コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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目が覚めたら乙ゲーのヒロインになってました。
日時: 2013/04/07 21:37
名前: つき ◆M.76e9/nVY (ID: FQvWtEF/)

 —— 乙女ゲームは好きですか?? ——


 ◆ attention !

 題名に惹かれてクリックして下さったお方。あなた様が神様ですね分かります。

 初めましてつきです。この度初めて恋愛小説に挑戦します!
 ちょっと(?)非現実的と言うか現実逃避しているストーリーになりそうです。

 ◆ me !

 ++ つき( tsuki )
  二次創作の方にもひょこひょこ顔出してます。
  超絶面食い女子(`・ω・´)キリッ
    
 ◆ diary !

 部活で疲れすぎた……(´・ω・`)
 ハードすぎるよ……。
 
 ◆ お客様 !

 ミムさん、朔良さん、珠紀さん、いろはうたさん

  ! Thank you !

 ◆ main !

 目が覚めると私は知らないところにいて、
 そして気づけば周囲にはイケてる面子とやらが沢山いた。

 ◆

 character >>004
 prologue >>003

 / 01 王子様vs俺様vs時々私 >>005
 / 02 幼馴染とオカマさん  >>006>>010

Page:1 2 3



Re: 目が覚めたら乙ゲーのヒロインになってました。 ( No.2 )
日時: 2013/04/05 16:33
名前: 朔良  (ID: 2IhC5/Vi)

 気になるタイトルですね(^^)
 こういうのに惹かれるのも私が二次元大好きだからなんですけどww

 更新楽しみにまっていますね(*^_^*)

Re: 目が覚めたら乙ゲーのヒロインになってました。 ( No.3 )
日時: 2013/04/05 20:00
名前: つき ◆M.76e9/nVY (ID: YC5nxfFp)
参照: コメント返しは一番下です(´・ω・`)感謝!


 >> 00 .


 ——どうやら私は別世界に来たらしい。
 
 私の名前は秋宮紅葉(あきみやもみじ)。ついさっき事故に遭いました。
 そして今気づけば全く知らない景色が広がっていた。
 考えられるのは二つ。①前世の私は死んだ②前世の私が意識失ってるのどっちかだと思う。しかし、しかしだ。何故にこんな所にいるんだろう? 

 さらに聞きたいことはもう一つある。


「あの……大丈夫かい? やっぱり額、痛むかな……?」


 不安げにベッドに横たわってる私を見つめてくるイケメン君。
 青くてサラサラな髪は綺麗に切り揃えられている。俗に言うおかっぱってやつ。でもかなり似合ってるんですけど。瞳もこれまた青色なんだけど、何か吸い込まれそうなくらい綺麗な色してる。とりあえずフーアーユー。あなた誰?


「あの……?」
「あ、えと、大丈夫です。ありがとうございます」
「礼には及ばないよ。と言うか、僕が悪いんだ。本当にごめん」


 と言われても私にはわかんないゼッ!
 とりあえずこのイケメン君をどうにかしないとね。状況を理解するのはそれからさ!


「え、えっと……すいません、あの、名前教えてもらえますか?」
「…………え?」


 いやあああああああああああああああああああ!!
 何か鳩が豆鉄砲食らったような顔になったよこの人どうしよう私どうすればいいのお願い教えて!!
 
 それでも私の慌てとは全く裏腹に、おかっぱイケメン君は微笑んだ。わぉイケメン。


「僕は雪村和希(ゆきむらかずき)。テニス部なんだ。それでさっきボールが当たっちゃったんだけど……ホントに大丈夫?」


 あ、なるほど。だから私あんなに心配されてたのね。
 つかここ何処。なんて聞いたらきっと変人だわ私。だって多分、この雪村君にとって私と彼同じ学校だもん。

 
「ここ、なんて名前の学校ですか?」


 なんて聞いたら……うん、ただの可笑しい人だ。爆笑だわ。
 とりあえずこのイケメン君……いや雪村君を頼りにするしかないか。と思い改めて彼を見るとまた鳩が豆鉄砲食らったような顔。


「あ、ごめんね。ここは『空栄学園』だよ。って言うか……あの、ホントに大丈夫?」
「…………」


 しまったあああああああ!! 思いっきり口に出てたらしい!!!!
 雪村君顔引きつってるし。イケメン台無しだよ君? なんて思ってると、保健室(と断定)の扉がガラッと開いた。


「かーずきー! ダブルスやろーぜー……って、あ。目ェ覚ましたんだ!!」
「太陽?! ちょっと、君まで抜けてどうするんだい?! 副部長まで居なくなったら部がまとまらないだろう?!」
「だーいじょーぶだーってー」


 ギ ャ ル か 貴 様 は 。
 
 そうツッコめる喋り方をするのは生き生きした目をしてる男の子。
 雪村君の髪は青だけど、この男の子は赤色。寝癖かな、なんか髪がぴょんぴょんはねてるよ。にしても目おっきいなこの子。赤い目はまるで小さな子供みたいに輝いてる。
 身長は雪村君よりかなり高い。……と言うか何だろう。どこかでこの人、見たことある気が……?


「あ、ゴメンね。彼は……」
「俺は橘太陽たちばなたいよう!! よろしくっ!! にしても和希の球うけるなんて不運だったな〜」
「こら太陽。……ごめんね?」


 雪村君が申し訳なさそうに謝ってくるけど私の耳には入ってこない。
 だって、さ。橘太陽って聞いたことある。それに今思い出したけど、雪村和希って名前も。しかもこの様子じゃ二人共テニス部。
 えーっと……何だったっけ?!


『————ここは“空栄学園”だよ』


 ……クウエイガクエン。
 空栄学園。空栄、学園。——空栄学園?!


「あーーーーーーーっ!!!!」
「「?!」」
「あ、ごめんなさい」


 思い出したよ思い出したよ! クラスの女子が騒いでた乙ゲーだ!
 確か舞台はスポーツに力を入れてる高校『空栄学園』。そこで平凡に過ごす二年生でバレーボール部エースのヒロインと、その高校で有名な男子たちが恋に落ちていくんだ……!
 そうだよ乙ゲーだよ、だからこんなにイケメンなんだよ……!!


「……というか君、バレー部の秋宮さんじゃない??」
「あ……本当だ。二年生エースの秋宮さん。わぁ、結構有名だから気になってたんだ。改めてよろしく」
「あぁっ、抜けがけはずるいぞー和希!! 秋宮さん、有名人同士頑張ろうねー!!」
「ふふ、彼女、そういう事は無知みたいだよ。さっき僕、名前聞かれたから」


 びっくりしちゃった、と微笑む雪村君。
 あ、だから鳩が豆鉄砲食らったような顔してたのね貴方。にしても私の本名ちゃんとこの世界でも起用されてるわ。……ってちょっと待って。

 バレーボール部のエース? しかも二年生? ってことは、さ。


「ええっ、マジ?! 何それすっげぇおもしれー!! 俺ら結構有名人なのに!!」
「だろう? ……それより太陽、早く練習に戻らないと大変だよ。じゃあ秋宮さん、……秋宮さん?」
「おーい。……ダメだ心ここにナシってやつだよ」
「あらずだよ」


 もしかして、私……ヒ ロ イ ン ?


 ◆


 >>ミムさん

初コメ有難うございます!
頑張りますっ!!


 >>朔良さん

コメありがとうございます!!
楽しんでもらえるように頑張りますっ!!

Re: 目が覚めたら乙ゲーのヒロインになってました。 ( No.4 )
日時: 2013/04/06 21:54
名前: つき ◆M.76e9/nVY (ID: HQPpIYYR)

/ Character.

! 秋宮紅葉[Akimiya Momizi] ♀

ボケとツッコミを両方兼ね備える我らが主人公。
空栄学園2年。バレーボール部エース。
どんな事にも明るく全力でとりくめる。

容姿は茶色い髪のショートヘア。瞳は赤色でタレ目。
通常は髪を耳にかけているので短めに見られることもある。
身長は167cmの体重は48Kg、誕生日は8月12日

! 雪村和希[Yukimura Kazuki] ♂

物腰柔らかい穏やかな青年。とにかく優しい。
空栄学園3年。テニス部部長。
威厳と優しさを持ち合わせている優秀な人物。

容姿は青い髪のおかっぱで綺麗に切り揃えられている。
瞳の色も青色で優しい印象を受ける。
身長は169cmの体重は53Kg、誕生日は3月7日


! 橘太陽[Tachibana taiyou] ♂

天真爛漫で明るく、いつでも元気いっぱい。
空栄学園3年。テニス部副部長。
体を動かすことが大好きで暇さえあればテニス。

容姿は赤い髪の短髪。ところどころ寝癖ではねてる。
瞳の色も赤色。女の子以上に大きな目。
身長は175cmの体重は56Kg、誕生日は8月11日


! 綾瀬川龍哉[Ayasegawa Ryuuya] ♂

絶対的な俺様で傲慢で我儘である。
しかし実際は非常に優しく責任感が強い。
空栄学園2年、テニス部問題児(?)

容姿は腰辺りまである黒い髪に黒いツリ目。
整った顔立ちをしているが俺様すぎる男子。
身長は170cmの体重は54Kg、誕生日は12月23日


! 笠松陸[Kasamatsu Riku] ♂

幼馴染。クールでいつでも沈着冷静。たまにツッコむ。
空栄学園2年。サッカー部エース。
生徒会の庶務もしており忙しい日々を送っている。

容姿は黒みのかかった青髪の短髪。瞳も同色。細目。
黒いフレームの眼鏡をかけている。
身長168cmの体重51Kg、誕生日は11月11日


! ヴェネスタ・ラフェレッツァロ ♂

留学生。オカマでお姉口調だがいざという時はマジ男。
空栄学園2年。バスケットボール部エース。
よく女性と間違えられるが慣れっこで笑っている。

容姿はウェーブのかかった肩まである金髪。
瞳は青色で猫目。人形のような愛らしい顔をしている。
身長180cmの体重は60Kg、誕生日は9月25日


! 相沢乙葉[Aizawa Otoha] ♀

頼れる先輩。関西からわざわざやってきた。関西弁で喋る。
空栄学園3年。バレーボール部部長。
部員から人気者で、3年生スパイカーのエース。

容姿は藍色の髪のベリーショート。瞳は水色。凛々しい目をしている。
身長は174cmの体重は52Kg、誕生日は1月23日


! 梅宮花[Umemiya Hana] ♀

ヒロイン紅葉の大親友。男子からもモテる。
空栄学園2年。バレーボール部リベロ。
チームの癒し的存在で紅葉も大好き。花も紅葉大好き。

容姿はピンク色の髪をうなじあたりで一つにまとめている。
瞳はクリッとしていて緑色。女の子らしい。
身長は157cmの体重は40Kg、誕生日は7月7日


! 後々追加

Re: 目が覚めたら乙ゲーのヒロインになってました。 ( No.5 )
日時: 2013/04/05 21:23
名前: つき ◆M.76e9/nVY (ID: YC5nxfFp)

>> 01 . 王子様vs俺様vs時々私


 とりあえず今分かった事がいくつかある。
 一つはここは乙ゲー『空栄学園☆ドキパラ』の中だということ。一つは私はその物語のヒロインだということ。そして一つは、雪村和希先輩と橘太陽先輩は非常に人気があるということ。


「きゃーっ! 雪村せんぱぁーいっ!!」
「太陽先輩、頑張ってくださーいっ! きゃあああっ、こっち見てウインクしてくれたああっ!!」
「やだっ、雪村先輩かっこいいーっ!」


 テニスコートの周りは黄色い女子の悲鳴でうるさい。
 そんな私は静かに二人を見ていた。雪村先輩に『太陽とダブルスした後でバレー部の部長の所まで謝罪しに行くよ』と言われたから。どうやらバレー部が外でランニングしている最中、見事私にテニスボールがヒットしたらしい。
 それにしてもこの空栄学園は本当にスポーツに力を入れている。テニス部、バレー部の他にも卓球部、バスケ部、陸上部、剣道部、柔道部、水泳部、サッカー部、野球部等がある。多すぎるよね。


「はぁ……」


 何で私はこんなところに来たんだろう。それが一番の疑問。
 私はどうしたのかな。死んでしまったのか、生きているのか。確か私はトラックにはねられたんだ。それで目が覚めれば先程の保健室。どうすればいいんだろう?


「——い、おい。おい、ブス」
「……………………」
「おい、そこのベンチに座ってるブス」


 私かよ。ってか失礼な奴ね、誰よ誰よ。
 何故か喧嘩腰で私が振り向くと、そこには長髪のこれまたイケメン。黒い髪が腰くらいまであって女の子みたいに長い。それでも凄くつやつやで綺麗な髪。目はかなり釣り上がっててしかも睨まれてる。
 ちなみにここは制服の色が違うらしい。三年は黒いブレザーに赤いネクタイ、二年は白いブレザーに赤いネクタイ、一年はクリーム色のブレザーに赤いネクタイらしい。目の前の彼は二年だった。


「ブスなんて名前の人、この世にはいませんけど」


 同級生とわかって思いっきり言ってやった。
 すると相手はきょとんとした表情になった。あらまその表情可愛い。腕組みをしているかと思えば急に口に片手をあてて震えだす彼。


「あっはははははっ!! 面白い、面白いなお前!!」
「いえ本音を言っただけです」
「この俺様にそんな事を言う女は初めてだ。女、名前はなんだ?」


 なんだコイツはとしか言い様のない奴だね。てか俺様キャラか。
 長い髪を耳にかけながら笑うこの男を軽く睨みつける。何か好けないパターンだわこやつ。
 ……もしかしてコイツも主要キャラかな。


「おい、この俺が名を聞いているんだぞ?」
「先に名前を名乗ったらどうなんですか? 私は俺様なんて名前の人聞いたことないです」
「フン、大層なことを言う。まぁよく聞け。この俺の名だ」


 死ね。
 とは言わない。ただこの俺様感がいちいち癪に触る。


「俺は綾瀬川龍哉あやせがわりゅうやだ。覚えておけ」


 中二病かてめぇは!! とつっこみたくなるキャラだね。
 綾瀬川龍哉はにぃっと笑った。いかにも俺様って感じの笑顔でちょっと腹立つ。こっちは考え事してるのにさ。


「で、貴様の名は?」
「……秋宮紅葉です」
「モミジ?? ククっ、良い名だ」
「あんま嬉しくないです」 


 そう言い捨てて私は雪村先輩と橘先輩の元に向かった。
 ダブルスを終えたようで二人は汗を拭っている。おかっぱの雪村先輩はかなり人気があるようです。まぁ、あの優しいキャラだからね。
 黒と白の色合いが絶妙なユニフォームに身を包んでいる二人がこっちに来る。うっわ、視線痛い……。


「秋宮さん、待たせちゃってごめんね」
「いえ、大丈夫です」
「んじゃ、とっととバレー部の部長さんとこ行くかっ! って……和希、あれ」
「ん……?」


 二人が私の後方に視線をやる。雪村先輩の優しげな顔が一瞬曇った。
 そこにはさっきの俺様何様綾瀬川。何処か得意げな笑みを浮かべながらこっちに歩いてくる。おいお前何処か行ったんじゃなかったのか。


「よぉ、せんぱーい」
「……綾瀬川、てめぇどのツラ下げて俺らの前に現れてんだよ!!」
「よせ、太陽」


 デター。オトゲーニヨクアルムズカシイテンカイダー。
 まぁここは見守るしかない、と思っていると雪村先輩が私を無言で後ろにやってくれた。え、何この優しい人。そりゃモテるわ。
 

「何の用かな、綾瀬川。悪いけど僕たちも今急いでいてね」
「冷てぇな。優しい優しい雪村先輩。……ま、なんつーか。今度の試合ではこの俺がシングルスだ。ちゃんとオーダー組んどけよ」
「お前……練習にもろくに参加もせずに試合にだけ出ようってか。なめんなよ」


 橘先輩が本気でキレてる。それでも綾瀬川は笑みを崩さない。
 また雪村先輩が橘先輩を制して静かに綾瀬川を見た。凄く、凄く冷たい目。


「悪いが僕にも考えがあるんだ。君の思惑通りには行かないだろう」
「この俺の思惑通りにはいかない、だぁ? おいおい、あのクソ弱いメンバーに任せたら勝てないだろう?」
「……………………」


 ダメだ、雪村先輩もだんだん表情が曇ってきてる。
 この俺様が、いきなり難しい展開にしてんじゃねぇぞー!! とりあえず私はバレーボール部に戻らなきゃいけない。一応前世(?)でもバレーボールをしてたから何とかなるだろう。……とりあえず。


「……大体てめぇの指導が悪くて「綾瀬川くん」……あ?」


 私は息を吸って思いっきり綾瀬川とやらを見据えた。


「今ちょっと、二人共私がお世話になってるの。あとにしてもらえます?」
「お前……ついさっきの面白い女」
「……どーでもいいですけど、失礼します。じゃ」
「え、えぇ?! ちょ、秋宮さ——」


 ぐいぐい引っ張って何か言ってる橘先輩と瞑目してる雪村先輩を連れて行く。
 しばらく進むと私は二人の手を離した。……さて、勢いに任せて二人を引っ張ってしまったがドウシヨウカ。


「あ、の…「秋宮さん」……はい?」


 恐る恐る雪村先輩を見ると、彼は困った様に微笑んでいた。


「何も聞かないのかい?」
「……はい」
「……そうか」


 そして橘先輩と顔を見合わせてもう一度微笑んでから、何故か私の頭を撫でてきた。


「——ありがとう」


 すごくすごく優しい笑顔で、不覚にもドキッとしてしまう。
 ……そりゃモテるわ、この先輩。 

Re: 目が覚めたら乙ゲーのヒロインになってました。 ( No.6 )
日時: 2013/04/06 21:31
名前: つき ◆M.76e9/nVY (ID: HQPpIYYR)

>> 02 . 幼馴染とオカマさん


 何だかんだあったけど無事体育館に到着。ボールの音がよく聞こえてくる。
 中に入ると凄い熱気に包まれていた。多分季節的に11月くらいなんだろうけどおかしいほどに暑い。凄いな……。


「あ、紅葉ちゃん! 目が覚めたのね!」


 と言う声が聞こえたかと思うと視界いっぱいにピンクが広がった。どうやら抱きつかれたみたい。誰だろうこの子……。


「…………!!」


 め……めちゃくちゃ可愛いッッ!!
 ピンク色のうなじあたりで結んだ繊細な髪。くりっとした緑色の瞳がすっごく綺麗で。運動中なのかほのかに赤く染まった頬、桜色の小さな唇。すっごく美少女だよ抱きしめたいよ!!


「こら花。紅葉ちゃん困ってるで。やめてあげな」
「ぶ〜!! 乙葉先輩、私と紅葉ちゃんのスキンシップを邪魔するんですかー?!」
「いやそういう問題じゃないで……?」


 苦笑いしてる先輩は、『乙葉オトハ先輩』っていうらしい。
 藍色のベリーショートがよく似合ってて身長も私より高い。凛々しい水色の目をしてる。なんていうか……かっこいい。


「ああ、相沢さん。ごめんね、彼女、僕の球が当たったみたいで……」
「ん? あぁ、王子か。大丈夫や、我らがエースはそんな事で死んだりせーへんよ」
「いやそりゃ死にませんよ」


 何というか、打ち解けやすい人たちだな。この先輩といい雪村先輩たちといい。あ、綾瀬川は別だね。
 多分この相沢乙葉先輩はバレー部のキャプテンだと思う。で、この花ってこはこのヒロイン(いや今は私なんだけど)の親友かな?? うんそれでいいや。


「あ、そうや紅葉ちゃん。陸君が探してたで??」
「りく君??」


 ……誰それ?? いやきっとイケメンなんだろーけど。


「じゃ、和希! そろそろ俺たちも戻ろーぜ!!」
「あぁ、そうだね。それじゃあ秋宮さん、頑張ってね」
「はい。ありがとうございました!」


 去っていく二人のイケメン先輩。おお、周囲の女子が歓声上げてるよ。
 さて、と私は体育館内を見回す。にしても広い、広すぎる。隣では男子バレーボール部が、その隣では男子バスケットボール部が部活動をしている。更にその奥では女子バスケットボール部が。


「もーみっじちゃん、りっ君探さなくていいの??」


 花ちゃんかわええ……。
 てかりっ君って……その『陸』って人のことかな??


「う、うん。とりあえず部活しようかなって、さ」
「えー? でもりっ君が体操服持ってきてくれてるんでしょ?? だったらどっちにしろ探さなきゃ!」
「え、あ? あ、ホントだね!! ちょ、ちょっと探してくるよ!!」
「早う戻ってきーや、紅葉ちゃん。もうすぐチーム練習するでな〜」


 何で関西弁なんだろうか。と思いながらその乙葉先輩に返事をして走り出す。
 体育館を出ると日の光が眩しくて目を細める。あれ、そういえばさ。何も考えずに飛び出してきちゃったんだけど。


「陸君、って……どんな人??」
「——お前は幼馴染の顔も忘れたのか?」


 突如背後から声がかかってびっくりした。振り向くと不機嫌そうな男の子。……この人が『陸』君??
 黒っぽい青髪を短く切ってて何だか清楚なイメージを受ける。いや、橘先輩とかはねてたからね、髪! そして初の眼鏡っ子。ちなみに黒いフレーム。その奥にある瞳も黒みのかかった青。ブレザーは白、ってことは……同じ二年??


「ほら、体操着だ。全く……お前はスポーツマンだという自覚があるのか?」
「え、あ、うん、はい。ありがとう、陸君」
「……………………」


 何故かフリーズする陸君。が、何故かいきなり溜息をつかれた。


「お前な……何でいきなり『君』をつけるようになっているんだ」
「……え??」
「幼馴染だろう。昔から呼び捨てだったのにいきなり君付けか??」
「あ、えっと、ごめんごめん!! ありがとう、陸!!」

 
 しまった幼馴染だったのかーーーーーーーーーー!!!!
 ってそんな事言ってたね第一声に!! やばいよ凄く不信感もたれてるよこの顔。めちゃくちゃ不思議そう!!


「……その、……何だ」
「……??」
「ボールを額に食らったと聞いたが……大丈夫なのか??」


 あ、心配してくれてるのねこの子。優しいんだ。何か嬉しくなって、つい笑顔がこぼれた。


「うん。……ありがとね!」
「……!! そ、そうか」


 ……あり?? 何か失敗したかな??
 いや、思いっきり背中向けられたのよ。何か耳が赤いように見えるんだけど気のせいか。また変に思われてるのかな〜……。


「やっだ、何この子!! ちょ〜う可愛いじゃない!!」
「……?!」


 お、重い……。いきなり背中に重いものが乗っかった。
 見えたのは金髪。ふわふわしてる。ウェーブがかかってるのかな?? その髪が肩あたりまであって、目は青色。お人形みたいに綺麗。外人さんかな?? 綺麗な人ー……。


「おい紅葉、そいつ男だぞ。気をつけろ」
「…………えぇっ?!」


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