コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 粉雪[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.137 )
- 日時: 2017/03/24 12:50
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
67.
大会が終わった。
何せ小さいものだから、今日中に決勝までやってしまったという。
閉会宣言はボーッと聞いていたけれど、終わった瞬間私——私たちは会場を飛び出す。——もちろん、ゆん先輩の件だ。
近くにある市立病院へと自転車を走らせる。
「(ゆん先輩……!)」
どうか何事もないことを願って、私は一生懸命足を動かした。
○*
「あの……黒川ゆんさんの病室は……」
「黒川さんのお友達さん?彼女の病室、案内するわね」
小さくはい、と呟き1人の看護師の後を付いていく。
彼女に大した焦りの様子は見られない——そのことから、ゆん先輩は特に何事もなかったのかな、ということが感じられた。
「じゃあ、このエレベーターで3階まで行って……165号室に居るから。よろしくね」
彼女は微笑み、私たちを見送った。
「160…161………あ、165号室ここ」
皆を不安にさせないようにしているのか、未沙先輩は冷静さを取り戻した声でゆっくりと言った。
私たちも番号をしっかりと確認し、音を立てないように戸を静かに引く。
白やミントグリーンで統一された清潔感のある病室。
その病室のベッドに、ゆん先輩は座っていた。
「ゆん……!」
「先輩!」
さすがに、彼女の姿を見つけては冷静にはなっていられなかった。
少しだけ声を抑えて皆が口々に言う。
「…ごめん、心配かけて。先生は大会に負けたショックと近頃の疲労が溜まってるって言われたから……安静にしていれば本当に大丈夫だから。——ごめんね、負けちゃって……」
語尾が震える先輩の姿。……普段の強気な姿を見ていれば、想像も出来ない姿だった。ゆん先輩は私たちに目を向けず、下を向いて肩を震わせている。
「ゆんのせいじゃないよ」
何も言えなかった私たちの間に流れた沈黙を破ったのは、心奈先輩だった。
- Re: 粉雪[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.138 )
- 日時: 2017/03/26 10:29
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
68.
「……心奈?」
俯いていたゆん先輩は思わず顔を上げた。
私も心奈先輩の方を振り向くと、先輩は決心したような顔で真っ直ぐとゆん先輩を見ていた。
「私たち一生懸命練習したじゃん。本番でその実力出し切ったでしょ?だから、個人のせいでもないし私らチームのせいでもないし相手チームが悪かったとか他人のせいでもない。誰のせいでもないよ」
出し切ってないならその人のせいだけど、と心奈先輩は付け足した。
「そうですよ先輩」
と、今まで黙っていた羽奏ちゃんも口を開く。
「先輩は誰よりもバスケが好きですよね?私、チームに選ばれてからずっと見てましたから!私たちをまとめてくれて、そしてゴールを真っ直ぐ見て……そんな姿ずっと見てましたから!誰もそんな先輩のこと責められません!」
2人の言葉に、段々と落ち着いたのか——ゆん先輩の肩の力が抜けていくのが分かった。涙も浮かんでいる。
「……皆ありがと……」
何かがはじけたように、ゆん先輩の目から涙が溢れた。
どれぐらいの時間が経ったのか。
「皆、ありがと」
泣きやんだゆん先輩はもう一度私たちに向かってお礼を言った。
もう大丈夫、と本人から聞いた後、私たちは病院を後にした。
来年はゆん先輩のためにも、絶対に——絶対に、全国大会に進みたい。
私はそう決心し、家へと帰った。
その決心をしてから、1年が過ぎた。——
——
突 然 時 空 が 進 む
もしかしたら最後の文で気付いた人もいるかもしれませんが、終盤に向かっています。
蒼空たち最後の大会とあともう一個…蒼空と室川との絡みについて。
この小説終わったら新しいの書きt(((