コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 粉雪[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.118 )
- 日時: 2017/01/29 21:35
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
56.
———
「蒼空ちゃん、早いね!」
「あ、えっと……」
翌日。部活が始まる前、私は偶然早く起きたから——シュート練習をしていた。誰もいなかったはずなのに突然声をかけられたから驚いて……すぐには反応できなかった。
「あ、ごめんね!」
朝早いのに、全く眠気を感じさせない明るい声で話しかけてきてくれたのは——東雲心奈先輩だ。
ポイントガード担当で、副キャプテンも務めている。チームの司令塔的立場であるポイントガード担当だからなのか、この部員の中で一番上手いとも言える人だ。
「蒼空ちゃん、2年連続メンバー入りじゃん。今年頑張ってね!」
2年連続……これは良い意味と取りたいけど、私にはそう取れなかった。
/
盛り上がる館内、響く10人の足音とボールがはねる音。
その中で唯一1年生の私は、オレンジ色のボールを追いかけていた。
『(あと残り1分……1点差)』
不意に相手チームが投げたボールが起点から外れる。その瞬間を見て私はそのボールを奪い取った。
『…先輩っ』
その当時センターだった先輩に私はチェストパスをした。
でも——そのボールは先輩に届かず、そのままコート外へと突き進んでいった。
同時に試合終了のホイッスルが鳴った。
私のミスで——全国大会出場を、逃してしまった。
/
「去年のこと、気にしてる?」
私がしばらく考え込んでいることに気付いたのか、心奈先輩が問いかけてきた。
「…まぁ、気にしてると言われれば」
逆に気にしていなかったらおかしい。
「去年一応私もメンバーだったけど——去年からずっと蒼空ちゃんのこと見てたよ、私。去年全国大会行けなかったんだったら今年行けばいいじゃん!」
絶対行けるから、大丈夫。
心奈先輩がそう付け加えて、私の返事を待たずに彼女も自主練へと入った。
『今年行けばいいじゃん』
……そうか。次成功すれば良いんだ。
去年の失敗は、今年の成功に——。
気持ちが軽くなる。赤いリングに向かってボールを投げると、ストンと入って、床に落ちた。
その瞬間、私は胸がスーッとした気がした。——
—
10章終了。
11章もバスケメインです