コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

最 後 の 歌 声. ≠ 軽音部 
日時: 2010/08/02 17:35
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209

ぷろろーぐ.

君の声がすきとおる。
すきとおる声は透明で、心に風がふき始める。

その歌声は、いつまで続きますか?
演奏を、聞かせてください。


‘最後の歌声’

Page:1 2 3



Re: 最 後 の 歌 声. ≠ 軽音部  ( No.3 )
日時: 2010/08/02 19:16
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209



今日から晴れての3年生。
私憐歌は、今日はとくに舞い上がっていた。
用意された制服に腕を通し、キッチンにあるパンを一つ加える。

髪にコテをあてながら部屋に向かい、プリントが散らばった机に手を入れる。
そこから数枚のプリントを鷲づかみして鞄に詰め込んだ。

「行ってきます。」

自分の家に響く声に、返答などはない。
これが普通であり、そろそろ慣れ始めてきた。
親が、家族が居ないという現実に。


私は玄関にあるギターケースを手にすると、家を飛び出した。

Re: 最 後 の 歌 声. ≠ 軽音部  ( No.4 )
日時: 2010/08/02 20:06
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209



学校までの道はいつも通りだった。
ただやはり気持ちが舞い上がっているからであろう、新鮮に感じる。
大体こういうときは皆こんな感じであろう。

私は地面に転がっている空き缶を思いきり蹴飛ばしてみる。
カラカラと音を立てて転がっていく空き缶が、誰かの足へと当たった。



あ、ヤバイ。
当てちゃった。

Re: 最 後 の 歌 声. ≠ 軽音部  ( No.5 )
日時: 2010/08/03 14:17
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209



やばい、当てちゃった。
どうしようすごいゴッつい奴とか怖い人だったら。
嗚呼、逃げちゃおうかな。

そっと後ずさりをし、相手の顔を見た。
あの制服は、学生?
それに私の学校の制服ではないか。
一年生、だろうか。

「痛……空き缶、かあ」

足でその空き缶を踏みつぶす。
ふと私と目があったその人は、可愛らしい少年だった。

「あ、あの……大丈夫?」

おそるおそる声をかけ、相手の方に向かった。
痛かっただろうか、どうしよう一年になんてことを。
怖い先輩とか噂広がったらどうしようまじ。

「……これ、先輩が蹴ったんですね?」

「……はい」

「空き缶はゴミ箱にいれるようにしましょうね」

少年はそういって微笑み、空き缶をゴミ箱へ投げた。
……なんだ、怒られるのかと思った。
ふいに肩の力が抜けた。

Re: 最 後 の 歌 声. ≠ 軽音部  ( No.6 )
日時: 2010/08/03 16:09
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209



「では、僕はこれで失礼します」

にっと笑みを浮かべ、少年は私の元から去った。
一体あの子は誰だろうか?
私の学校なのは間違いない、そうだ、もしかしたら学校で会えるかも。

ニタァ、と少し気味の悪い笑みを浮かべて私も歩き出した。


学校へとたどり着くと、教室にも体育館にも行かない。
‘とある部’専用の音楽室へ足を進ませた。
もちろんこんな早い時間だ、誰もいるわけはない。
ただ暑苦しい部屋の中に入り込むと、持っていたギターケースを降ろした。

Re: 最 後 の 歌 声. ≠ 軽音部  ( No.7 )
日時: 2010/08/05 01:35
名前:  さくら. (ID: NTjRWWeg)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?355209



ケースの中から取り出されたギター。
少し古くなりかけているものであり、かなり使い込まれている。
そりゃあそうだろう、何年も使ってるのだから。

軽く音を鳴らしてみた。
いつもどおりの、どこか鋭くて優しい音色が部屋の中を和ませる。
私は楽譜に目を通しながらギターを鳴らし続けた。


「憐歌、今日は早いな」

ふと後ろから声がした。
柔らかいのに何故か憎たらしい声。
手をとめて後ろを振り向くと、予想通りの人物が立っていた。



「おはよ、流輝」


Page:1 2 3



この掲示板は過去ログ化されています。