コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 粉雪[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.122 )
日時: 2017/02/04 20:03
名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

58.


———



今日も練習試合があった。森原中学校との対決。
森原中学校は全国大会までは行かないものの、私たちと同じように——地方大会準優勝、という記録を持っている。
5人ずつ並んだ後、「お願いします!」という声が女子バスケ部と女子バレー部のいる空間に響く。

ジャンプボールにはゆん先輩が出た。私はリングに近い所で待機していた。


私たちバスケ部のサブメンバーの一人が、ボールを垂直に放り投げる。
ゆん先輩と、相手チームからジャンプボールに出た3年生の視線が真上のボールに突き刺さる。
同時にジャンプした2人。だが、ゆん先輩の方が圧倒的に身長が高く——私たちが攻める方にボールが届く。心奈先輩がそのボールを受け取り、ドリブルをしながら前に進んだ。
ポイントガードの心奈先輩が得意の俊足で相手チーム数人を抜き、先輩は私にパスを出す——。

パスされた後、リング近くにいた私はすぐにリングへオレンジ色のボールを投げる。

それは惜しくもリングにはじかれ、ゴールにまでは至らなかった。
そのボールを危うく相手チームに取られそうになったが、ゆん先輩が電光石火の早業で受け取った。

心奈先輩や未沙先輩が「ゆん行け行けー!!」と大声で叫んでいる。

その言葉を背にゆん先輩がリングへ向かってボールを放る。


ゆん先輩が放ったボールは、リング内をぐるぐると回ってから——白い網に吸い込まれた。


その瞬間心奈先輩がゆん先輩のもとへ向かい、ハイタッチを交わす。
やった、と私も呟いた。


ピッ、とホイッスルの音が鳴り響く。
エンドラインから相手チームがボールを投げる。そのボールは同じチームの人が受け取り、そのまま走っていく。

パスをしたときの緩めのボールを、私は見逃さなかった。
横から奪い、私はそのまま攻める。

Re: 粉雪[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.123 )
日時: 2017/02/04 23:38
名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

59.


———



前を走っていた——羽奏ちゃんにボールをパスする。
羽奏ちゃんは長距離からのシュートが得意。後ろや横に相手チームが数人見はる中、決まったらスリーポイント入る距離からボールを放った。

——そのボールは惜しくもリングに当たって床に落ちる。丁度落下地点にいた私はそのまま左足で踏み切り、片手でシュートした。


そのボールは……ふわっと網を揺らした。
ボールを投げた瞬間下を向いた私は、羽奏ちゃんやゆん先輩たちがうれしがっている様子で状況を飲み込む。

「入った……!」

最近決まらなかったシュートが決まった。

その快感はずっと得られなかったから、思わず飛び跳ねてガッツポーズをしてしまう。

制限時間は8分で、現時点4対0——残り時間は6分。

同じくらいの実力である相手に負けたくない、という感情が心の中で芽生えた。




相手チームがエンドラインから鋭いボールを投げる。

——慣れて居るんだろう。とても早いボールだったが、それを森原中学校の皆は容易く受けとめている。
チームワークは良いけど、それでも現時点で勝っているから——これを維持しないと。

「あっ……」

私が追いつかないうちに、相手チームが軽いフットワークで滑らかにシュートを決めていた。
相手チームから「わーっ」と歓声が起こる。

4対2か。


中々ゲームが進まない中、残り時間は5分を切った。


——ゆん先輩が疲れを感じさせないような真剣な表情で、エンドラインからボールを投げる。
そのオレンジ色のボールは、心奈先輩、未沙先輩へとつながって——


/


「「有り難うございました!!」」


隣のコートに沢山のバレーボールが床に落ちる音が聞こえる中、それに負けないくらい大きな声で私たちは言う。


最終結果、14対13。

ギリギリで、私たちは勝った。——本当にギリギリだったけれど、メンバーの皆とハイタッチを交わした。

その手のひらを見ながら、私は呟く。


「全国大会、出場できたら……——」