コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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飛鳥予知夢
日時: 2015/01/10 16:27
名前: memory (ID: sp6Br4Ue)

すみません!いきなりですが目次です。

登場人物紹介>>03

1、長い旅の始まり>>00
2、雷の神>>01
3、美濃で>>02
4、美里利琳 対 百合原星羅>>04
5、逃げる火の神>>05
6、月の神>>08
7、飛鳥の第2予知夢>>14
8、近江に向かえ>>15
9、太陽の神>>16
10、元気すぎ>>17
11、宿の情報>>19
12、風の神>>20
13、進化した予知夢>>21
14、地の神>>22
15、怪奇現象……?>>23
16、ありえない現実 >>28->>29


それでは、小説にはいります!



1、 長い旅の始まり


世は、鎌倉(1198年)。ここは、駿河(現在の静岡県のある場所)。
その中の、小さな村の小さな家の中。
少女がひとり、姿勢よく正座する。床には、小さな巻物。
すると少女は口を開く。
「父さん……。この巻物を、見せてもらいます。」
そして、するりと巻物をのばす。まだ文字もはっきり読めて、新しいもののようだ。
実はこの少女、最近になって、旅をしていた父が亡くなったのだ。
亡き父が少女に残したのは、この巻物。
巻物には、こんなことが書いてあった。



世は平安。
それは、貴族が中心となって政治を行った時代。
だが今は、力を持った武士らが貴族の代わりに政治を行いはじめている。
そんな国日本には、9人の神がいる。
それは、赤、黄、だいだい、黄緑、青、紫、黒、白、深緑という色の勾玉をそれぞれ持ち、太陽、雷、火、月、水、天、地、風、植物という神にわけられていた。

太陽の神は赤の勾玉を持つ。
雷の神は黄の勾玉を持つ。
火の神はだいだいの勾玉を持つ。
月の神は黄緑の勾玉を持つ。
水の神は青の勾玉を持つ。
天の神は紫の勾玉を持つ。
地の神は黒の勾玉を持つ。
風の神は白の勾玉を持つ。
植物の神は深緑の勾玉を持つ。

9人の神は、日本を囲むようにして住んでいる。

そして世は鎌倉。
ある日、9人の神はそれぞれ持っていた勾玉を、日本に落とした。
そして、それらの勾玉を拾った者が次の神になると、決めた。
だが、勾玉を拾っただけでは、本人は自分が神だと気づかないし、わからないだろう。
それに、9人の神が顔を合わせ、協力しなければ、1部の神だけ力がついてしまい、この日本はばらばらになるであろう。
そこで、9人の神を集めるのがこの相花月家の役目。
勾玉を持つ9人の神を、探し、見つけ、集める。
これを果たすには、相花月家の子孫の力が必要だ。
相花月家、子孫の判断を、よいものと、祈る。



少女は、相花月、という家の娘らしい。
そして、巻物を丁寧に巻き、紐で結んだ。
……旅に、9人の神を探しに、行くのだ
尊敬していた父の残したものが嘘のはず、ない。
少女は父を信じ、家を出、旅立った。
これから始まる、長い、旅に。

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Re: 飛鳥予知夢 ( No.14 )
日時: 2014/03/03 22:03
名前: memory (ID: BT8pEM9W)


7、 飛鳥の第2予知夢


飛鳥たち3人は、宿でゆっくり寝ていた。
その夜、飛鳥は夢を見た。

ーここは、どこだ……?
飛鳥は、辺りを見渡す。
すると、いきなり視界に人が入り込んできた。
衣織と、星羅だ。
「なんだよ。星羅さんまで…!?」
飛鳥は驚いて、2人に怒ってしまった。

でも2人はにこにこして、飛鳥を見ている。
「だから、何なんですか。というか、ここ、どこ……?」
飛鳥は2人に聞いた。
「ここ?ここは、近江に向かってる途中の道。2人で交代して飛鳥をおぶって来たの。飛鳥、寝てたし。」

飛鳥は今までの旅の疲れがたまって、明るい若旦那の宿から出るときも寝ていたらしい。
そこで、女の衣織と男だが小柄な星羅が交代しておぶってきてくれたのだ。
あまりにも、申し訳ない。
「悪かった。すまない。大変だっただろ?星羅さんも、すみません。」
飛鳥は深々と頭を下げる。
そんな飛鳥に、2人は戸惑う。
「!?」
「や、やめて……。頭、あげて……!」
ようやく飛鳥が頭をあげると、衣織と星羅が今までのことを語り出した。

「ところで、飛鳥。さっきね、あたしたち、いい情報を聞いたの。」
飛鳥は、すぐさま姿勢をただす。
衣織はにっこりとして、口を開く。
「赤の勾玉を持つ美少年が、この道を通ったって。」
続いて、星羅も話す。
「で、その少年、西に向かったって!!やっぱ、近江にいるんだよ。神様!!」
星羅の透き通ったような目は、涙でうるんでいた。

飛鳥は、うなずく。
「ありがとう。早速、近江に向かおう。」
3人は、立ち上がり、早足に近江に向かった。

ー飛鳥は、目を覚ますと、辺りをうかがう。
まだ夜で、宿の中にいるようだ。
「衣織、衣織。」
飛鳥は夢を知らせようと、衣織を起こす。
衣織はばっと起き上がると、飛鳥を見つめた。
「何……??」
眠たそうな目をこすり、聞く。

「夢、見たよ。予知夢かもしれないから、教えておく。明日、いい情報がもらえる。これだけ。ごめん、起こして。」
「本当……?あたし、飛鳥を信じるね。おやすみ。」
衣織は少し微笑んだように言うと、また、横になって、すやすやと寝始めた。
飛鳥も、疲れたからだを少しでも休めるため、横になり、そして、すぐに寝息をかきはじめていた。

飛鳥はきっと、自分が寝すぎてしまうことも忘れているだろう。

Re: 飛鳥予知夢 ( No.15 )
日時: 2014/03/05 06:07
名前: memory (ID: BT8pEM9W)


8、 近江に向かえ


飛鳥と衣織が、すやすやと寝始めると、また静かな夜に変わった。
もう、丑三つ時を過ぎているのだろうか。
宿の周りも静まり返っていた。

朝になれば、キラキラとした太陽がその強い日差しで人々を起こしてくれる。
その光で、衣織は目を覚ました。
「ふぁーあ。よく寝たぁあ。」
といっても、まだ眠気が残っている。
だが、旅の疲れはだいぶ取れたようだ。

衣織が横を見れば、まだ飛鳥と星羅が寝ている。
自分だけ早起きしているのは、馬鹿馬鹿しい。
衣織は2人を軽く揺する。
「おーきーて。飛鳥ー、星羅さん。朝なんだけど。」
しばらく揺すっていると、やっと星羅が起き上がった。
「うーん……。衣織さん?もう起きてたの……?」

星羅はまだ眠たそうだが、衣織が無理矢理起こす。
そして、飛鳥を揺する。
今度は、星羅も一緒だ。
「おーきてー。飛鳥ぁ!!」
「飛鳥さーん。朝だよ……?」
しばらくしても、飛鳥が起きる気配はない。

2人は諦め、今後のことを話す。
「今日は、早速近江に向かうんだよね?」
星羅は得意の可愛らしい笑顔を見せる。
だが衣織は、もうその笑顔に慣れて、全く気にしていない。
「はい。もうすぐ、ここを出ます。あと5日の間に、坂野結城さんを見つけましょう!」

とうとう宿を出る時。
「おいおい。大丈夫かい。か弱い女が、男をおぶって。」
衣織は、飛鳥をおぶっていた。
そこで、宿の若旦那が心配して声をかけてくれたのだ。
「大丈夫です!こっちの男と、交代しますからね!」
こっちの男とは、もちろん星羅のこと。
星羅は若旦那に軽く会釈した。
すると、若旦那は目をまるくして、言った。
「はぁあー。あんた、男だったのか。美人なもんで、女かと思ってた。あんたら、本当に不思議な奴らだな。」
若旦那と別れると、3人は近江へと向かう。

宿から少し行ったところで、衣織と星羅は、どこからともなく流れてきたある噂を耳にした。
その噂は、赤の勾玉を持った、目を見張るほどの美少年が衣織たちが歩いている道を通った、ということだった。
ーこれは、いい情報だ。
衣織と星羅はうっすらと微笑んだ。

そして途中、飛鳥をおぶるのを交代し、少しずつ、近江へと近づいて行く。
それから、何回交代しただろうか。
飛鳥が、目を開けた。
衣織と星羅の顔が、喜びに満ちる。

ーここは、どこだ……?
飛鳥は、辺りを見渡す。
衣織と星羅は、飛鳥の顔を除き混む。
「なんだよ。星羅さんまで……!?」
飛鳥は、予知夢と同じ言葉を言う。
だがまだ、飛鳥は予知夢のことに気づいていない。
このごも、3人の会話は飛鳥の予知夢通りに進んでいく。

そして、星羅が目をうるませたところでやっと、飛鳥は夢に気づいた。
「あっ。ね、あのさ……!」
2人は飛鳥を振り向く。
「いまの……、夢で、見た…………。」
ーあぁ、ぼくはなんで気づかなかったんだろう。
飛鳥は、心のなかで頭を抱え込む。

だがそんな飛鳥の心のなかを知らずに、星羅は言う。
「えっ。飛鳥さん、夢で見たってどういうこと……!?あ、もしかして、予知夢……とか?」
飛鳥の予知夢のことは、まだ星羅に話していない。
飛鳥は簡単に説明する。
まだ、心はぼんやりしているのだが。
「はい……。ぼくは、予知夢を見ることができます。」
星羅の顔は尊敬の眼差しに変わる。
「すごいね、飛鳥さんって……!!」

衣織は2人のやりとりを眺めて、言った。
「ねぇ、近江に向かうんでしょ。あと5日の間に、坂野結城さんを探すんでしょ!?早く、行こぉよぉ。」
まだ、近江への道はこの3人では遠いようだ。



Re: 飛鳥予知夢 ( No.16 )
日時: 2014/03/07 22:18
名前: memory (ID: BT8pEM9W)


9、 太陽の神


飛鳥たち3人は2日かけて近江に着くと、次は坂野結城を探す。
今は朝日が天に昇り、キラキラと朝露が輝く。

近くの村の農民によると、赤の勾玉を持った少年は隣の村にいるようだ。
その少年は、恐ろしく強いと近江でも有名で、この辺りでその名を知らない者はいないとまで言われた。
「早くしようよ!人間だから逃げちゃうんだよ!?」
衣織は2人を急かすと、歩き出す。
「こいつ、1人で旅が出来るのか出来ないのか分からない……。」
飛鳥が呆れたように言うと、星羅がクスリと笑った。
「ふふっ。そうだね。」

衣織はそんなことにも関わらず、明るく歩いている。
ーが、途中で足が止まった。
「?」
川辺で、少年が歩いているではないか。
年は、10くらいだろうか。
目はぱっちりとし、どこか鋭い。
短い髪を後ろの下の方で結んでいる。
さらに、顔がほっそりとして、整っていた。

そんな美男子を、放っておく衣織ではない。
衣織が男好きとか、そういうのではなく、今探しているのは、近江にいる美男子だ。それも、とびきり強い。
「ねぇ、君ーっ。待って、止まって!!」

少年は、不思議そうに振り向く。
「なあに?お姉さん。」
年上にも関わらず、少年は衣織に堂々と話しかける。
恐れもせず、怖がることもなく。

すると星羅が少年の目の高さに合わせてかがみ、にっこり笑いかける。
「ぼくが話してもいいかな……?君、勾玉を持ってない?赤色で、きれいなの。それで、君の名前は、坂野結城さん……?」
少年は大きくうなずくと、首にかかった紐を3人に見せながら、言った。
「ぼく、坂野結城。」
紐には、きれいな赤い勾玉が通り、朝日に反射して、輝いていた。

「君は、太陽の神様だよ!!」
飛鳥は、星羅のときと同じように結城に話を聞かせた。
そして、結城の旅の許可がおりると、次の神を探しに、また歩く。

衣織が旅に出てから、もう半年になる。
いったい、いつ9人の神はそろうのか。


Re: 飛鳥予知夢 ( No.17 )
日時: 2014/03/09 21:45
名前: memory (ID: BT8pEM9W)


10、 元気すぎ


明るい太陽が照りつける中、飛鳥たちは、結城の村を出て、次の神探しにとりかかる。
結城ははじめての旅に興奮しているせいか、落ち着きがない。
衣織は呆れたように結城をちらりと見る。
「なんか残念。もう少し、静かな感じだと思ってたのに。」
だが結城はそんなことにも構わず、元気よく歩き続ける。
「ねぇ、衣織姉さん。次は、どこに行くの?」
「んー。どうしよっかなー。大和、行ってみる?」
衣織の提案で、4人は大和(奈良県)に行くことにした。

相変わらず太陽はぎらぎらで、まるで結城の感情を表しているようだ。
実際、結城は太陽をコントロールできるのだが。
でも、自分自身ではまだ、太陽を操れるほど神としての力がない。
操れるようになれば、好きなときに太陽を地球から遠ざけたり、近づけたりできるようになる。

4人は、かなり速く歩いているようで、明日には大和に着きそうだ。
原因は、結城。
結城が他の3人を急かしながら歩くので、いつもの倍くらいの速さで向かっている。
そんな結城の元気さには、誰もかなわない。

飛鳥たち3人は、お手上げというように両手をあげた。
「うー、もう無理。休憩。」
ついには、
「うん、少しやすんだ方がいい。」
頑固な飛鳥でさえ、こう言った。

だが結城は驚いたように目を見開くと、不満そうに言った。
「えぇー。早くない?」
水分も、食料も食べずのまずでこの距離を歩いた。
しかも、倍の速さで。
それでも元気な結城は、まさに太陽の神にふさわしいと言えるだろう。
「もーぅ、美少年でも元気すぎはやだぁー。」
衣織は、道の真ん中で叫んだ。

Re: 飛鳥予知夢 ( No.19 )
日時: 2014/03/19 05:55
名前: memory (ID: BT8pEM9W)


11、 宿の情報


飛鳥たち4人は、大和に着くと、宿を探した。
今度こそ、ゆっくりと休みたいのだが……。
今までは、満足に休めていない。
少しの疲れが重なって、大きな疲れになっている。
その大きな疲れを、今回の宿でなくしたいところだ。

やっとのことで宿を見つけると、4人は宿に入る。
「……いらっしゃい。」
旦那らしき人物が、興味なさそうにボソッと呟くように言う。
無愛想、というのだろう。
かなり目付きが悪く、睨み付けるようにして、飛鳥たちを部屋に案内した。
案内といっても、小さな宿なので、はじめて来た飛鳥たちでも、すぐにわかるところに部屋があった。

部屋の中は意外にもきれいで、清潔だった。
小汚い飛鳥には、少し似合わないくらいだ。
「うぅー。やっと休める。」
衣織は、手を、足を、大きく伸ばす。
「だね。疲れたっ。」
星羅は、ニコッと笑いながら、正座した。
結城はというと小さな部屋の中を探検しているし、飛鳥は子供な衣織と結城を見て、小さく微笑んでいる。

「ねぇ、この宿を出たら、次はどこにいく?決めておいた方が、いいんじゃないですか。」
飛鳥は3人に聞く。
すると衣織と結城がうげっとでも言いたそうな顔をした。
「うそぉ。今決めるの?なんか、休んでる気がしないんだけど……。」
「飛鳥兄さん、厳しすぎだよー。やめて、あ、やっぱ別にいいけど」
今の会話から、衣織のほうが子供ということがわかってしまった。

星羅は、まずは宿の旦那から情報を聞き出してから目的地を決めるといいと提案する。
他に異義はなかったので、旦那に聞いてみることにした。

だが、問題が起きる。
この宿の旦那は、これまで見たことのないくらい無愛想だ。
そんな旦那から、情報を聞けるのだろうか。
恐らく、無理だ。
聞くならば、かなりの勇気がいる。

次は、結城が提案した。
「衣織姉さんがいいよ。女は、いざとなったら泣けばいいんだもん。」
なぜかこの言葉で、あっさり衣織に決定した。

衣織は、旦那に近寄る。
かなり、警戒しているようだ。
「あっ、あのー。だん……な。ちょっと、いいですか。」
旦那は、持ち前の無愛想顔で、衣織を見る。

「えっとねぇ、そのぉー、勾玉持った人、知ってますか?とびきりきれいな勾玉なんですよね。」
衣織は少し遠慮ぎみに話していく。
旦那は、少し驚いたものの、すぐに口を開いた。

「へぇ、あんたら、あいつの知り合いか……?おう、知ってるともさ。」
衣織はほっとしながら、さらに聞く。
「何色の勾玉ですか!?で、あと……」
旦那は、少し面倒くさそうに顔をしかめた。
「わーた。わーたって。全部、話してやる。よく聞け。」
その一言で、宿の中は水を打ったように静かになった。

「この宿に泊まっていった奴は、白の勾玉を持っていたな……。かなり輝く勾玉だったし、ここらじゃ見たことのねぇ図体をしてやがる。それに……、村の娘らが振り返るほどの美青年だった。それで、話しかけたんだよな。これから、どこに行くんだって。そしたら、出雲に行くとさ。」
旦那の話は、ここで途切れる。
飛鳥は、小さく口を開いて、旦那に聞く。
「その人……、いつ、この宿を出ましたか?」
すると旦那は、少しだけ、微笑んだ。
「そいつを、探してるのか。……青年は、昨日この宿を出たさ。」
そう言って、旦那は部屋を出た。

4人は、驚いた後、喜び、喜んだ後、ため息をついた。
「何で宿に泊まるといい情報がもらえるんだろ……?なんか、新しい神様と会えるもとになるけど、休めないし……。」
衣織は短くため息をつく。
確かに、宿で情報をもらえるのは2度目。
飛鳥たちが考えもしていなかったことだ。
だが今は、休みたい一心である。
昨日宿を出たらしいので、今日のところはゆっくり休むことにした。

夜が明ければ、太陽が昇って暖かくなる。
だが、起きたばかりで結城の元気はなく、太陽も薄い雲に隠れている。
他3人は、十分に休んだので、いつもよりシャキッとしていて、爽やかだ。
「よし、出発ー。」
衣織はみんなを呼ぶと、歩き始めた。


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