コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【短編】くぅのノートと小さな日常
- 日時： 2013/12/22 03:16
- 名前： くぅ （ID: RKt4NeeS）
冷たい空気が、小さな部屋を包み込む。
少女は温もりに包まれた楽園の中で、ゆっくりと目を開いてゆく。
くぅ（……はぁ）
心の中で小さくため息をつき、時計を確認する。
人生で最も鬱になる瞬間だ。
くぅ（1時、か。毛布の中で一生を終えられたらいいのにな……）
中学生の平凡な少女…白川くぅ。
＜ごく普通の人間に見えるが、裏の顔は氷の異能を使いこなす『白雪のくぅ』
クラス１の美少女で成績は学年で2位。
冷たいように見えるが、学年1の天才である「彼」に熱く恋焦がれている。
しかし彼もまた、くぅと同じ異能を持つ、殺しあう運命にある人間であった。＞
そんな物語に憧れる、ただのごく普通な人間である。
この上なく無味な少女、白川くぅの無意義な1日が今日も始まる。
—くぅのノートと小さな日常—
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- Re: 【短編】くぅのノートと小さな日常 ( No.1 )
- 日時： 2013/12/22 03:33
- 名前： くぅ （ID: RKt4NeeS）
くぅ（寝すぎたかなー）
くぅ（さよなら、私の中の小さな楽園よ）
ゆっくりと毛布から身を離す。
冷蔵庫から麦茶を取り出し、のど奥へと運んでゆく。
くぅ「はー」
土曜日。少女が箱のスイッチを押すと、その機械は目を覚ました。
—ようこそ—
慣れた手つきでパソコンのパスワードを入力し、インターネットブラウザを立ち上げる。
くぅ（小説サイトでも見るかな）
頭脳、容姿、運動。
どれを取っても、よくて「中の下」レベルでしかない彼女の人生は、
起承転結の「承」だけが続いているようなつまらない日常で埋まっている。
くぅ（んー……）
くぅ（なんかなぁ……）
好きな食べもの特になし。
お腹に入ればどれでも同じ。
くぅ（ある日突然、何かの能力に目覚めたりしないかなー）
毎日がつまらない。満たされない。
自慢できるものといったら妄想力。
歯車のように同じことを繰り返している毎日に、嫌気が差していた。
くぅ（私の頭の中の妄想を映像にできればなー、この上なく面白い物語になるのに）
そんなことを思い浮かべながら、ネットの海を漂い続ける。
あいにく私には何の能力もない。
誰も私の妄想を形にすることなんてできない。
悲しい現実を今一度確認する。
くぅ（形にできるとしたら……小説が限界かな）
実際、小説を書くつもりなどさらさらないのだが。
- Re: 【短編】くぅのノートと小さな日常 ( No.2 )
- 日時： 2013/12/22 03:50
- 名前： くぅ （ID: RKt4NeeS）
くぅ（千本桜〜夜に紛れ〜♪）
動画サイトを見ながら思いっきり歌う。脳内で。
声を出して歌いだせば、親に「うるさい」と叱られるのが容易に想像できる。
もう少しいい家に住んでれば別なのかもしれないが。
くぅ（……4時）
ふと時計を確認する。
4時。3時間ほど浪費したらしい。
くぅ（あーあ、3時間も無駄にしたのかあ）
くぅ（3時間もあればいろいろできただろうな……勉強とかさ？）
考えれば考えるほど悲しくなる。
くぅ（ま、もし今日が240時間あったとしても、私なら9割無駄にしてるだろうな）
面白おかしく自問自答する。
休みの日はいつもこうだ。
夜、毛布の中で妄想をする時が一番楽しい。
映画何本分の物語を作り上げてきたのだろうか。
50、100……いや、200は……
くぅ（考えるだけ無駄か）
わかったところでどうしようもないので、くぅは考えるのをやめた。
妄想は楽しいのだが、起きてる時はどうにもうまくいかない。
眠い時こそくぅの脳内は妄想をすることに集中できるのだ。
くぅ（早く寝たいな）
動画を見ながら、そんな空しいことを考える。
少し言うと、寝たいというより「安らかに眠りたい」が正解だ。
なんのために生きてるのだろうか。
そんなの誰にもわからない。
わからないけど、人間そういうものだ。
くぅ（ぼーくらはみんなーいーきているー）
つまらない、つまらないと思っても人生が面白くなるわけではない。
くぅもその事はよくわかっていた。
つまらないなりに頑張って楽しめばいいのだ。
くぅ（お腹すいてきた）
再び時計を確認する。
7時半。
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