コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 二つの月。【オリキャラ、コメ募集中!】 ( No.9 )
- 日時: 2016/10/16 22:48
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
*第一章 「月と月」
「んー! あったよ、陽ちゃん!」
私──井筒月は幼馴染の小貫陽と一緒にクラス発表の紙を見ていた。
「小貫」の「お」と「井筒」の「い」は上下で並んでいた。
「もしかしたら席も近いかもね」
陽ちゃんの言葉に私は確かに、と頷いて駆け足で陽ちゃんの腕にしがみついた。
「ちょっとシワが出来ちゃう……」と陽ちゃんは言ったけれど、私のことを引き剥がそうとしない優しさに胸をジンとさせられる。
*
私達のクラスは、1-Fだ。
この学校は、Gまでのクラスがある。
「ここだよね……」
F組の前に私達は立つ。
陽ちゃんはあまり緊張していないようだけど、私は凄く緊張してる。
だって知らない人ばっかりだもん──また名前のこととか聞かれるんだもん。
「私達、席前後だよ!」
急に私はそのことに大きな嬉しさを感じテンションが上がる。
いきなりクラスで甲高い声を上げたことで何人かの人に注目されてしまった。
……どうすればいいか分からず、下を向いた。
なんとなく自分の席に座って机の上に置いてある新しい教科書で、全部あるかの確認をする。
作業を進めながら隣の子の方へ視線を移した。
長い髪を二つに結んでいて、前髪がパッツン。
少し毛先へ向かってフワフワとパーマが掛かっていた。
──なんだか、お嬢様みたいな子だなぁ……
そう思ってしばらく見つめていたら、目が有ってその子は雰囲気とマッチしたお嬢様のような品がある優しい笑顔を向けた。
「よろしくね。神崎つくし(かんざき -)です。えっと……」
神崎さんが、私の名前を知らなくて戸惑っているのに気付き、
「あーっと、井筒月です! 月って書いて「ゆえ」って読むんだ!」
名前を聞かれて、漢字まで言ってしまうのはもうすっかり抜けなくなった癖だ。
「素敵な名前ですね。改めて、井筒さんよろしくね」
「井筒さん、なんてそんなの「ゆえ」でいいよ!」
私はニッっと笑った。
──驚いたように目を見開いた神崎さんは、最初みた笑顔よりも更に嬉しそうな笑顔で「ありがとう」と言った。──
「私のことも、つくし──と呼んで下さいね!」
嬉しさを隠しきれない、花が開くような笑顔ででつくしちゃんは言った。
遠く離れた場所にある窓から、なんとも春らしい風が入ってきて私の短い髪を優しく撫でた。
桜の花も少しだけ花びらが風に舞っている──。
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*神崎つくし(かんざき -)
ゆえの同級生。本人はけして認めようとしないがかなりのお嬢様。
謙遜で、おしとやか。容姿端麗、成績優秀……まさに才色兼備だ。
ただクラスの何人かの女子はあまりそれが気に食わないらしく、たまにちょっかい(よりは度が上)をだされている。
以外にも部活ではソフトボール部に所属している。
(運動も出来る)
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- Re: 二つの月。【オリキャラ、コメント募集中!】 ( No.10 )
- 日時: 2016/10/13 19:45
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
*
「それじゃあ、まずはみんなのことを少しでも知れるように自己紹介から始めましょう」
あぁ、なんだか新学期っぽいなぁ──。
先生はそう言って立ち上がり、自己紹介で言う内容を書き始めた。
「じゃあ1番の安達さんから」
先生は笑顔で言って座ったが、安達さんは困ったように立ち上がり自己紹介を始めた。
最後まで言い終わり、疎らな拍手が起こる……。
次は私の番だ──。
「井筒月です。ゆえは月と書いてゆえと読みます。部活はバレーボール部に入るつもりです。運動の方が勉強よりも好きで……むしろ勉強は大嫌いです! 一年間よろしくお願いします!」
サラッとした自己紹介だったと思う──ある一人が突っかかってくるまでは……
「お前も名前に月がつくの? 俺も付くんだよなぁ……」
思わず「え?」とその人に聞き返してしまったが、先生が「次の小貫さん、お願いします」と言ったのですごすごと席に戻った。
しばらくして、半分を過ぎたころだろうか。
さっき名前に突っかかってきた人が立ち上がった。
「んー、美作月。小学校は他県でした。さっきいたけど俺も月って漢字がつくから。月で、ゆいって読みます。部活はサッカー部に入ると思う、よろしく」
──びっくりし過ぎて、私は暫く口を開けていた。
何せ、同じ月が付くという共通点どころか「ゆえ」と「ゆい」。
名前までソックリだ。
美作月は、私の方を見て、ニヤッと笑った。
戸惑う気持ちを吹き飛ばし、私もニヤリと笑い返した……。
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