユリア「ねぇねぇ!最近、涼しくなってきたと思わない?」

もうすぐ九月も終わるころ、ユリアはいつもの2人、サクラとアオイを集めて雑談をしていました。
ここはユリアの家の雑談部屋で、友達が来たりしたときに、みんなとおしゃべりしたりする部屋なのです。
今はちょうど話題が途切れてきたところなので、ユリアは新しい話題を出しはじめます。

サクラ「えー?そうかな〜?まだまだ暑いよ?」
アオイ「あたし的にはもうすぐ9月も終わりだし、少しは涼しくなってきたと思うな。」
ユリア「でしょ!?まさに秋、食欲の秋!だよね!」

適当に返事を返すサクラと、少し考えてから返事を返すアオイ。
そして最後にそう言ったユリアの頭の中は、自分の好きな食べもののことでいっぱいでした。

サクラ「人の話聞けよ!…ってかさぁ、普通そこは読書の秋じゃないの?」
アオイ「…ふむ、サクラはやっぱり読書オタクだな…。」
サクラ「なぜそういう結論にたどり着くのだ!?」

ユリア「だってさー、サクラっていつも本ばっか読んでるじゃん?」
サクラ「どこまで見てんの!?もうあんたストーカーだよ…。」

サクラは返す言葉がなくなったのか、理不尽なことでユリアをストーカー扱いしています。
確かに、サクラは暇さえあればいつも本ばかり読んでいます。


ユリア「アオイは秋といえばなにを思い浮かべるー?」
アオイ「あたし?あたしは…スポーツの秋だと思う。…なんか、秋っていうとそれしか思い浮かばない。」

ユリア「…ふむ、アオイはやっぱりスポーツオタクだな…。」
サクラ「どうしてなんでもかんでもオタクに繋げちゃうの!?そしてさりげなくアオイの真似してるし!!」

サクラは部屋に響くような大きな声を出して、ユリアにツッコミをします。
ですが、さっきからツッコミをしすぎたようで、どうやら息が少し荒くなっている様子です。

そんな風に、平凡に会話をしていると…。
バン!という大きな音が部屋中に響きました。

その音の正体は、偉そうに扉の前に立っていました。


3人「あ、あなたは…スイ!」

Re: ジュエリータウンの平和な日常 ( No.5 )
日時: 2016/09/26 14:08
名前: カノン ◆cjuVBCszjg (ID: 2DtFjIhe)

開いた扉の前に立っていたのは、ユリアたちの知っている友達でした。
名前はスイ・エメラルド。ちょっと気の強い女の子で、わがままだけどおちゃめな子です。

スイ「も〜!なんで僕を呼ばなかったの?自分だけでこんな楽しそうにおしゃべりしちゃってさぁ!」

ユリア「スイ!来てくれたんだね!」
サクラ「まためんどくさいのが増えた…ツッコミが大変だわ…。」
アオイ「サクラ…それはいくらなんでも失礼だぞ?」

ユリアは笑顔でスイを出迎えます。そして、わざわざ開いている扉を閉めにいきます。
スイは話している通りからわかる通り、僕っ娘なのです。


スイ「それで、ユリアたちはなに話してたの?」
ユリア「最近は涼しくなってきたから、秋のことを話してたんだよ〜!」
スイ「へ〜、そうなんだ!僕は秋より冬の方が好きかな〜?早く冬になってほしい!」
サクラ「うちはまだそんなに涼しくないと思うけどねぇ…。」

サクラはまだ半袖を着ており、「12月くらいになったら長袖を着ようかな?」ということを考えていました。
普通の人なら、10月か11月くらいから長袖を着ると予想できますが…。

実は、サクラは少し暑がりなのです。

ユリア「スイは、秋といえばなにを思い浮かべる?」
スイ「えぇ〜?そんな急に言われても、すぐに考えられんのだが…。」
アオイ「…。」

うーん…と頭を抱えて悩むスイ。
アオイはなにもしゃべらずに、いつの間にか持ってきたおりがみでなにかを作っています。


スイ「じゃあ…紅葉の秋!!」

今まで悩んでいたのが嘘のように、スイは大きな声で叫びました。

サクラ「こ、紅葉の…?」
ユリア「なんか分かる!紅葉って綺麗だよね〜!」
スイ「よね〜!」
サクラ「ちょっと待ってよ!そこは読書の秋でしょ?」
アオイ「…。」

ユリアとスイが共感していたところを壊すように、サクラは読書の秋を進めてきました。
しかし、アオイはなにも言わず、集中しておりがみをやっています。

ユリア「ちょっとサクラ!自分の意見をそんなに押し付けるのはよくないよ!」
スイ「そうだそうだ!」
サクラ「だって、秋といえば読書の秋でしょ!?確かに紅葉の秋もいいかもしれないけど…!」


アオイ「…よし、出来た!!」
3人「え?」

また口喧嘩をしているユリアたちの声は、アオイの大きな一言で、口喧嘩はかき消されました。

ユリア「い、いきなり大きな声でどうしたの…?」
アオイ「あぁ、すまないな。ちょうどおりがみをやっていて、完成したところで…。」

アオイは苦笑いをしながら、みんなに完成したおりがみを見せました。みんなもアオイが作ったおりがみを見に行きます。
どうやらオレンジ色のハートをおりがみで作ったようです。

その真ん中には、鉛筆で大きく「なかよしの秋」と書かれていました。

サクラ「な、なかよし…?」
スイ「そうか!これはつまり、今年の秋もみんなで仲良くなろうってことじゃないの?」
アオイ「そうだ。スイ、よくわかったな!」
ユリア「なかよしの秋!イエ〜〜イ!!」

さっきの口喧嘩は、アオイの作ったおりがみのおかげで、一気に静まりました。


サクラ「なかよしの秋なんて聞いたことないけど…まぁ、こういうのもたまにはいいかもね。」

サクラは誰にも聞こえないような、小さな声でつぶやきました。
…しかし、すぐ隣にいたユリアとアオイには聞こえていたのでしょうか。

アオイ「?…サクラ、なにか言ったか?」
ユリア「なかよしの秋なんて〜とかなんとか言ってたけど…。」
サクラ「!な、なんでもないよ!!」

少し頬を赤くしながら、なんとかごまかそうとするサクラ。
サクラは、あまり自分に素直になれないところがあるのです。


ユリア「とにかく…喧嘩しないで、みんなで仲良く過ごそうね!!」
3人「うん!」

今年の秋も、みんなで仲良くしようと誓う4人でした。