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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: センセイ×セイト ( No.18 )
- 日時: 2017/01/14 21:09
- 名前: 鐶 ◆u8YacDeZBU (ID: as61U3WB)
第12話
年が明け月日が流れ2月。
私は白い封筒を手に玄関を出る。
「…………。」
シーンっとした住宅街
私の歩く足音が響く。
向かう先にはスーツに見を包む彼
私は真っ直ぐ彼の前に立つ。
「環ちゃんどうしたの?」
眩しく笑う。
少し照れくさそうに私は前髪を触る
「ん?」と少し前かがみになる彼
私はおずおずと白い封筒を渡す。
「こ、これあげます。」
顔を隠すように私はまた前髪を触る
彼は不思議そうに封筒を開ける
コロンっと小さなストラップ
合格祈願と書かれた小さな御守り
「えっ」
目を小さく見開く彼はばっと私を見る。
恥ずかしくて顔が見れない。
今、どんな顔してるのか
今、どんな気持ちなのかも分からない。
「……。」
スッと彼が私に近づく。
私の心臓はドンドン高鳴る一方。
「環ちゃん……。」
名前を呼ばれ赤い顔を
ゆっくりとあげる。
目はまともに見れなくて目は逸らす。
「今日頑張ってくるね」
御守りを片手に持ち柔らかく笑う。
反則過ぎるその笑顔が眩しくてヤバイ
私はゆっくりと頷く。
「風間さんなら大丈夫だよ」
そんな言葉しか言えない私に
彼は頭を撫でてくれた。
彼が見えなくなるまで
私はずっと後ろ姿を見つめていた。
「頑張って」その言葉を私は言えなかった。
何故か分からないけど。
今日は彼にとって大切な日
資格試験
私はただただ祈るしか無かった。
────────────
「……。」
電車に揺られ携帯にぶら下がる
小さな御守り。
俺はそれを眺めていた。
「今日も言えなかったな。」
頭を軽く掻きながら
俺は彼女の顔を思い浮かべる。
「これが終われば……」
電車の窓の景色を目を細めて見つめる。
ギュッと御守りを握りしめ
俺は目を瞑る。
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