コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- シンデレラにドレスは似合わない【9/22更新】
- 日時: 2016/12/27 21:08
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: cA.2PgLu)
はじめての方ははじめまして、ひよこです。
今回はわりと明るいです。コメディです。
今書いているほうが終わるまで、あまり更新はできないと思いますが、つい勢い余って作ってしまいました。
よろしくお願いしますm(_ _)m
*登場人物(随時更新)
・シンデレラ
・魔法使い
・アマンダおばさん
*お知らせ
・8/8 スレ立て
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- Re: シンデレラにドレスは似合わない ( No.1 )
- 日時: 2016/12/27 22:39
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: cA.2PgLu)
とある国、とある街、とある森。街灯はなく、夜は月があたりを静かに照らし、頭上の星がきらきらと瞬く。
そんな森の中に、ぽつんと佇む一軒の家。決して大きいとは言い難いが、中は綺麗と呼べるほどに手入れが行き届いている。そんな家に住んでいるのは、一人の女性と一人の少女。
「そうじゃねえっつってんだろくそガキ! 頭かちわってやろうか!? あ゛ぁ!?」
「上等だやってみろくそアマぁ!」
一人の女性と一人の少女。
毎日毎日取っ組み合いの喧嘩をしており、その姿はまるで獣のようだが一人の女性と一人の少女である。
「チッ……なんでアタシがこんなガキのお守りなんざしなくちゃならないんだい」
女性はどかりと椅子に座り、ライターでタバコに火をつけた。形を持たない煙がふわふわと木でできた天井を漂う。
褐色の肌、うしろで束ねた銀色の長い髪、燃えるような緋い瞳。容姿だけみれば、かなりの美人である。そんな女性を不満気に見つめながら、少女は言った。
「……きっと仕事をみつけて、ここから出ていきますから。それまではここにおいてください、アマンダおばさん」
その言葉にぴくりと眉を震わせると、アマンダと呼ばれた女性は立ち上がり、少女の小さな顔を鷲掴みにした。
「お・ね・え・さ・ん・だろ? シンデレラ」
「お……おねえふぁん」
アマンダは舌打ちをし、ぱっと手をはなした。
「アンタ、黙ってりゃ人形みたいに可愛いってのに……特に言い争いしてるとき、言葉づかいひっどいからねぇ」
彼女の言う通り、シンデレラはとてつもなく可愛い。
透き通った陶器のように白い肌、真っ直ぐに伸びた美しい黄金の髪、吸い込まれるような蒼い瞳。人形のように整った顔立ちは、すれ違えば皆振り向くほど。
「感情的になるとつい。おば……おねえさんも、黙ってれば胸のでかい美人なんですけどね」
「その口縫い付けてやろうか」
アマンダは、ふぅ、とため息をつくと再び椅子に座った。
「出てくっつっても、しばらくしたら帰ってくるんだろ? あのろくでなし」
母は病気で他界。
そんな矢先、父は仕事の都合上しばらく帰れなくなると、まだ十六のシンデレラに告げた。そこで、父の知り合いであるアマンダに預けられることになったのだった。
「……いつになるかわからないので。それに」
「それに?」
「あまり一緒にいたくないし」
「ああ……『あれ』だもんねぇ」
女性はどこか遠くを見つめながら、呟くように言った。
「まあいいさ。アタシだってあんたがいないほうが好都合だしね」
アマンダがシンデレラを預かるうえで要求したことがいくつかある。そのなかのひとつが、家事全般だった。彼女は仕事をしていて、日中はほぼ家をあけている。そのうちに家の掃除を終わらせるのがシンデレラの日課になっていた。
「……おば……おねえさん」
「……なんだい」
「ずっと気になってたんですけど……その右目、どうしたんですか」
「……これかい?」
アマンダは自分の右目があるであろう場所を指さした。
そこは真っ黒な眼帯で覆われていて、その瞳を見ることができない。
「……昔、自分のガキにやられたのさ。そいつはいまどこほっつき歩いてんだか知らないけどねえ……」
シンデレラはふと、初めてここにきたときのことを思い出した。
__ガキは嫌いなんだ。あんま近寄んじゃないよ。
たかだか数週間前なのに、かなり前のことのように思える。
(……子供がいたんだ)
アマンダは自分のことをあまり話したがらない。故にこちらから聞くこともできない。いま目のことを話してくれたのは、きっと、シンデレラと自分の子供が重なってみえたのだろう。
「……もういいだろ。さっさと寝な」
「平気です。掃除だってまだ終わってないですし」
先ほどの喧嘩は、シンデレラが掃除をしている最中に起きたことだった。日中を買い物で費やしたため、アマンダが帰ってきた夜中に掃除をしていたのだが、ほんの些細なきっかけで口論が勃発。二人とも短気なのだ。
「……ああそうかい。じゃアタシはもう寝るよ」
「おやすみなさい」
アマンダは立ち上がり、自分の部屋へと消えて行った。その後ろ姿を見送ったシンデレラは、床に置いていた箒を手に取り、掃除を再開した。
「……仕事、かぁ」
(できれば王都のほうで働きたいけど、十六の子供を雇ってくれるところなんてあるかな……)
そんなことを考えながら、シンデレラは先ほどアマンダに叱られたところを念入りに掃除した。一通り綺麗になったところで、ふう、とため息をつく。
(こんなもんかな……って、もうこんな時間か)
窓の外はすっかり暗くなっており、月明かりが漏れていた。
「そろそろ寝るか……」
箒を壁に立てかけ、いつものように、暖炉のそばで足を伸ばす。そばにある布を引っ張ってきて体にかけた。そっと目を閉じる。疲れからか、すぐに眠りへと誘われた。
心地よい微睡みの中、シンデレラは確かに自分の名を呼ぶ声を聞いた。
それは、とても優しくて、悲しくて、懐かしかった。
すぐ近くにあるはずなのに、手を伸ばしても届かない。
(…………おかあさ……)
頬を伝う生暖かい感触に、目が覚めた。
涙を拭いながらからだを起こし、あたりを見回す。まだ日は昇っておらず、暗い視界に目を細めた。
(……夢、か。それにしても……なに、この音……)
なにかを叩く音がする。力強くはない。シンデレラにかろうじて聞こえるくらいの、小さな音。
(……窓……?)
そう思い目をやると、窓の外に人影が見えた。
どうやらその人物が窓を叩いている音だったらしい。
(こんな時間に、誰……? しかもドアじゃなくて窓って……)
不審に思い、箒を手に取った。
恐る恐る窓を開ける。すると、そこにいたのは……
「はじめましてシンデレラ。魔法使いです」
見知らぬ青年が、人懐こい笑顔を浮かべていた
- Re: シンデレラにドレスは似合わない ( No.2 )
- 日時: 2016/12/27 22:44
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: cA.2PgLu)
「…………」
ピシャリといい音をたてて、シンデレラは窓を閉めた。
「えっちょ、まっ」
「怪しい人とは関わるなと母の遺言で」
「怪しくない! 怪しくないからここ開けてくれ! ものすごく悲しい!」
「声が大きい近所迷惑です」
「近所なんてないだろここ森のなかだぞ!」
そう言って、青年が必死に懇願してくるので、シンデレラは渋々窓を開けた。
「……怪しくないって言われても、その格好はどうかと思います」
とんがり帽子に長いローブ。確かに、見た目だけは絵本にでてくる魔法使いのようだ。
「何事もまずは見た目からだと思ったんだがなぁ……そうか、だめだったか」
「色々とだめですね」
青年はいそいそと魔法使いセットを脱ぎ出した。ローブの下は、黒いハイネックのノースリーブに、白いパンツ、黒いブーツを履いていた。ピアスは、青い宝石の輝きを揺らしながら彼の耳に鎮座していた。腰には革のベルトをしており、そこに剣を差している。
(……剣? そりゃまあ、持ってる人は持ってるだろうけど……それにしても随分立派な剣だなぁ。ベルトも金の刺繍がしてあって高価そうだ)
青年は、闇に溶けるような黒髪で、整った顔立ちをしていた。黄金の瞳は闇夜に妖しく輝いている。
(これまた随分とイケメンな……どっかで……みたような、みてないような。……気のせいか......ていうか)
「どうして私の名を?」
「ん? ああ……ずっと見ていたからな」
にこりと笑ってなんでもないように告げる彼に、シンデレラは自分の顔が引きつっているのを感じた。
「……なんて堂々としたストーカー発言」
「違う」
青年は魔法使いセットを小脇に抱え、にっと笑いながら答えた。
「あんたの親父さんに頼まれたんだ。様子を見てきてくれって。ここにいるのも親父さんから聞いた」
「お父様が……?」
「ああ。それと……これは頼まれちゃいないんだが……」
青年が取り出したのは、一枚の紙。その紙を手渡され、まじまじと見つめた。
「……お城の舞踏会のお知らせ……?」
そこに書かれていたのは、近々開催される舞踏会についてだった。どうやら平民の娘も招待されるらしい。
「そ。あんたここから出たいんだろ? その舞踏会は王子の妃探しでもあるんだ。そこで見初められれば一生城で暮らせる」
「でも私、ドレス持ってないし、そもそも興味ない……」
「ドレスはあっちが用意してくれるから問題ない。それに、親父さんにだって会える」
ぱっと顔をあげ、シンデレラは青年を見つめた。
「お父様、お城にいるんですか?」
「仕事でな」
「そうなんですか……でも……」
紙に再び視線を戻す。じっくりと書かれている文を読む。
「もし見初められなくても、親父さんに頼んで王都で暮らせるかもしれないだろ?」
はた、と紙を見る目を止めた。
「……行きます、お城」
それを聞いた青年は嬉しそうに笑った。
「よし! じゃあ行くか!」
「……え? いまからですか?」
「なんたって城はこっからだと遠いし、お前と喋ってみたいしな!」
「後半はただの願望じゃないですか......」
シンデレラはため息をつき、窓から離れた。
「ちょっと支度してきます」
そう言って、白い紙とペンを取り出し、なにかを書き始めた。
書き終わったのかペンを置き、テーブルの上に紙を置いた。そして自分の荷物をまとめ、着ていたワンピースのうえに母からもらったストールを羽織った。
「おば……おねえさん」
アマンダの部屋の前で、深々と頭を下げた。
「短い間ですが、お世話になりました。どうかお元気で」
そう言って、荷物を片手に家を出た。
「……いいのか? 直接言わなくて」
近づいてきた青年と、並んで歩き出す。
「いいんです……多分、まだ起きてたでしょうから。それに、置き手紙もしてきましたし」
「ふーん……そういや、ずっと気になってたんだけど」
「なんですか?」
「お前の名前。なんでシンデレラなんて呼ばれてるんだ?」
「……本当の名前を呼ばれると、お母様を思い出すから……だから、別の名前で呼んでくれって、私が言ったんです」
アマンダの家には寝床が一つしかなかった。そこで、シンデレラは自ら暖炉のそばで寝ることを決め、そこで自分のあだ名も決めた。
シンデレラ__灰かぶり、と。
「じゃあ、本当の名前はなんていうんだ?」
そう聞かれ、シンデレラはふっと微笑んだ。
「気が向いたら教えます」
「……そうか。それじゃあ俺のことも魔法使いと」
「自称をつけ忘れてますよ。魔法使いなら馬車とか出せないんですか。歩くの大変ですよ」
「出せるわけないだろ」
「使えないですね」
「うるせえ。つーか敬語やめない?」
「怪しい人に心を開くのはちょっと......」
「だから怪しくねえって!」
もうすぐ、夜が明ける。
二つの影は、森の奥へと消えて行った。
***
『アマンダおばさんへ
突然出ていくことをお許しください。
変な魔法使いさんにそそのかされたので、お城に行ってきます。お父様もお城にいるそうですので、会ったらおばさんのぶんまで殴ってきます。
落ち着いたら、お礼のお菓子とかを持って遊びに来ます。
いままでお世話になりました。
エマ』
書き置きの手紙を読んだアマンダは、ふっと微笑んだ。
「おばさんじゃないだろ、まったく。今更名前を教えやがって……こっちはとっくに知ってるっつーの」
__アマンダ、エマを頼む。俺の命より大事な宝物なんだ。
アマンダはタバコを咥え、ライターで火をつけた。灰色の煙が、ひとりしかいない静かな部屋を漂う。
「あんたの宝、どっかの魔法使いにさらわれちまったよ。そんなに大事なら箱にでもしまっとけってんだ。まあ、そんなとこで大人しくなんてしてないからねぇ、あのじゃじゃ馬娘」
朝日が、昇る。
窓の外から日の光が溢れ出す。
「__エマ、元気で」
タバコの煙が、空中へと溶けて、ゆっくりと消えていった。
- Re: シンデレラにドレスは似合わない ( No.3 )
- 日時: 2015/08/09 05:18
- 名前: 左右りと (ID: XaDmnmb4)
うわああああぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!
新作きたああああああっっ!!!!!!
はい、ツイッター見て飛んで参りました、りとです
シンデレラの話ですね!!
早速読みましたが、シンデレラとおばさんのやりとりが、面白すぎて......(笑)
頭かちわんぞコラ!!
って、おばさまカッコよすぎ!
というか、シンデレラの普段と喧嘩の時の差が、とっても好きです(笑)
魔法使いさんも、イケメンだし、、、
お父さんの『アレ』ってなんでしょう!?
とにかく、謎なことが多くてとってもわくわくします!!!
甘い悪魔と、夢で逢えたらが、完結するのは寂しいですが、こんなに面白そうなのが始まるなら!
と、とりあえず、シンデレラも甘い悪魔も夢で逢えたらも、楽しみにしてます
- Re: シンデレラにドレスは似合わない ( No.4 )
- 日時: 2015/08/11 19:11
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: OcHJFEPy)
左右りとさん
りとさあああああああああん!!
ありがとうございますうううううううう!!
童話のほうのシンデレラは、かわいくて優しくて皆から愛される女の子ですが、うちのシンデレラはそんなんじゃありませんね(遠い目)
最初はちゃんといじわるな継母と姉をだそうと思っていたのですが、どうやっても最初が暗くなってしまうのでおばさまにしました。そして気づいたらあんなおばさまになってました。
お父さんはもうちょっとあとから出てきます。もう少しお待ちください。
うっ……。゜(゜´Д`゜)゜。
ありがたいお言葉です……!!
コメントありがとうございました!!
- Re: シンデレラにドレスは似合わない ( No.5 )
- 日時: 2016/12/27 22:51
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: cA.2PgLu)
「着いた……王都……」
目の前に広がるのは、未知の世界。
王都には小さい頃に父と行ったきりで、どこをみたのかあまり覚えていない。つまり、初めても同然なのだ。
もうすっかり日は昇り、王都は賑わいをみせていた。道行く人々は綺麗な服に身を包み、幸せそうな笑みを浮かべている。目の前がきらきら輝いているように、シンデレラはの目には見えた。
「人がいっぱい……って、魔法使いさんどうしたんですか」
振り返ると、魔法使いが不満気な顔を浮かべていた。眉間にしわを寄せ、シンデレラをじっとみつめている。
「……どうしてそんなに距離を置くんだ」
シンデレラと魔法使いの距離、約三メートル。
「会話しずらいだろ! あと夜通し歩いたのに元気だなお前......」
「体力には自信ありますから。伊達に小さい頃から野山を駆けずり回ってませんよ。距離が遠いのは......ストーカーさんの隣を歩くのはちょっと」
「ストーカーじゃない」
「それと、」
シンデレラは魔法使いのうしろを指さした。
「変な人がついてきてますし」
「変な人?」
魔法使いがうしろを向くと、そこには銀髪の青年が立っていた。驚くほど白い肌に、瞳は赤。若干つり目で、黒いコートに身を包んでいる。
「………………」
「バレたか」
全く焦っていない顔でそう呟いた青年は、開き直ったのか二人に近づいた。
「はっ……えっ、おま、なんで」
動揺して青年を凝視する魔法使いをスルーし、青年はシンデレラと向き合う形で立った。
「不審な行動を取ってすまなかった、シンデレラ嬢。俺は護衛のグロウ。あんたの親父殿から身辺警護を頼まれた」
「これはこれはご丁寧に……シンデレラです、よろしくお願いしますグロウさん」
「この状況についていけないのは俺だけなのか」
あの父親のことだ、身辺警護がつくのは仕方のないことだろう、とシンデレラは思った。だが。
(……お父様なら、直接迎えにくると思うんだけどな。それに、私がいたら仕事の邪魔に……)
自分の手のひらをみる。
まだ小さな手では、父親の力にはなれない。まだ父親の仕事をなにも知らず、この国のこともなにも知らない自分は、一人前ではないのだ。
(はやく……はやく一人前にならなきゃ。そのために仕事探して、いつか……)
考え事に溺れていると、ふと、耳に不快な雑音がするりと入ってきた。
__ねえ、あの方って……それに、隣にいる女は誰……?
__きっと、また近づこうと……
(……あの方……? 誰のことだ……?)
「…………レラ……シンデレラ!」
魔法使いの声で、はっと我に返る。
「あ……すみません、ぼうっとしてました」
「大丈夫か? 城までもう少しだからな」
「……はい」
そんなやりとりを見ていたグロウは、呆れたように口を開いた。
「……おい、なんなんだそれは」
そう言いながら指をさしたのは、魔法使いが持っていた、とんがり帽と折り畳まれたローブだった。
「これか? 魔法使いなりきりセットだ」
「それは知っている。見てたから」
「魔法使いさんの他にもストーカーが」
「護衛だ」
三人は、再び誰からともなく歩き始めた。
シンデレラを真ん中に、右隣には魔法使い、左隣にはグロウが。
「グロウさん、背大きいですね」
シンデレラが、横にいるグロウを見上げながら言った。
「ああ。俺はハ…………魔法使いより年上だから」
「グロウさんいくつなんですか」
「十九」
「私より三つ年上ですね」
「魔法使いは十八だ」
「ひとつしか違わないのにこいつのほうが背でかいとかムカつくんだよな」
「私よりは大きいじゃないですかよかったですね」
「嬉しくない」
そんな他愛もない話をしながら、三人は城へと到着した。
気品溢れる建物は、王都にあるどの建物よりも大きかった。
「……でかい」
「おかえりなさいませ、殿下!!」
門番の一人が、敬礼をしながらそう言い放った。
「…………いま殿下って」
シンデレラが魔法使いのほうを向くと、魔法使いは明後日の方向を向いた。
「......気のせいだろ」
「いやいやいや、今確かに殿下って」
「空耳じゃないのか」
「グロウさん」
「殿下だ」
「おいこら!」
グロウが若干めんどくさそうに説明を始めた。
「いいだろどうせすぐにバレる......これは、ハル・ゼノヴァン。この国の第二王子だ、シンデレラ嬢」
「……はい?」
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