コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: センセイ×セイト ( No.14 )
- 日時: 2017/01/07 17:09
- 名前: 鐶 ◆u8YacDeZBU (ID: jFPmKbnp)
第10話
中2の冬
中学にも慣れてきて友達も出来た頃
私は街に出かけていた。
「早く着いちゃった。」
私は駅前の時計塔の前に座る。
今日は中学の友達と修学旅行でいる物を
一緒に揃えようと約束をしていた。
中2にしてはちょっと大人びた容姿を
している私はちょっと周りからの
視線が恥ずかしい。
(私、なんか変な格好してる!?)
1人ハラハラと心の中で呟く。
実咲と宏樹は部活が終わってから合流だから
一緒に来れなかった。
(皆、早く来ないかな…。)
私はチラチラと携帯を見る。
すると突然視界に影が入る。
「ねえ、お姉さん1人?」
顔を上げるとニヤニヤと笑いながら
3人くらいの少年達がいた。
「え。あ、今友達待ってて……」
私は苦笑いを浮かべながら
スッと1歩後ろに下がる。
その時バッと腕を捕まれた。
「俺らと遊ぼーや」
少年達が近づいてくる。
私は腕を振りほどこうと抵抗するが
ビクともしない。
(怖い……。誰か助けて)
私はギュッと目を瞑った。
その時、
「ごめん。待たせた?」
聞き覚えのある声に私は
「え?」っと声を出しながらゆっくり目を開ける
3人の少年の後ろに1人の少年が立っていた。
逆光で顔が見えない。
「な、なんだお前」
少年達はその少年に問いかける。
少年は間を割って入ってくる。
「俺の連れに何か用?」
背中しか見えない少年はそう言うと
3人は舌打ちをして去って行った。
ドキドキと心臓が高鳴るのが分かる。
「大丈夫?環ちゃん」
名前を呼び私に振り向く。
私は目を丸くし安心したのか少し
涙が流れた。
「風間さん……」
彼の名前を私は呼ぶ事しかできなかった。
その後、無事友達と合流出来
彼は手を振り人混みに消えていった。
友達がくるまで一緒に居てくれた。
優しい彼なりの気づかいだ。
「ちょっと環大丈夫?」
「お〜い、倉西〜?」
友達が私にたずねるが
私はずっと彼が消えていった方向を
見つめていた。
(お礼…してないや。)
胸が高鳴るのを感じながら
私は友達の声など耳にも入らず
ただそう呟いたのだった。