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Re: センセイ×セイト ( No.24 )
日時: 2017/01/15 21:15
名前: 鐶 ◆u8YacDeZBU (ID: zT2VMAiJ)

第16話
教室に入り皆と会話をする。
恥ずかしそうに私は前髪を触る。

5限目が始まる予鈴

席に座り教科書を出す。
数学と書かれた教科書に胸が苦しくなる。

ガラッとドアが開き風間先生が
中に入ってきた。

「授業はじめるぞ〜」

生徒からのブーイングに
いつものように交わす風間先生
授業が始まれば今までヘラヘラ笑って
いたはずなのに真剣な表情になる。

(先生になってもあの頃とまったく変わらない)

私はジッと見つめる。
猫っ毛で癖がついた短髪の髪
コロコロと変わる表情
背も癖も何もかもが変わらない。
でも唯一あの頃と違う所がある。

──山吉先生が好きな事──

「………。」

手に持つシャーペンを握りしめる。

もし風間先生が好きな人が私なら
こんな悲しませなかったのに。
どこか心の隅に宿る私の本音。

静かな教室に響く声を耳に
私はただただそう思っていた。


「本当に行くの?」

心配性の実咲は私に言う。
宏樹もジッと私を見つめる。

「ただの寝不足だから大丈夫だよ〜」

ヘラヘラと笑いながら私は
実咲を頭を軽く撫でる。

「無理しないで帰りなよ」

鞄を肩にかけ席を立つ宏樹が言う
実咲も頷く。

「下描きだけどうしても仕上げたいし」

私はフッと目を細め2人を見る。

「余り長くはいないから大丈夫よ」

ヒラヒラと手を振り私は笑った。
実咲と宏樹はフッとため息を付いたが
私の頑固な部分にやられたのか笑ってくれた


「…………。」

2人と別れ私は1人静かな美術室に居た。
目の前には私が今、描いているキャンパスが
ひっそりとそこにはあった。
黙々と下描きの続きを描き始める。

(本当なんで私、好きになったんだろ)

描く手を止めギュッと力を入れる。

「本当…私って諦めが悪いんだな」

スッと鉛筆を持ったまま椅子を立ち
隣に置いてあるキャンパスの前に立つ
視界がボヤけていくのが分かる。
頬に伝う涙がドンドン大粒に変わる。
涙が溢れて止まらない。

「なんで私を好きになってくれないの」

手に持つ鉛筆が床に転がる。
私は顔を手で覆った。
流れる涙を止めることなく私は泣いた。

「なんで好きになっちゃったんだろう」

ずっとずっと追いかけてきた。
ココに彼が務めていると噂を聞き
私はココに入った。
美術部の副顧問だと聞いて美術部に入った。
目で追うだけで話をするだけで幸せだと
私はずっと思っていたのに。

「もう歯止めが効かないよ。」

しゃくり上げながら私は泣く。

「嘘付くなって言われても無理だよ」

子供みたいに

「私は風間先生が好き」

ただただ泣いている。

「慧さんが好きなんだよ」

こみ上げてくる気持ちが

「慧さんの全てが欲しいんだよ」

口から溢れる。
届くはずのないこの気持ちが


──先生の全てを自分のモノにしたい──