コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.85 )
- 日時: 2017/01/24 23:53
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
『第8章』無言の微笑み
41.
———
「じゃあ中間テスト返しますよ〜」
担任の声でざわつきが一瞬静まった後、「うわー」とか「最悪ー」とか、そんな声があちらこちらで聞こえた。
「静かにして」と乾いたような声が担任から放たれ、ざわつきが静まる。
「まずは、分布表を配ります。そのあとに5教科まとめて返して、個人成績表を配って……とりあえずそれで1時間目は終わりかな」
2時間目からは各教科解説だと思うから、と先生は付け加え、分布表を配りだした。前の子から配られた表を早速見てみると……——470点以上の人が3人。
この中に入れているかな……という疑問を抱きながら、先生に呼ばれるのをじっと待つ。
「室川くん」
「…は…い」
「……宮瀬さん」
「はい!」
私は元気よく返事をして、そのままさっと答案をもらって自分の席まで戻る。……良い結果であることを願おう。
かすかに音がするくらいの勢いで、裏を向いているテストを表向ける。
「———すげ、472点かよ」
前から声をかけられ私の方がビクッと動く。その様子に彼が少しだけ口元を緩めた。
「笑わないでよ……てか、室川は何点なわけ?」
「257点だよどーせ」
「自虐はやめようよ、聞いてるこっちが辛くなる」
……いつものように会話を交わしている。——その、はずなのに……。
私が言った言葉で、笑う彼の姿がすごく大切なものに見える。
失いたくない——ずっとこのまま……——。
——
ごめんなさい、第8章ここからです。汗
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.86 )
- 日時: 2017/01/21 10:42
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
42.
———
中間テストが返されてから2週間。6月中旬、梅雨の季節だ。
ジメジメした空気が教室を包み、何だか教室内の雰囲気もどんよりしている気がする——。
「蒼空ちゃん、また数学のノート貸してくれないかな?」
と、由麻ちゃんが声をかけてきた。私はいいよ、と言って青色のノートを手渡す。
その数分後、私の前の席に黒色のスクールバッグがバンッ、と大きな音を立てて置かれる。1時間目——社会の教科書を読んでいた私は驚き、目を見開きながら前を見た。
「……なんだ、室川か。おはよ」
「あぁ、おはよ」
眠たそうな声を出してから、室川は大きいあくびをした。
「寝不足?」
「いつも寝不足」
「だから授業中寝てるんだね」
「そういうこと」
不思議と、この会話が最近とても楽しい時間へと変化していった。
どうしてだろう…な……——。
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.87 )
- 日時: 2017/01/21 15:35
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
43.
———
「……はよ、…」
私はその声にしばらく気がつかなかった。「おはよ!」と大きな声を近くで出され、私はやっと気付く。……千帆ちゃんだ。
私は室川との会話を不自然に止め、千帆ちゃんの方を振り向く。
千帆ちゃんは苦笑していた。
……そっか、千帆ちゃんは、室川のことが好きなんだよね……。
私はごめん、と言おうとする。
「蒼空ちゃん」
謝ろうとしたとき、丁度千帆ちゃんが話す。ごめんという言葉はのどに詰まった。
……千帆ちゃんは、怒ってはいない。ただ、いつものような笑顔も見せなかった。
「ちょっと、来て」
「……え……?」
千帆ちゃんに腕を引っぱられ、私は言われるがままに後をついて行った。——
/
連れてこられたのは、空き教室だった。
「…羽奏、ちゃん?」
「——おはよ、蒼空ちゃん」
おはよ、と私は戸惑いながら言う。
…羽奏ちゃん?何で?
そう問おうとしたら、……私は耳を疑うような言葉を聞いた。
「灯くんとはもう、話さないで欲しいな」
……私はどうして良いか分からなかった。室川と話すな?
戸惑う私に羽奏ちゃんは無言で微笑み、そのまま教室へ戻っていった。
———
ここからちょっとシリアスですかね。多分
断言はしてませんy(ry
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.88 )
- 日時: 2017/01/21 16:10
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
44.
———
同クラスである羽奏ちゃんと顔を合わせづらい。あの一件から。
……千帆ちゃんだけじゃなく、羽奏ちゃんも室川のことが好きなんだ。……まあこんな短時間だし、単純な一目惚れだろう。でも「話さないで欲しいな」という言葉は、私の脳内でずっとリピートされていた。
……羽奏ちゃん、千帆ちゃんは私の大切な友達だ。知り合ったのは2人とも最近だけど、……なぜかライバル視されている。
私、もう室川と話さない方が良いのかな……?
羽奏ちゃんは、室川とは話していないものの……室川と他の女子が話していると、すごく嫉妬深い目で見てくる。……私もその目で見られる一人でもある。
好きなら告白すればいいのに。好きなら、話せばいいのに。
わざわざ遠回しに私に忠告なんてしないで、自分をアピールすればいいのに。
私は心の中で先ほどから愚痴りまくっている。
……なんか、嫉妬みたい……。
羽奏ちゃんは同姓の私から見ても可愛い子だ。
……室川みたいな奴、すぐに落ちるだろうって思うくらい可愛い。
そんな子に告白されたら室川、羽奏ちゃんと付き合うのかな……——。
やっぱり私、最近変だ。
こんなことばかり考えたくない……。
室川のことを考えると、いつも顔が熱くなる。一気に紅潮する……。
『俺と付き合ってくれない?』
この言葉が、最近ずっと頭から離れない——…。
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.89 )
- 日時: 2017/01/21 19:42
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
45.
———
……今日は日曜日だ。私は近くの文房具店までの道を歩いていた。
月1000円の小遣い2ヶ月分くらいのお金を財布に入れ、早足で歩く。
白い壁に黒い屋根、屋根の下に小さな看板が取り付けられている、比較的小規模な店だ。
消しゴムと、オレンジ色のペン。
店に入るなり私はそれを探し、見つけた途端にレジへと運ぶ。
「あら、蒼空ちゃん。久しぶり!」
「海野さんお久しぶりです」
ここの小規模な店を経営している海野さん。元々私が通っていた保育所の先生で、小さい頃から知り合いだ。海野さんは「大きくなったね〜」と言いながら、消しゴムとペンをレジに通す。
「じゃ、2点で317円」
その声に合わせ、私はハンドバッグから青い財布を取り出す。
……丁度小銭があり、私は手渡す。
「丁度頂きます。これ、レシート。また来てね〜」
「はい、有り難うございました」
私はぺこりと頭を下げ、ドアを押す。それに応じてドアは小さくキィ——という音を鳴らす。
私は買った2点をバッグに入れ、歩き出した。
すると、ふと……今まで無かったような暗い裏路地が目に入った。そして、そこには私と同じくらいの年齢の女の子が居た。
暗い青髪ツインテール……私はその女の子は見た覚えがあった。
「はぁ?ふざけてんのかよあんた……いきなり突っかかってきて謝って済むことと思うんじゃねえよ!」
喧嘩口調だったけど、確かにその声には聞き覚えがあった。
女の子に突き放された、その女の子よりも少しだけ年上……高校生くらいの男の人が「すみませんー!!」とおびえながら去っていった。
ゆっくりと私は、女の子が居る方に近づく。
「——羽奏ちゃん——…?」
- Re: 白色の恋。[コメ・オリキャラ募集中☆*・:] ( No.90 )
- 日時: 2017/01/21 21:23
- 名前: ましゅ ◆AG5AfKu9Dk (ID: QYM4d7FG)
46.
———
私が呼んだ声に、彼女は冷酷な目で一瞬こちらを見つめてから、
「そ、蒼空ちゃん!?」
と言った。……いや、私も同じ事思ってるんですけど。何で羽奏ちゃんがこんな暗い裏路地に……?
私が立ちすくんでいると、羽奏ちゃんは私の方に近づいてきた。
その様子に少しだけ後ずさりする。そうして羽奏ちゃんは私にこんなことを言った。
「灯くんには黙っておいてね」
有無を言わせない口調、笑顔で。
私は彼女に恐怖さえ感じた。……こんなことを平気でやってのける羽奏ちゃんが正直、初めて怖いと思った。それもあんな喧嘩口調だったからではなく、笑顔だったから。
何を言うにも、笑顔だったから——。
『謝って済むことと思うんじゃねえよ!』…そう言ったときも、私は確かに見た。……彼女は笑顔だった。
強気な口調だったけど、確かに笑っていた。
「……」
私は黙って頷いた。そしてまた、羽奏ちゃんは私に微笑んだ。
今までのことが全くなかったことになったように。
ばいばい、というひと言も言わず、私たちは逆方向へ歩き、段々と離れていく。
私が振り向くと、羽奏ちゃんの姿はもう見あたらなかった——…。
———
早いですが、8章は終了。
羽奏は腹黒いです(断言)。
9章は、6章ラストの回収。(覚えていますかね……?
シリアスはいるかもしれないので、ご注意です。