コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 恋心。[コメ・オリキャラ募集中] ( No.15 )
日時: 2017/01/03 00:20
名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

09.


———



「買い出しかー」


ホテル——というか、室内のキャンプ場みたいなところ。

……ここで夕食を作るらしい。結構設備整ってるし悪いところではないんだけど……。やっぱり夕食作るっておかしい。
校外学習って普通昼ご飯作るんじゃないの——?


そして買い出しは近くのスーパー。私たちはジャージから私服に着替えスーパーへと向かった。
なんと私服はokらしい……変わった学校だなぁ……。


「焼きそばってことは人参とか?」
「麺」
「ピーマン」
「えーピーマンか……あたしあんまり好きじゃないな」
「来美ちゃんピーマン嫌いなの?」

私は結構後ろを歩いていて、前ではそんな会話が聞こえた。…今横に並んで歩いているのは、香里ちゃん。

「……蒼空は焼きそば好き?」

「え?——うん!大好きだよ」


私は何だか恥ずかしいこと言っちゃったなぁ、と後で赤面する。
するとその様子を見て香里ちゃんが——手で口を押さえて少し笑っていた。嘲笑でも苦笑でもなく、純粋な笑い……。

「え?え?どうしたの?」
「いやいや……あまりにも蒼空、単純すぎて面白いなって思って」


単純、か……。


『あなたは単純すぎるのよ。もっとちゃんとしなさい』



……単純って、良い意味なのかな……。


場合によっては悪い意味にも取れると思うよ、香里ちゃん——

Re: 恋心。[コメ・オリキャラ募集中] ( No.16 )
日時: 2017/01/03 10:40
名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

10.



———




「——このホットプレートくらいじゃない?6人分炒められるといったら……」

といって来美ちゃんが引き出しから出したのは、1mくらいあるんじゃないか——そう思えるようなすごく大きいホットプレート。
来美ちゃんと波留ちゃんが両側を持って机に置いた。

「でかっ!」

思わず千帆ちゃんが声を出し、後で恥ずかしそうに顔を抑えた。

「まじで大きいな……」

香里ちゃんも驚愕していたようだ。
顎に手を当てながら興味津々にホットプレートを見つめていた。


「では5時になりましたので、作っていきましょう」という、比較的若い男担任の明るい声が聞こえてきた。私はそれに合わせて人参の皮をむく。

「……上手くむけない」


そうだ、私そんなに料理得意じゃないんだ。

黙って見ておくべきだったかな?——と思い私は美李ちゃんの方を見る。


……慣れた手さばきでピーマンを切っていた。


美李ちゃん、料理得意なのかな……?
そう思い、私は聞いてみることにした。


「美李ちゃんって、料理得意なの?」


美李ちゃんは急に声をかけられたことに驚いたのか、肩がビクッと動いた。
そして、……何だか寂しそうな顔を私に向けた。


「やらなきゃ……いけないからね」



——その一言の重みに、私は耐えられなくなった。……やらなきゃいけない?

何だか、悪いこと言ったなぁ……——。
私は察し、慌てて「……ごめん」と言った。美李ちゃんは「いいよ」と言い、またまな板の方へと視線を戻す。


美李ちゃん……やらなきゃいけなくなったって、まさか……?

Re: 恋心。[コメ・オリキャラ募集中] ( No.17 )
日時: 2017/01/03 14:00
名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

11.


———




「—蒼空!」


「………っえ?」


急に名前を呼ばれ私は情けない返事をしてしまう。
……香里ちゃん?

「え、どうした…の?」
「ボーッと突っ立てるけど。大丈夫?」
「あ、うん大丈夫!ごめん」
「ふーん……大丈夫なら、肉炒めておいて」

私ははーい、と返事をし、香里ちゃんたちの方へ向かう。
香里ちゃんは周りに良く気がつくいい人だな……——。


室川も、周りをよく見ていて——私の変化にも気付いた。



——ドクンと私の胸が高鳴る音が、大きくなった………。




/




「「「「「「おおおぉぉ……」」」」」」

私たちは全員、焼きそばが出来上がった後感動の言葉が出た。
その様子に私たちは一拍おいてから吹き出す。



笑いが収まった後、皿に盛りつけた焼きそばに青のりと紅ショウガを散らす。………あ、紅ショウガ嫌いなのに……。


「いただきまーす」


一番初めに食べたのは千帆ちゃんだった。それに続いて香里ちゃんと来美ちゃんが食べたす。

「早くしないと蒼空の分も食べるよー」

来美ちゃんのけだるそうな声が聞こえ、私は「え!?」と大げさに驚いたような声を出しながら席に着く。
………来美ちゃんはそういうこと、しないからね。


「いただきます」


私は軽く手を合わせ、焼きそばを口にした。



……幼馴染みの2人と、先週知り合った3人。

この6人で食べる焼きそばは、家で作る焼きそばよりずっと、ずっと——美味しく感じた……。——









——


ここから恋愛模様、入ります。


Re: ある2人の恋模様。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.18 )
日時: 2017/01/03 19:43
名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

12.


———



「はー」

私たちは食べ終わり、部屋へと向かった。

——キャンプ場みたいな施設がある割には、きれいな場所——……。


ベッド6台にテレビもある。おまけに部屋を回ってみるとトイレも綺麗だし洗面台も整っている。……何これ、完璧じゃん!


「もう寝たいよねー」


香里ちゃんが眠たそうな顔で来美ちゃんに話しかけていた。
来美ちゃんも「ねー」と共感している。……あの2人は、結構性格が似ている。だから気の合うところあるんだろう……。


「ね、千帆ちゃん」

私はふと思い立ち、呼びかける。彼女は「なに?」と明るい声で聞いてきた。

「私ちょっと外出てくるね」
「え……あ、うん。いってらっしゃーい」

私は「うん」と返事をし、そのままスリッパを履いて扉を開けた。

……カーペットの長い廊下がずっと向こうまで続いている。——



今日は晴れ——その中でも雲一つ無い晴天だった。調理していたときも、もうそろそろ落ちるであろう太陽の光が窓から差し込んでいたから、よく分かる。


——この天気なら…——。



私は廊下の一番向こう、……東側の窓の前で足を止める。そしてゆっくりとのぞき込む——



「わぁ……」



私の趣味、天体鑑賞。




東側のこの窓からは、無数の星がキラキラと輝きを放っていた——。ここのホテルは結構高いところに建設されている。だから絶対綺麗な星が見えるだろう……そう思って私は部屋から抜け出してきた。



……ずっとこのまま見ていたい———…。


そんなことを思っていると、急に声をかけられた。



「——宮瀬?」


Re: ある2人の恋模様。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.19 )
日時: 2017/01/03 22:04
名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)

13.


———



私はあまりにも見入っていたからか、数秒その声には気付かなかった。……もう一度名前を呼ばれて私はやっと振り返る。


「……室、川?」
「何してんの?こんなところで」

「……ああ、男子は部屋ここに固まってるのか……」と、室川に聞こえないくらいの小さい声で独り言を呟く。

「星。見てる」
「星?なんで?」
「天体観測好きだから。悪い?」
「いや別に……」

私は女子の前だと比較的明るい性格だけど……男子の前では少しだけ言い方がきつくなったりする——…。

私は窓枠に肘をつき、窓に触れた。



星を見てると——私は落ち着く。
大きい星や小さな星……それぞれが輝いて地上を照らしている姿。それがなぜか落ち着く——。
でもこんなに綺麗な満天の星空を見たのは、幼稚園以来かもしれない……。



「宮瀬」

私が窓から星の様子を見つめていると、急に室川が声を出す。

……星を見すぎて存在忘れていたけど……。っていうのは黙っておこう。


「俺は本当に——宮瀬のこと好きだから」

「……考えたんだけどさ」


私がしばらく閉ざしていた口を開けたことで少し室川が驚いていた。


「付き合う、のは嫌だ」

え、と口をぽかんと開けている彼の様子を見ると、不思議と笑みがこぼれる——。その様子に微笑みながら、私は続ける。


「本当に私のこと好きなんだったら惚れさせてみれば?私は室川のこと、友達的に好きだからね!」


口角を上げ、室川に向かって笑顔を見せる。


その様子に室川は、


「うわっ、難し……」

と言いながら笑っていた…———。





ドクン、とまた私の心臓の音が高鳴った気がした。——