コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

episode11  二粒のこぼれ話 ( No.21 )
日時: 2017/01/23 11:38
名前: 雪姫 (ID: 8MLsWoCW)

*ちょっとした小話 その肆『狐の臭いと書いて…』 …のつもりが参の続き。





ぷにににににににににににににににににににに。

「ギリギリ。ギリギリギリ」

ジト〜〜〜〜〜。

「はっ(殺気!?」
「何やってるです?ユーリさん」

ふすまの向こう側からアニマルverのユーリさんが、血走った目でこちらを見つめてるです。
歯ぎしりのしすぎで口から血が流れてるのです。なにがしたいのでしょう…あのきつねは。

「しどいよっ、こなた!オレという愛玩動物が目の前にいるのに、カイトをモフるなんてっ。
 このっ浮気者!」
「ユーリさん以外をモフモフするのは、浮気と言うのです?」

ユーリさんはいつものようにわんわんと泣き始めたのです。
めんどひ。
仕方ありませう。ユーリさんもモフるです。

モフモフ。

「…あ」
「よかった、狐」
「…うんっ」

少し撫でただけで上機嫌なのです。ユーリさんは扱いにくいように見えて、チョロイのです。

ぎゅっ。

「こなた!?そんな、大胆なっ」

抱きしめるときつねさんの匂いがするです。まだ若干、カレーの匂いも混じってるでせう。
あ、そうです。ユーリさんにあの豆知識を教えてあげませう。

「ところで知ってますか?」
「な〜にを〜ウフフ〜」
「狐の臭いと書いて゛狐臭(わきが)と読むのですよ?」
「……え、ウソ?マジで?」

【狐さんは三日間口をきいてくれませんでした】


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*ちょっとした小話 その伍 『衝撃事実発覚!?』




市松にはこの物語が始まってからずっと気になっていたことあるのです。
それは…

「こなたー聞いてよ、オレさ〜」

ユーリさんの一人称が「オレ」の事です。
あとおじさん臭く、発言から加齢臭がし、乙女の皮を被った獣というところも気になりませう。
初登場回からず〜と気になってるですか、機会なくてなかなか聞けませんでした。
今回、作者が用意してくれたこのチャンスに聞いてみるでせう。

「ユーリさん」
「ん。なーに、こなた」
「ユーリさんは何故一人称がオレなのです?」
「あ〜それはなー」

ドキドキ。ワクワク。

「オレ。生きてた頃(狐だった頃)は男(♂)だったからだよ。
 生前の名残って奴だね〜」
「……はいぃ?」

今、このきつねはナンテ言ったです?
ユーリさんは市松の事なんて無視して、ケラケラと愉快に話します。

「いや〜、生まれ変わった時はマジびっくりしたよー。
 だって性転換してんだもんっ。胸もバイバインだしっね。キヒヒッ」

性転換…。
男の人が女の人に…。
女の人が男の人に…。

ならば今まで市松と一緒に

学校に登下校したり

ご飯を食べたり

くだらない遊びをやってみたり

お風呂に入ったり

お昼寝をしたり

色々楽しくもなくはなかった日々を過ごしてきたユーリさんは…

【こけしの中で何かが大きく音をたてて崩れ去っていきました】

「あ、そうだっ。オレ狐だし、男体化もできるんだぜ。ほらっ」

ドロン。

【狐さんは美少年に化けました。かなりのイケメンです】

ドキンッ。

「………」
「どーだ?カッコイイだろ〜。あまりのカッコよさに言葉も出ないってか?」
「……」
「男にも女にもなれるから、百合ルートとノーマルルート好きな方を選べるんだぜっ。
 一粒で二度おいしい的な!」
「ユーリさんを攻略する予定は有りません」

【ちなみに友情エンドはありません】


ユーリさんを攻略するかどうかは、さておいて…です。
そんな縁側に落ちた植木鉢の欠片よりも、です。
市松とこれまでずっと過ごしてきたユーリさん。その正体は…。

「女体化しただけのおじさんだったのですね」
「へ?いやいやっ違うって。女の方が本体!今は男体化してんの!」
「知らないのですっ」
「あ。こーなーたー!?」

スパッ。スタスタ。スー。

市松は部屋を出て自分の部屋に戻るです。
もう、ユーリさんなんて知らないのです。もうモフってあげないのです!


【男体化したユーリさんに少しときめいてしまったぶん、余計に腹立たしいこけしなのだった】