コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.53 )
- 日時: 2017/01/14 23:01
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
『第6章』彼と彼。
27.
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「……ねぇ、来美ちゃん、トイレ行こー」
「あー…うん、行く」
………
私たちはハンカチで手を拭きながら廊下を歩いている。
その廊下には、固まって話す女子、暴れている男子……色々な人たちが居る。
来美ちゃんの方を向きながら話していると、……曲がり角から、陰が私の方へと向かってきて——私にそのままの勢いでぶつかる——…
「…っ!」
私は2歩後ろへとよろめき、その陰の方を向く。
「……——いずちゃん?」
「…え、蒼空さん……わ、ごめんなさい!すみません!怪我はないですか!?大丈夫ですか……!?」
この敬語で話す女の子は、中学からの知り合いで2年3組学級委員長——出岡紗世梨ちゃん。渾名は「いずちゃん」。
……いや、そう呼んでいるのは私だけなんだけどね。
「私は大丈夫だよー。こっちこそごめん、よく周り見てなくて」
「いやっ!蒼空さんが謝ることなんて全然無いです!!本当にすみません!!」
「そんなに気にすることないって!」
いずちゃんは結構根に持つタイプ……。
そんないずちゃんの不安を消し去ろうと、私は笑顔を向ける。
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.54 )
- 日時: 2017/01/11 17:47
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
28.
———
私はチャイムが鳴ると同時に席に着く。
キーンコーン……と静かに鳴り響くチャイムとは裏腹に、私たちの教室は騒がしかった。
まだ先生は来ない——だから、隣の席でもある香里ちゃんに話しかけた。
「香里ちゃん…って、理科好き?」
「んー……嫌いではないけど。蒼空は?」
「私もそんな感じ…かな。そういえば先生来るの遅いね」
そうね——と香里ちゃんは軽く頷く。
……会話は続かなかった。でも少しばかりの嬉しさが心に残る。
もっと話したい——……。
けど何だか、香里ちゃんは授業の予習をしていた。
私はその様子を見た後に頬杖をつき、ちらっと———室川の方を見た。
相変わらず、周りの男子とぺちゃくちゃ喋っている。笑顔で、楽しそうに。
……少しだけ顔が熱くなった気がした。
私はこの……室川に対するよく分からない気持ちを偽るように、さっと姿勢を正し前を向く。その途端、数学の先生が教室へと入ってきて、号令をかけた。
学級委員長が「礼」と言った後、何人かのやんちゃな男子が「お願いしますー」と少しふざけた声で言う。
これは、いつものこと———…。
「やんちゃな男子」の一人、室川の声が斜め後ろから聞こえる。
どうして……この瞬間に、心臓の音がはっきりと聞こえるんだろう。
この気持ちは、
「恋」——なの……?
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.55 )
- 日時: 2017/01/14 00:47
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
29.
———
「この一次関数の解き方が……」
数学の女教師が色々言ってる。
その間、私の心臓は全力で走った後のように高鳴る。……ああ、集中できない……—。
少しだけ気になって、私は斜め後ろを横目で盗み見した。
「彼」は相変わらず……だな。教師の目なんて全く気にせず、寝てる。
…気にしないで。
私は心にそう告げ、ふぅ、とため息をついてからノートへと視線を移す。
そしてシャープペンシルを持ち、黒板とノートを交互に見て板書し始めた。——
/
「今日の分のノート見せてよー」「私も書けてないよ?」「俺もー」……数学の時間が終わった後はいつもこんな会話で教室中が騒がしくなる。
この学校の数学教師は、教えるのは上手いものの……とにかく書くのが速すぎる。すぐに黒板消すし。
だからついていけない生徒も続出する。
「ねえねえ蒼空ちゃんー、数学のノート取れた?」
クラスで成績優秀者である女の子——園生由麻ちゃんが、手を後ろに組みながら私に話しかけてくる。
「一応取れたよー。由麻ちゃんは?」
「もうぜんっぜん取れないよ!見せてくれない?」
私はいいよー、と返事を返し、机の中にある水色のノートを取り出して由麻ちゃんに手渡す。
「ありがとっ!蒼空ちゃん!」
にこっと歯を見せて私に笑みを向け、そのまま由麻ちゃんは私のノートを持って自分の席へと戻っていった。
「——なーなぁ、俺にもノート見せてー」
少しけだるそうな声で言ってきたのは———…室川だった。
——
成績優秀者(?)の女の子の名前は園生由麻さんです。本編とは底まで関係ないと思います。多分。