コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 雨宮CCC
- 日時： 2015/05/04 16:29
- 名前： 小熊雪嗣 （ID: ZxuEMv7U）
前回宣言した通り、これからはこのスレッドだけで連載していきます
それでは、新キャラが早速暴走ぎみな第15話です、どうぞ
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一高2階の角部屋に来たが、いつもの洋楽は聞こえない。
北条は、自分の情けなさに舌打ちした。
西館は今、2週間の停学を食らっている。1週間ほど前に捜索を依頼した「伊東倫無」がどうしても見つからなかったため、彼は全生徒のデータが入っている学校のメインコンピュータに目を付けた。そして、それをハッキングしていた段階で教師にバレ、昨日に停学を言い渡された。
一高在籍のくせに偏差値が70以上もあるあいつが、学校が保管するデータへの侵入の危険度を分からない筈がない。
そう思っていたからこそ北条は、今日ここに来るまで、西館の停学を信じられなかった。
しかしよく考えてみれば、夏休みの作戦にどうしても伊東が必要だ、という自分の発言が、彼を焦らせたのかもしれない。
せめてもの償いに、相談室は自分が開こう。
そう思いドアをゆっくりと引くと、異常な光景が目に飛び込んだ。
見知らぬ男が、ドアのすぐ横の柱に身を預けて寝息を立てている。
高い位置で括った癖のある黒髪に、血管が透けて見えるほど薄い耳。その両方に、リング状のピアスを２つずつ付けている。
これだけでも充分だが、更なる異常は彼の服装にあった。
上半身はボタンを全て外したYシャツ1枚。
下半身はひどく浅い腰履きのズボン。
つまり、やたら形のいい腹筋と臍が丸見えな状態である。
彼が元々着ていただろうブレザーとネクタイは、隅の方に丸まっている。
一見では女にしか見えない顔立ちの、しかし露出狂が、今自分の眼前にいる。
今すぐにでもドアを閉めたい気分だが、こんな変態を放っとく訳にもいかない。
取り敢えずおい、と呼びかけてみると、眠りが浅いのか、男はすぐに目を開けた。
山南に似た琥珀色の眸は、西館のものとはまた違った色気を帯びていて、北条は思わず頬を上気させる。
俺はホモじゃない筈だ。胸中で3回唱えてから、男に名前を名乗らせる。
「……う……む」
しかし、まだ寝ぼけているのか、男の声はか細く聞き取れなかった。
「聞こえなかったから、もう一度言ってくれ」
「……伊東倫無（いとう・りむ）」
「は？何て！？」
男が告げた衝撃の言葉に、北条は思わず二度目の聞き返しをした。
- Re: 雨宮CCC ( No.3 )
- 日時： 2015/05/27 19:51
- 名前： 小熊雪嗣 （ID: DVcR0E4k）
「な、何でだよ。お前はこいつに恩を返せる、それで俺らは大助かり。ここまで互いに好都合な条件、そうそう無いぞ」
想定外に素っ気ない返事に、北条は慌てて食い下がる。しかし、伊東は首を横に振るばかりだった。
どうして毎度うまくいかねぇんだ。北条は無意識に歯噛みする。伊東がいないと、今回の作戦は根幹をも揺らぐ。
西館にも何か言ってもらおうと、彼の顔を仰ぎ見た北条だったが、その表情を見た途端に真逆の決心がついた。
「ー悪い、西館。今日は帰るな」
あっさり話を引き上げた北条に、西館ではなく伊東が不思議そうな顔をする。
北条はその手を掴み、玄関を出た。
西館が本気で考えている時は、決して邪魔するなかれ。彼がこの3年で得た、最も役立つ知識だ。
伊東を説得するのは、西館が何かを掴んでからでも遅くない。
夏の訪れを告げるような風を頬に受けながら、北条は静かに燃えていた。
- Re: 雨宮CCC ( No.4 )
- 日時： 2015/06/05 22:21
- 名前： 小熊雪嗣 （ID: VbQtwKsC）
西館が停学を食らってから一週間、一高2階の角部屋からは、勿論洋楽は聴こえない。
その代わりに、あいつがいる筈だ。
北条はそう思いながら、相談室のドアに手を掛けた。
途端に感じる違和感。なぜ、あいつしかいない筈の部屋から、2人の人物の話し声が聞こえる？
気のせいであることを祈りながらドアを開けた北条は、しかし目の前の風景を見た瞬間に文字通り踵を返した。が、肩を掴まれた。
「おいおい、北さんから呼び出しといてそりゃねぇでしょ」
榛色の眸に、犬歯が覗く微笑をたたえた口。
大型犬を思わせる顔立ちの男ー山南の仕業だ。そして、その横には呼び出していない筈の伊東。
野郎、勘付きやがったな……。北条は柄にもない口調の呟きを心中でする。
山南を呼び出したのは、伊東がいちゃ出来ない話をするためだ。
- Re: 雨宮CCC ( No.5 )
- 日時： 2015/06/11 21:56
- 名前： 小熊雪嗣 （ID: ejGyAO8t）
北条は会話の対象を、山南から貰っただろうハンバーガーをむしゃむしゃと頬張る伊東に向けた。
「何でお前までここにいるんだ？」
「ナミ先輩がいきなり学校に来るのが怖いって言うんで、暇だったから付いて来た次第っス」
おいおい、お前も不登校真っ只中だろうが……。しかもナミ先輩ってなんだよ、普通ヤマ先輩だろ。
伊東の台詞を反芻する北条は、しかしある不審点に気付いた。
「俺はこいつと話があるんだ。それを食い終わったら出て行ってくれ」
「あ、ちょっと待って。ポテトもあるんで」
「ポテトぐらい持って帰れー！」
もどかしさに北条が怒鳴ると、伊東は口を尖らせ、しかし案外素直に残りのハンバーガーを口に押し込み席を外した。
その時、伊東が山南の耳元で何かを囁いたのも、北条は見逃さなかった。
「おいおい、どうしたんスか？珍しく荒れちゃって」
伊東がドアを閉めてすぐ茶化すようににやけた山南の頬を、北条は思い切り抓った。
「どうしてお前とあいつが繋がってる」
真剣な声音に、さしもの山南も痛ぇ、と叫びそうになるのを堪えた。
- Re: 雨宮CCC ( No.6 )
- 日時： 2015/06/15 18:02
- 名前： 小熊雪嗣 （ID: y9FxUFsG）
「繋がってるって……俺は西さんから伊東ちゃんのことを聞いて、今日初めて会ったんスよ」
「今の言葉、前半は本当だが後半は嘘だろ」
尚も訝しむ北条に、山南は不満そうな顔で首を傾げる。
この野郎、演技ばかり上手くなりやがって。つい半年前まで、人を騙すことが誰よりも下手だったくせに。
だが、北条は既に、それを破れる程の切り札を得ている。
「お前、この前の喧嘩で幾ら貰った？」
山南は一見ただ喧嘩に明け暮れている不良にしか見えないが、実はある賭博組織と繋がっている歴とした喧嘩屋。そのため、賭け金の一部を収入として得て生活している。
「お前いつも愚痴ってたよな、賭け金の殆どは組織に入っちまうって。そんなカツカツのお前が、よくあいつにハンバーガーなんか奢れたな」
「それは……今月はいつもより数こなしてるから、収入もちょっと多いんスよ」
途端に辿々しくなった山南の返答に、北条は早くも勝利の笑みを浮かべる。
と、ズボンのポケットから着信音。西館からだ。
『なぁ、いいニュースと悪いニュースだったら、どっちを先に聞きたいか？』
「そりゃ勿論いいニュースだろ」
『8月5日の奴らの細かい予定が判ったぞ』
「本当か！？」
自然と大きくなった北条の声に、山南も近寄ってくる。
「誰からの情報だ？」
その問いに、西館は不自然な間を空けて答えた。
『たった今消息が途絶えた、伊東からだ』
そうかそうか、あいつようやく協力する気になったか……って、え？
「消息が途絶えた？」
反復する北条に、西館はすまなそうにあぁ、と相槌を打つ。
何なんだよ、あの気紛れ男は！
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仕事が入ってしまったので、3週間ほど更新を休ませていただきますσ(^_^;)
中途半端なところで切ってしまって御免なさい
- Re: 雨宮CCC ( No.7 )
- 日時： 2015/07/05 10:59
- 名前： 小熊雪嗣 （ID: MzqoAbhA）
《ちょっとした番外》
北条:「うおっ、投票企画なんてあったのなこのサイト」
山南:「俺らも対象なのか〜〜、何か恥ずかしいな」
北条:「大丈夫だ、こんなマニアックな小説ぜってー入賞しねぇから」
西館:「俺もう投票したぞ」
北条:「！？どこに？」
西館:「このスレッドに決まってんだろ」
北&南:「アホなことしてる暇あったら伊東捜せぇぇ！！」
伊東:「こんな俺らだけどヨロシクな☆いやマジで」
〜〜END〜〜
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