コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 獄寺啓という男。
- 日時: 2015/01/06 09:52
- 名前: 優斗 (ID: PyqyMePO)
シリアス・ダークからの転載です。
更新不定期の駄文作品です。
目次
序章語…獄寺の家 >>1
第一語…君島葵という女。>>2>>3>>4>>5
第二語…きさらぎ駅とは。>>6>>7>>8>>9
+月の下の出来事。>>10
登場人物
名前と色んなこと
獄寺啓(ゴクデラ サトル)
実はREBORNを買ったから思いついた名前。
君島葵(キミシマ アオイ)
本当はレイが良かった。葵の御紋が由来。
澤米太郎(タクマイ タロウ)
私の小学校の都市伝説、トイレの太郎さんが由来。
入野花子(イリノ ハナコ)
おかっぱの横をパーマにした様な髪型。
六銭円(リクセン マドカ)
六文銭。お爺ちゃん(店主)の名前は文雄。
獄寺メリー(ゴクデラ メリー)
メリーかマリーかややこしい奴。
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- Re: 獄寺啓という男。 ( No.1 )
- 日時: 2014/12/25 16:05
- 名前: 優斗 (ID: aAxL6dTk)
その男は履き慣れた足袋を脱ぎ捨て、黒い数珠をジーパン のポケットに入れた。
珈琲の臭いが奥にある何かの臭いと混ざり、今にも吐きそうな臭いが立ち込める。男は裏が赤いマントを翻し鈴の音が鳴った扉へ目をやった。
「いらっしゃいませ。」
にっこり微笑んだ男。
扉の前に立つ、俗に言うギャルという感じのアホそうな娘。泣きそうな顔で写真を男の前につきだした。
「おや…」
「ウチのじいちゃん。邪魔なんだけど、引き取ってくれない?」
ボロボロの写真の奥で微笑む白髪の男性。顔によく似合う丸い眼鏡と、この時代ににつかない黒い着物。写 真がモノクロだから黒く見えるのかはさておき、
「…あの有名な方の魂を頂けるとは…嬉しいです。」
と、続け男は写真を奥の臭いのする部屋へ手早く置きに消えた。戻り、泣きそうな顔をした女に塩を手渡し、見送った。
この男こそ獄寺啓(ゴクデラ サトル)であった。烏の様に黒い髪と形見のマントが怪しい雰囲気を出す。
本に埋もれたこの部屋で何をしているのだろうか。
それを知る人間は誰一人といない。
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.2 )
- 日時: 2014/12/25 16:17
- 名前: 優斗 (ID: Fbf8udBF)
「私見たんです!涙僕炉が似合う黒い男性を!」
女は声を荒げて剥げた頭のおやじに突っ掛かる。
彼女は君島葵(キミシマ アオイ)。
清楚な服装が似合う美人であるが、かなりの重度の干物女であった。
「だからって遅刻はよくないでしょう?」
「はい!」
「そんな元気よく返事されても困るから。」
軽く項垂れ、葵は椅子に深く座った。
——やっと兄に会えたと思ったのに…
あのとき、呼び止めておけばという後悔が頭をよぎった。 前に置かれたパソコンを見つめて、溜め息をついた。
その日の昼はふと朝の出来事を思い出した。寒い朝だった。
昼も負けじと寒く、近くのスーパーの肉マンを買い、一口かじる。喉から お腹へ通る暖かみに感謝をし、スーパーの中を見ていた。
——綺麗な人だ。
目に写った長身の男の人は髪をかきあげ、こちらを見た。気付かれただろうか。
すると、男の人は自分に微笑みかける。急に恥ずかしくなったが、絵に書いた様 な美しさだった。完全に見惚れてしまっていると、自分で感じる程だ。
「最近、色んな人に出会うな。」
独り言を呟き、スマホに目を落とした。 ゲームを起動すると背後から妙な気配を感じた。その気配は声になり、自分にかかる。
「すみません。」
「うわっ!」
思わず驚いた葵に男はキョトンと首を傾げる。 そして、スマホを指差すと口を開いた。
「その箱、なんですか?凄いですね。」
「えっ?」
どう説明していいのやら。
迷っていると今度は上から言葉が降ってきた。
「探しましたよ。啓さん。」
「おお、澤(タク)。よかった。探したぞ。」
上を見上げるとさっき微笑みかけてくれたあの男の人。啓という名の者と知り合いのようだ。葵は安心し、胸を撫で下ろした。
紅茶や珈琲の臭いがするお洒落な服とマントをを着こなす二人はどこか胡散臭かったが、楽しそうな人だ。二人だけをを見ていると、どこか違う世界 へ巻き込まれた様に思えた。
葵が二人に見入っていると、瞬きをした瞬間、二人はいつの間にかいなくなっていた。
——おかしな人だ。
——また、会える気がする。
そう思い、その場を去った。
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.3 )
- 日時: 2014/12/25 16:30
- 名前: 優斗 (ID: 8hur85re)
『お前は人殺し!兄ちゃんをどこへやった!?』
叫ぶ夢を見た次の日、買い出しに出ると叫ぶ少女によく似た女に出会っ た。
「澤…」
誰も見えない暗い部屋のカーテンを握り締めた。 日当たりも悪く、毎日が寒い啓の家に薪ストーブは欠かせなかった。マントの下のYシャツにカイロを貼り、身を丸めながらベットへよじ登る。
目の下のクマ、貧血による立ち眩み、引きこもりだったからの筋肉痛。全てを忘れて布団をかけるが足元に妙な暖かみを感じた。
「…澤?」
「んー、あれ、見つかっちゃいました?」
「バレバレだ。」
澤米太郎(タクマイ タロウ)は伸びた黒髪を束ねながらに啓に言った。
「朝御飯は昼と兼ますが良かったですか?」
「うん。いつも悪い。」
「いえ、これが私めの役目ですから。」
ゆっくりとお辞儀をし、太郎は啓の口に優しく触れる。
「啓さんも私に食われないように…」
固まった啓を包むように肩を抱き寄せ、耳を甘噛するような吐息と共に声をかけた。
「あーらら、私に隠れてイチャイチャして。」
「花子。おかえり。」
「チッ。クソ花子。どこほっつき歩いとった。」
「別にー。アンタには関係無いわ。それより…」
花子は鞄から沢山の資料を取り出し、啓へ渡した。もう一度舌打ちをした太郎は奥の闇へと消えていく。
呆れたのかなんなのか、啓と花子はただ見つめるだけだった。
「気を付ける。ボサッとしてると、ホンとに食われる わよ。」
「分かってる。で、これが…」
「そ。十数年殺された、更木真太郎の資料。」
「…ありがとう…」
更木真太郎という男は下水を啜って生きてきた様な男。
その正体は親に捨てられた可哀想な子供だが、世間からはこの言われよう。殺人犯が責められず、殺された輩がとやかく言われる世の中は怖いものだ。
「手短に説明するわ。」
警察が死体を解剖するため、死体を警察署へ運び込んだ。
そして、司法解剖の結果、他殺ということが分かったものの、その部屋から五分離れた間、死体は消えていた。
冷めた血がドアに向かい、まるで生き返った様に立ち去ったのだ。
「更木というのは拾った男の名字。男は更木自身が殺したらしくてね。本当の名字を調べるにしても分から ないのよ。」
「ふーん。」
「あら、楽しくなさそうね。」
「美味いのかな。コイツ。」
「分からないわ。アンタの調理次第よ。」
首をかしげてそう言い残し、コートを脱ぎ捨てて花子は自室へ戻る。コートの下は黒く汚れていた。よっぽど大変な仕事だったのだろうか。 太股に備え付けられたナイフは赤く濡れているのも分かる。
一瞬の間でそこまで把握できた自分の目を啓は不思議に思った。何かの力というよりは、何故花子の太股を見ていたのかが分からなかっただけである。
どうでもいい事だと思い、啓は栞を挟んだ分厚い本を手に取り、紅茶を啜った。
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.4 )
- 日時: 2014/12/25 19:51
- 名前: 捨駒 (ID: aW5Ed34M)
君島葵は動かない。
滅多な事では動かないのが彼女である。休みの日だっ た彼女が思い立って夜道を散歩しているのは、眠れなかったという理由から始まる。
どこか胸がザワつくような不思議な感覚に襲われた葵は眠れない。
都会で星が瞬くのは不自然だと思いつつも、通勤路を歩いていく。通勤路を歩いていくと見慣れない道に到着した。
——何かがおかしい…
辺りはいつの間にか黒くなり、石を積み上げた塔が町並みに連なっている。静寂という言葉が一番似合う光景だ。
——あ…あれ?
歩く足を止めた。
前にはこの前見た少年と綺麗な男の人。
「啓さん?」
名前を呼ばれ、少年は小さく会釈をした。 その瞬間に大きな爆発音が啓の右側から聞こえる。
「チッ、外したぜ。」
「当たり前だ…啓さんには降れさせねェ…」
兄によく似た男と鞭を構える太郎は激しく宙で攻撃をぶつけ合う。
「…なんで人間がここにいんのよ。」
「キャッ!」
「それもキャラ作り?やめて、ゲロが出ちゃうわ。」
後ろから聞こえた声と影と共に宙に浮かび上がる。影は見晴らしのいいところまで来るとその姿を表した。
「見なさい。あの化け物を。」
「化け物…?兄のことですか?」
女は真太郎の形をした化け物と葵に交互に顔を向けた。
「はぁ?!」
大声が真太郎の耳に届いたのか、こちらを睨みつけショットガンを放った。
花子はすかさずナイフを取り出し、音速で飛ぶ弾丸を弾き返す。
「聞いてないわよ!早く始末しないと!」
屋根に葵を乗せ、下に落ち、太郎の鞭を奪い取る。
「返せ!アイツは俺の獲物だ!」
「うっさいわね!アンタのその首、ヤフオクで売り飛ばすわよ!」
意味のわからない罵声を浴びせている間、相手が怯んだ隙に鞭を体に素早く打ち込んだ。驚きながら無惨にも朽ち果て、目を開いたまま地面に強く叩き付けられた。
言葉を失う葵。
目の前で二回も実の兄が殺されたのだ。
「…また貴方ですか。安芸彦の旦那。」
「そう。よく分かったな。流石に気が付かれないと思ったけど…ね?お嬢ちゃん。」
耳元で囁かれ、肩を跳ねさせると後ろには男の姿が。
「お嬢ちゃん人間?なら、死んだ後は俺様に魂を提供してね、是非とも地獄で待ってるよ。」
差し出された名刺に書かれた文字は紛れもなく人間の名だった。
「賀喜…安芸彦?」
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.5 )
- 日時: 2014/12/25 22:09
- 名前: 捨駒 (ID: vlOajkQO)
男は口元を緩ませて大きく笑んだ。
口元から目元へ伸びる紅の刺青か歪む。
「そう。神様なんだよ。」
全く訳がわからない。
「神様…?」
「駄目です。ソイツに関わると魂を飛ばされますよ。体ごと。だから…」
「だから、更木真太郎は飛ばしてやったのさ。未練が残らないうちに…未練が残ると、向こうの世界には行けないのさ。」
小刀を喉に向けて安芸彦はより一層笑む。
未練というのは私の事だろうか。
「だからね…」
あのあと、私はどうなったのだろうか。
喉元が痛い。
「……ここは…」
埃っぽい部屋の隅に置かれたベッド。
「あら?起きた?」
眠たい目を擦り、重たい瞼をこじ開けた。
横に花子が作った卵がゆと食器を片付ける花子の姿。
「安芸彦の野郎に斬られてアンタ、死にそうだったのよ。」
「昨日は夢じゃ…」
「まあ、夢と思うのも…無理は無いわね。」
花子は色々と教えてくれた。
ここに来れるのは死ぬ直前の人間と死にそうな人間だけだということ。
行き来できる花子と太郎、そして新しく加わった葵には啓を守らなくてはならない義務が、会った次の日から出来るのだ。
当然、スマホは圏外。窓の外を見ると辺りは暗く夕方だ。その景色は変わらない。
「…ちょっと待ってください。守る義務?」
「そうね。初めは難しいけど、慣れると楽しいわ。家事だけでもいいの。」
ナイフを見せつけてニヤリと微笑んだ。
「戦闘はまだしなくても大丈夫よ。」
「色々とありがとうございます…え、えーと…」
「私は入野花子。うざったい長髪が澤米太郎。そして、獄寺啓。」
「私は…君島葵です。」
「名前はきちんと持っておいた方がいいわよ。ポケットにでも、メモを入れておきなさい。」
こうして、君島葵という女はここで働くことになった。
唐突すぎて全く分からない。
しかし、どこか楽しくて夜の出来事を手早く頭で処理できた。
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