コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【短編】君の名を呼ぶ【恋愛初心者】
- 日時: 2012/07/19 16:18
- 名前: 茜崎あんず ◆JkKZp2OUVk (ID: 92VmeC1z)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=12699
「あぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁ」
炎天下の空の下。
彼女の体から流れ出た赤を必死に繋ぎ止めようと、少年は地に溢れたそれを両手で掬う。
少年が夢中で動かす手が、彼女の頬を汚し喉を更に穢す。元通り白く綺麗な状態に戻そうとするのに、触れれば触れるだけ自分のこの手は少女を壊すのだ。
「返事をしてくれ。目を開けて。お願いだよ、お願いだから」
力を失った彼女の体はまだ温かい。匂う血の香。
聞こえているのならどうか返事をしてください。
俺はまだ君に好きって言えていないのに。
*** *** ***
こんにちは、茜崎あんず ◆JkKZp2OUVkです。知ってる方は知ってるんじゃないでしょうか?
恋愛モノ書くのは初めてです。稚拙な文ですが許してあげてください。
複雑ファではバトル物書いてたりもしますw
【成分表示】
名称:君の名を呼ぶ
原材料名:シリアスラブらしき一話完結じゃない短いお話
保存方法:直射日光の当たる場所、高温多湿なところでの保存は避けて下さい
取扱注意:誤って目に入ってしまった場合は速やかに全文章イッキ読み又はコメントをお残し下さい
荒らしや誹謗中傷は作者の精神状態に悪影響を及ぼす恐れがありますのでご注意下さい
【更新履歴】
START:2012,7,17
【目次】
登場人物 >>1
一雫『物心つく前から、ソイツはいつも私のそばにいた』 >>2
二雫『南雲さんは俺のことが好きだと思う』 >>3
三雫『この孤児院という場所で』 >>4
四雫『きもだめし』 >>7
五雫『ぐしゃぐしゃに握りつぶされた青いプリントを』 >>10
- Re: 【短編】君の名を呼ぶ【恋愛初心者】 ( No.1 )
- 日時: 2012/07/17 19:01
- 名前: 茜崎あんず ◆JkKZp2OUVk (ID: 92VmeC1z)
*** 登場人物 ***
・南雲 彩刃(nagumo ayaha)
記憶喪失障害を持つ12歳の少女。言いたいことははっきり言うタイプ。
黒髪のストレートで大人びた顔立ち。多少霊感がある。
・琥珀(kohaku)
幼い頃から彩刃に憑いている少年の幽霊。
消えたり現れたり出来る。
・大葉 瑪瑙(ooba menou)
彩刃と同じクラスの少年。彩刃にも分け隔てなく接する。
明るくて元気がいい。少々強引なところも。
・辻井 春喜(tujii haruki)
彩刃の数少ない友人。他人に流されない強さを持った少女。
個性的なファッションを好む。
- Re: 【短編】君の名を呼ぶ【恋愛初心者】 ( No.2 )
- 日時: 2012/07/17 15:54
- 名前: 茜崎あんず ◆JkKZp2OUVk (ID: 92VmeC1z)
*一雫*
物心つく前から、ソイツはいつも私のそばにいた。
「コハク」
私は彼のことをそう呼ぶ。
本当はただの幽霊くんでもいいんだけど、彼は私の名前を呼ばれるのが好きみたいだから。
「ねぇ、俺暇なんだけど」
「自分でなんとかしなよ。私はそろそろ学校行くんだから。ついてきちゃダメだよ」
言っても無駄だってことは知ってる。
六年間、コハクは毎日私の通学に付き添うんだ。
「コハク、いってきます」
「いってらっしゃい、彩刃」
ついてくるくせに。へらへらと笑顔で笑うムカつく幽霊にハエ叩きで攻撃してやる。
「痛いな〜、もう」
本当は透けて逃げれるくせに、わざと当たった。
そういうところがムカつくんですよ。もう慣れたけど。
「いってきます」
ランドセルを勢い良く背負った。
別にコイツはかけがえない存在ってわけじゃない。
いなかったらそれなりに寂しいとは思うけど。
先にいくほど透き通る白い手のひらが、私の通学を見送り、ゆらゆらと揺れていた。
- Re: 【短編】君の名を呼ぶ【恋愛初心者】 ( No.3 )
- 日時: 2012/07/17 18:54
- 名前: 茜崎あんず ◆JkKZp2OUVk (ID: 92VmeC1z)
*二雫*
「南雲さんは俺のことが好きだと思う」
「大葉くんは大ばかだから大葉くんなんだね」
そう言い捨て、自分の席へと向かう。
おー瑪瑙、さらっとフられたなーっ! そんな声が上がった。
「何が起きたの?」
「男子が誰がモテるか大会やってんの」
春喜ちゃんが答えてくれる。彼女は私の数少ない友達だ。
流れるような茶髪にゴツい黒フレームの眼鏡。
男子の周りを囲み、歓声を上げる女子たちを横目に見ながら、
「私は別に興味ないんだけどねー」
つまらなそうに呟く。
私と春喜ちゃんは仲が良いから一緒にいるわけではない。
女の子同士の派閥から二人ともあぶれてしまっただけなのだ。
小学生のくせに髪なんか染めちゃって。陰口を叩かれることの多い春喜ちゃん。
しかし彼女は屈しない。春喜ちゃんは強いのだ。授業参観の日だって春喜ちゃんの頭は依然として茶色かった。
強すぎる春喜ちゃんと無神経な私。
でも見捨てられたもの同士の私たちは普通の女の子よりも“友達”だった。
騙したり騙されたり、少しでも自分が優位に立つために他者を喰らい合う女という性別の食物連鎖。
私たちはそこからぽつりと離れているだけなんだ。
「あ、ステーキ食べたい」
「右に同じ」
一緒にトイレは行かないけれど、私と春喜ちゃんは今日も机を並べて給食を食べる。
沈黙の天使が頭上を飛び交うその下で、ゆっくりゆっくりと、咀嚼。
私の奥歯がこめを、たまねぎを、ほうれんそうを、ひきにくをすり潰す。
今日のご飯は具だくさんピラフだ。
でも今はまだ一時間目も始まってないから。
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